2019年3月23日土曜日
フィンランド議会選挙がまたしてもハチャメチャな日本風アニメに!内容も日本語音声の質もパワーアップ!
2019年4月14日に行われるフィンランド議会選挙に向けて、またしても国営放送YLEのSNS動画サービス『Kioski』が日本語音声の日本風アニメを公開!
今回も前回と引き続き低投票率に政治家達が立ち向かうという内容。ですが一応なんとなく続き物なので、2017年の地方選、2018年の大統領選の回も事前に見ておくといいかも。
今回は「ハッハッハ、貧弱なフィンランド人達め!」という台詞と共に国会の前に「低投票率」という怪人が現れ、若者達に自分がどの候補者に投票するのかを忘れさせてしまいます。そこに現れた各政党の党首達が現れ日本アニメ風の鮮やかな戦闘スキルで立ち向かいます。今回は前回でもおなじみ『頭文字D』のパロディーで藤原とうふ店ならぬ「孤独ライダー」だけでなく、『ポケモン』のモンスターボールみたいなのも登場。
今回はKioskiが提供する「投票マッチング」ロボも参戦するも歯が立たず、投票マッチングを進化させることで低投票率をやっつけるという流れ。前回よりも日本語の発音のクオリティーが格段に向上してやる気満々です。
さて、今回のフィンランド議会選挙、一体若者の投票率はどれくらいになるでしょうか?
Images captured from: Kioski via Facebook
Source: Kioski via Facebook
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2019年1月15日火曜日
ベーシックインカム実験って結局なんだったの?その背景と現状
ベーシックインカムの実証実験が2017年1月より始まり昨年末に終わりを迎えたフィンランド。この機会にベーシックインカムを今一度考え、実験の現状を見てみましょう。
日本でも話題になった「ベーシックインカム」ですが、一体これがどういうもので、どういう状況になっているかは日本のみならず他国のメディアでも誤った情報が飛び交う有様でした。日本では当初ベーシックインカムが施行されるという報道がありましたが実際には「実証実験が行われる」という内容が間違って伝えられたものですし、2018年4月頃には実証実験が途中で終了されるとの報道が海外メディアで報道されていましたが、実際には「当初の予定通り」2018年末まで実証実験が行われました。
ベーシックインカムとは
フィンランドのベーシックインカム(フィンランド語で「perustulo」)のアイデアは、社会保障の一つであり、全国民が一律無条件に非課税のお金を毎月もらえるというものです。
これだけ聞くと、「ただでお金がもらえるのか!なんて凄い!」と思われるかもしれませんが、医療費の一部を国が負担する国民健康保険や、医療費控除、児童手当、義務教育、年金、失業給付金なども同じく社会保障です。そしてその主な財源は税金となっています。
しかし、これらは皆、国と国民との間で交わされる社会契約の元に成り立っているものです。文脈に合わせて単純化して言えば、国民としての義務を果たせば国が国民を守る、という約束であり、程度や内容は異なっても近代の憲法はこのような国と国民の間の約束の上に成り立っています。これは日本でも同じことです。
なぜベーシックインカム?
さて、そんな社会保障の一部であるベーシックインカムですが、これが実証実験される背景には「労働」の形が変化しつつある現状があります。国が定めた最低限の生活を守るための社会保障システムは長い年月をかけて形作られてきたものですが、現在の労働形態や生き方には合わなくなっており、逆に社会保障の提供を阻害する状況になっているのです。
絶え間なく進む工業の自動化に、更にデジタル化も進む現在は、これまで多くの人を必要としていた労働で人手が必要なくなったりしています。更にフィンランドでは正社員が減り、パートタイムや期間契約で働かざる負えない状況に居る人々も増えてきています。それらに加えて、近年は特にギグ・エコノミーという単発や短期の仕事を請け負うという、終身雇用やパートよりも収入の不安定さの高い労働環境も増えています。
フィンランド国営放送YLEは、現在人口550万人ほどのフィンランドには「働く貧困層」ワーキングプアが6万人いるとしています。そしてこのほかにもワーキングプアの統計に含まれていないものの同様に貧困の危機にある、ギグ・エコノミーで収入を得ると共に社会保障で不足を補う人々が10~40万人がいると報じています。
このように変化する労働の形に現状の社会福祉が対応しきれていないという問題が実証実験のひとつの背景にあります。そこで新たな社会保障モデルとして提案されているのがベーシックインカムなのです。
従来型の社会保障
フィンランドは学生手当、子育て手当、生活保護や失業手当なども充実している印象をお持ちの方も少なくないでしょう。フィンランド社会福祉保健省は、「社会福祉保障の中心的役割は、弱い立場に居る人に支援を提供すること」にあるとしており、このような手当による所得保障でこれを実現しています。しかし現状では、これらの手当の条件は複雑であり、現在の働き方に合っていない面もあるのです。
例えば、失業支援金に含まれる基本失業手当は、一ヶ月約697ユーロとされています。しかし失業者がより積極的に労働するようにと最近導入された「アクティベーションモデル」により、65日間の期間内に最低18時間の労働をするか、個人事業主として241ユーロ稼ぐか、5日間雇用促進アクティビティに参加しないと減らされてしまいます。その一方、300ユーロを超えた収入は基本失業手当減額調整の対象となります。また、基本失業手当最大受給日数の400日間を超えた場合は、労働市場補助金という失業支援金を受けることになりますが、こちらも一月311ユーロ以上の収入があると減額されます。
失業手当とは別に家賃手当が支払われるという面もありますが、家賃や医療費を除く生活保護の基本受給金額が一人住まいでは月491ユーロであることを考えても月697ユーロというのはとても低いのも事実です。失業手当でもらえる金額が低いのは、より良い生活を目指すことが就労への意欲となるという面もあるでしょう。その一方で、この金額に満足して働かない人も存在したために導入されたアクティベーションモデルですが、そもそも失業状態で18時間の労働や241ユーロを稼ぐ仕事を見つけることが困難ですし、雇用促進アクティビティは田舎では用意されていない場合もあり、それを理由に手当が減額されるのでは失業状態にいる者を支援する制度としての意味が無いとも批判されています。
加えて現状の失業支援制度では、失業事務所の提案する仕事を受けないと失業支援金を受け取ることができなくなりますが…若い女性がトップレスバーでのウエイトレスの仕事を提案され、拒否したために支援金を受け取ることができないということもありました。
前述したYLEの報道でのワーキングプアの定義は一月の収入が1200ユーロ以下とされていますが、もし失業支援制度の対象となる人であれば収入が月に1200ユーロあったとしても(例えばパートやギグ・エコノミーなどからの収入)毎月230ユーロほどは失業支援金がもらえる状況となっています。しかし、自営業やフリーランスなどであれば失業状態と見なされないために1200ユーロの収入が合っても失業支援金がもらえないという変なことになっています。
もちろんこれらの手当を受給するには様々な書類を提出しなければいけませんし(提出はオンラインで済ませることができますが)、書類はKELAにより審査された後に決断が下されます。この審査は人の手により行われるのでもちろん間違えが起こる可能性もありますし、不服申し立てもできます。また手当を受けている間に収入があれば細かく計算され手当金額が減額されるなどの手間も受給者、KELAの双方に掛かるのです。つまり保障を受ける側にとってだけでなく、保障を与える側もそれぞれの受給者に対し複雑な審査を行うという手間を取らせることになります。
この例でも社会保障手当とその受給の複雑性、現代の労働形態に合わなくなり、逆に社会福祉保障の提供を阻害している状況が垣間見れるかと思います。それだけれなく、社会保障を受けることを恥と感じたり、提出書類の煩雑さや、そんなことをしている暇が無いなどで、生活保護や家賃手当などを受けていない人々がいるのも事実ですし、中には自分が受けるべき立場に居ると知らない人もいることでしょう。それらの人たちは社会の枠組みの中で弱い立場におり支援が提供されるべきとされる存在ですが、現在の制度では彼らに効率的に支援を提供することはできません。
また、2012年、2017年、そして昨年6月にも欧州委員会から、フィンランドは失業支援金も生活保護の金額も欧州社会憲章に違反する低い金額となっており、改善が求められているということも忘れるべきではないでしょう。フィンランド外務省らは2015年、欧州委員会は複数の手当を組み合わせることができ、医療費の上限がある点を考慮しておらず、これは違反に当たらないと反論していますが、そもそも複雑すぎる社会保障制度であることも問題でしょうし、反論後も欧州委員会から改善が求められている点には、このシステムには改善の余地があるということが現れているでしょう。
*なおこれらは記事執筆時点の情報であり、なおかつ簡略化して記しているものです。実際にはこのほかにも家賃手当などが別に存在し、それぞれの手当受給状況も金額に影響するほか、手当受給者が個人か家族かなどにより収入として換算される金額に下限もありますので、上記の例は引用には適しません。また、金額も毎年変更されます。正確な情報を知りたい方はKELAのウェブサイトをご覧ください。
実証実験
そんな中、時代により変化する労働形態に合わせて従来型の社会保障を変化させ、これによりより人々が働きやすくなり、不安定な収入を持つ人も安心して暮らせるようにするために現れたのがベーシックインカムというわけです。
社会的に弱い立場にありながら様々な理由で保障を受けて来なかった、受けることが難しかった人々を残すことなく支援することができます。自営業にフリーランス、ギグ・エコノミーや0時間契約のパートなど、これまで失業支援を受け辛かった人にとって、安定した生活を保ちながら働きやすい状況をつくります。また、自分に合った仕事を探している人に取っては、安定した受け皿の元で様々な仕事に挑戦しやすくなるという点も興味深いことでしょう。そして支援を受ける側も、社会保険庁も共に審査に費やす労力を減らすことができます。もちろん、収入が多ければその分は所得税として納税されることでこれがまたベーシックインカムの財源となるわけです。また賛成派の意見としてはKELAの人材に掛かるコストを減らすことができるため、現行制度よりも安上がりになるともしています。
もちろんフィンランド国内でも皆が諸手でベーシックインカムに賛成というわけではありません。反対派の意見としては、現行制度よりも高く付くため税負担が高くなるという点も挙げられます。現在安定した仕事を持っている人が、仕事を辞めて働かなくなってしまう可能性が指摘されています。そうなればお金を多く稼いでいる人の税負担と共に不公平感も増すことでしょう。また、男女平等のフィンランドと言えども子育てに関して女性の参加の方が多い状況であり、ベーシックインカムにより主婦になる女性が増え、それが女性の社会的立場を弱くするのではという指摘もあります。生活保護では考慮される個人の貯蓄が現状のベーシックインカム案では考慮されないという点も問題視されています。
賛否両方の意見がある中2017年1月1日に始まった実験は、2018年12月31日まで行われました。実験にはフィンランド国民から25歳から58歳の人から2000人が選ばれ、一月に560ユーロがベーシックインカムとして支給されています。このベーシックインカムは所得税対象とはならず、この金額を考慮に入れず失業支援金なども同時に受けることができます。なおフィンランド国外に30日間以上滞在する際にはベーシックインカムが支払われなものの、帰国すればまたベーシックインカムを受け取ることができるようになっています。
実験の結果今回の実験が雇用に与えた影響は2019年末から2020年初め頃に発表される予定です。
果たして良い実験か?
実際のベーシックインカムのアイデアは、国民誰もが等しく国からお金をもらえるというものですが、今回の実験はといえば実験として有用な結果を出せるかどうか怪しいとの声も聞こえます。
その理由は、ベーシックインカムは仕事のある人も失業者も、富めるものも貧しいものも平等に与えられることこそがその根本であるのに、実証実験に選ばれた2000人は2016年末の時点でKELAから失業給付金をもらっている人たちの中からのみ選ばれているからです。
ベーシックインカムに対する批判意見として、「何もしなくてもお金をもらえるのだから人が働かなくなる」というものがありますが、そもそも実験対象が失業者だけであればこの批判に関連する比較が可能な対象は必然的にベーシックインカムの抽選から漏れた失業者のみとなります。つまり、普通に失業給付金をもらっている失業者と比べて、ベーシックインカムをもらっている失業状態のものはどれだけ就職に対する意欲があり、実験期間中に就職に向けてどう動いたか、だけを焦点とすることしかできません。
一方この批判意見に本当に答えるために行うべき実験は、現在仕事がある人がベーシックインカムをもらうことで仕事に対する意欲がどれだけ低下するか、仕事を辞めるかどうか、などもポイントとなるはずです。
また、今回の実験に対する批判としては、一ヶ月にもらえる金額が少なすぎるため、結局生活保護その他の社会保障も同時に受けなくてはならず、受給審査などの煩わしい部分が解消されていないという点も挙げられています。
その先
もしもベーシックインカムを実施しようという気があるのであれば、よりコンセプトに沿った形の実験が望まれるところでありますが、現在のところはベーシックインカムの更なる実証実験は予定されていません。ベーシックインカムが導入されるかどうかは別としても、手厚い社会保障で知られてきたフィンランドが今後どこまで時代に即した形で社会保障を変えていくことができるのかは多くの国々が注目をしているところでしょう。
まずは実験の結果を待ちたいところではありますが、ベーシックインカムの実験はスイスでももうじき行われるようですし、カナダ、オランダ、アメリカなどでも注目を浴びています。
Source: YLE, STM, Ihmisoikeusliitto, YLE 2, KELA
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2018年5月27日日曜日
なぜだかフィンランドの左翼党が『新世紀エヴァンゲリオン』OP風に…「新世紀左翼同盟」!
フィンランドではこれまでにもフィンランドの大統領選挙や地方選挙が「日本アニメ風」になった動画が作られてきましたが、今度は『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニング風にフィンランドの「左翼同盟」(Vasemmistoliitto)のメンツを映し出した「Neon Genesis Vasemmisto」(新世紀左翼同盟)という動画が作られてちょっとした話題になっています。
この動画をFacebookページに掲載しているのは「勝利2019」という意味の名がついた「Voitto 2019」。「Voitto 2019」のFacebookページによれば、このグループは左翼が選挙に勝ち、緑と赤の政府になることを目指す活動を行う、という団体とのことで、2019年の国会選挙での2党の勝利を応援したいようです。
現在の前の政府は6政党が構成されていたためレインボー政府という呼び名でした。Voitto 2019の述べる「緑と赤」は、「緑の同盟」(Vihreä liitto)と赤色で代表される「左翼同盟」による連立政権が望ましいとしているわけです。与党の価値観が違う場合党が途中で抜けてしまうこともあり(レインボー政権では左翼党が途中で離脱した)緑の党と左翼党の価値観が似ているためスムーズな政治が行われるであろうことから。
2019年の選挙がどうなるかは判りませんが、なぜだか近年はフィンランドの政治と日本アニメの関連性が面白いことになっているようですね。
Image: Facebook
Source: Facebook
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2018年1月31日水曜日
旅行者の方ご注意!フィンランド全国で金曜にスト。交通などに影響の恐れ
今週の金曜日はフィンランド全国のほとんどの市内公共交通機関を含む運転系の仕事がストライキする予定です。これにはバス、トラム、メトロなどが含まれますのでご注意ください。電車、飛行機、タクシーはストはなし。しかしその為電車やタクシーは混む可能性もあります。
今回のストの原因は政府が労働組合との合意を破ったことにあります。まず、フィンランド中央労働組合「SAK」というのがあります。これは18の労働組合からなり、中には公務員組合、工業組合、運行組合、サービス業組合、鉄道組合などが含まれ、会員数は100万足らず。
政府はフィンランドの国際競争力を高めるための「Kilpailukykysopimus」競争契約に関連して、公務員の有給休暇金や祝日を減らそうとしました。政府は、これに皆が納得すれば失業支援金には変更を加えない、としたため、組合側はしぶしぶこれに承知。政府は公務員の有給や祝日を減らしました。しかし政府は約束は無視して、討論もままならないまま12月28日に失業者支援金変更案「Aktiivimalli」(アクティブ・モデル)に許可を出し、今年1月より施行しました。
政府が労働組合を裏切った形になったため、中央労働組合がデモを行うことに。これに際し、傘下の組合にストライキに参加要請したために今回のストが行われるというわけです。中には中央労働組合傘下ながらもストライキには参加しないところもあり、例えば鉄道、航空、サービス業の組合などはストに参加していません。
今回施行された失業支援金変更では、新たに失業者は65日以内に以下の3つの条件のいずれかを満たさなければならないということになっています。
・18時間の賃金労働(バイトとか)をしなくてはならない
・自営業で241ユーロを得る
・失業支援事務所の支援アクティビティに5日換算か(自分でコースに通う、インターンなどでもありのよう)
もしどれも満たしていなければ、次の65日間に与えられる支援金は4.65%減らされる、というもの。失業者がより「アクティブ」でないといけないので「Aktiivimalli」(アクティブ・モデル)と呼ばれています。失業支援金は失業している日数で換算されるため、4.65%減は一ヶ月にもらえる失業支援金が一日分減ることと同等のよう。
大したことない変更に思えますが、この変更が一番問題になるのは街ではなく田舎のはず。つまり、そもそも仕事が存在せず、バイトしようにもそんな機会がなく、失業支援所がそもそも何もアクティビティをやっていないような状況の町に住んでいれば、どんなに自分が努力しようとしても支援金が下がってしまう状況に置かれるアンフェアさがあるのです。
YLEのコメントの半数は「ここまでおおきなストライキでないと政府に声を伝えられない。政府は嘘つき。国民や組合は怒っているという事を示すために、そして誰もが自らも失業する可能性を意識しているからこれを行うのだ。」というもの。
しかしもう半数は「政府は民主主義で投票で選ばれたが、組合は違う。組合が民主主義と戦っているようだ。頑張って仕事をしている私たちにとってはストのせいで仕事にいけなかったら無休で休むか有給休暇を使うことになる。なぜ必死で何もしない失業者の1日分のお金を私の1日分のお金で守らねばならないのか。迷惑だ。そもそも失業者にアクティブな活躍が求められるのに何が悪いのか。」という感じのもの。
今年はフィンランド内戦から100年ですが、このタイミングでの大規模ストライキ(内戦前にもゼネストがあった)、今後の政府や労働組合の動きにも注目です。
Source: SAK, YLE
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2017年8月12日土曜日
旅行者ご注意!Berner交通通信大臣の国有鉄道VRの改革で月~火曜に全国鉄道スト!
去る月曜、交通通信大臣Anne Bernerがフィンランドの鉄道VRの改革計画を発表しました。VRは国有株式会社(100%の株を国が持っている)ですが、この鉄道構造改革計画をうけ、VRはこれに大反対。8月14日月曜午後6時から15日火曜日全日(0時まで)、フィンランド中の鉄道がストライキになります。水曜には通常通り運行されるとみられます。
ストライキはVRの鉄道サービスに限られるため、バスやトラム、地下鉄は走りますし、ロシア行きのAlegroは運行するとのこと。
この改革計画(「案」ではなく、法律を変える必要も無いので、現状ではこの計画が実行される予定のよう)には6つのポイントがあります。
一つ目
これまでVRが独占していた旅客鉄道事業を解放し、他の交通会社が参入できるようにするというもの。2020年から南フィンランドの通勤列車を競争にかけ、2026年には全国に適応するというものです。フィンランドでは交通局が線路を持っており、この交通局とVRの間の契約により、交通局提供の線路はVRしか使用してはいけません。これは法律ではなくただの契約なので、契約期間の2024年以降はこの契約を変更すれば他社も線路を使用できるのです。
二つ目
路線はライセンス契約することとなります。これにより一部人口の少ない地域が含まれていても、「採算がとれないから各駅停車にしない」ということにはできないようにします。
例えば東フィンランドの地域で鉄道会社をやりたいけど、でも各駅列車は割に合わないから特急しか運行しない、なんて言うことはできません。
三つ目
VRを三つに分割し、列車車両部門、管理部門、駅部門とする。こうして列車車両部門を切り離すことで、他の新規参入の鉄道会社にVRが車両を貸し出しすることが可能になるのです。
四つ目
競争が自由になることで、自治体や県も参加できるようになります。これまで地方の鉄道サービスが悪かったという場合も、自治体自ら改善可能となります。自治体のローカル鉄道も作れるというわけ。フィンランド人は家族と一緒にふるさとに住みたいという人が多く見られるのですが、田舎でも鉄道の便がよくなれば、彼らが距離は離れていてもより適した仕事に就き易くなるというわけ。電車なら車を運転して長距離通勤するよりもさらに遠くに早くいけるわけですしね。
五つ目
期待されるのはサービスの向上により、鉄道便数もよくなること。これにより乗車券も安くなるとされています。が・・・実際の事例を見るとそうとも言えず、イギリスでは元々国有化されていましたが、競争が始まってからチケット価格が上昇。スウェーデンでも同様に乗車券料金が高くなったという事例があるとのことです。
六つ目
EUの2016年12月に通った方針で、鉄道競争を増やすべしとされたのでこれに従わなくてはいけないというものがあるのでこれに従うとのこと。
Berner大臣は、「道路、海、空の交通は競争し合っているが、線路の上ではそうなっていない。EUの鉄道は自由に競争可能だ」などとしています。
ストライキを行うVR機関誌組合は「旅客鉄道を競争化したら国の資産が破壊されてしまうので、これを許すことはできない」としています。また、機関誌組合は競争がだめだと言っているわけではなく、フェアな競争になるべきだとして「列車を持つのが国有会社で、それを貸し出すのであれば、結局国の列車を使うだけで、それは競争にならない」などと語っています。
なおAnne Berner大臣は、このブログでも風刺アニメにしている人物です。
Source: YLE, YLE 2, YLE 3
(abcxyz)
2017年7月1日土曜日
ヘルシンキ中央駅広場、何も悪いことしてないのに難民デモも撤去
先日、ヘルシンキ中央駅広場から反移民・ナショナリスト団体Suomi Ensinのデモテントが撤去されました。しかし、同じく中央駅広場にあった難民らによる「Oikeus Elää」(生きる権利)デモのテントも本日撤去されてしまいました。
難民らによるデモテントはデモのルールに従っており、特に何か悪いことをしたために撤去されたというわけではなく、Suomi Ensinによる報復の可能性などがあるため、警察が安全を考慮して撤去を指示したようです。
[via YLE]
(abcxyz)
2017年6月29日木曜日
ヘルシンキ中央駅広場の反移民・ナショナリスト団体のテントが撤去されてた
ずいぶん前からヘルシンキ中央駅横の「Rautatientori」(中央駅広場、フィンランド国民文学の父ともされるAlexis Kiviの彫刻がある広場)には二つのテントがありました。
Ateneum美術館に近い側には難民によるフィンランドの難民対策の厳しさに対し異議申し立てデモのテントが、そしてAlekis Kiviの彫刻近くには「Suomi Ensin」(英語で言ったら「フィンランド・ファースト」)というナショナリスト団体による反移民抗議テントがあったのです。難民テントはRautatientoriに来る前にはKiasma近代美術館の前にあったものです。この難民によるデモのテントは、難民申請が拒否された人々によるもので、主に審査に異議申し立てをしている期間の拠り所となっているようです。警察に申請して行う正式なデモ扱いなためここで寝ることはできませんが(寝泊まりするとキャンプという扱いになってしまう)、炊き出しなどが行われています。Suomi Ensinのテントもまた、そこでコーヒーを飲んだりしている人がよく見られました。
さて、そんな二つのテントですが、Suomi Ensinのテントは警察により退去命令が出され、今週月曜取り払われることになりました。その理由は、Suomi Ensinの支持者たちにより通りがかった人が襲われる事件が多発したため。YLEがヘルシンキ警察のJari Taponen警部の話として伝えるところによれば、これまでにも通りがかった人がSuomi Ensin支持者たちに暴行を受けたケースがあったものの「週末にかけて抗議者たちが傍観者に暴行を加える事件が3件起きた」とのこと。ほかにも彼らが違法行為をしたことも理由であるとしています。
テント取り払いの現場には警察も見物人や当事者たちとみられる人々が多数いました。また、そこではKari Tapioの「Olen Suomalainen」(私はフィンランド人)という1983年の歌が誰かのスピーカーから流されていました。
動画は
Herrahauntより。
なお、2014年には、移民や難民も含め様々な国にルーツを持つフィンランド人たちを映し出した「Kansalaiset feat. Medborgare」(Kansalaisetはフィンランド語で「国民」の意味、Medborgareはスウェーデン語で同意味)による同曲のカバーも存在します。
動画はKansalaiset Medborgareより。
でも一応書いておくとこの曲はもともとはイタリアの歌手Toto Cutugnoによる「L'italiano」(イタリア人)が原曲です。なのでナショナリスト団体が流していたとすればかなり皮肉ですよね。先のカバー版のおかげもあり曲の持つイメージとしてはもっと多様性を持ったものとなっているので、別の人たちが流していた可能性もありますが。
歌の話はさておき、人通りの多い中央駅横の広場で通りがかりの人を襲うなんて恐ろしい話ですよね。テントが撤去されてよかった。
なお、難民によるデモのテントはまだ広場のAteneum美術館側に存在します。
あと付け加えると、テントがあっても無くても夜のヘルシンキ中央駅はヘルシンキで一番暴力事件が起こりやすい(といっても酔っ払い間の暴力が多いようですが)ところとして知られていますのでご注意ください。
[via YLE]
(abcxyz)
2017年6月14日水曜日
フィンランド政府、真のフィンランド人党分裂で、政府解散しない可能性も
Perussuomalaiset(真のフィンランド人党、以下PS)の新党首が人種差別的な発言で知られるJussi Halla-Ahoとなったことで、昨日の段階では政府解散かと思われていました。
しかし今日は、元PS党首Timo Soiniを始め、合計20人のPSメンバーがPSの国会議員グループを出てUusi Vaihtoehto(新しい選択)というグループを結成しました。首相のJuha Sipiläは、明日今日、政府解散届けをするために国会解散の権限を持つNiinistö大統領に会いにゆく予定があったようですが、それもこれを受けキャンセルに。
Uusi Vaihtoehtoは、今までのPSが政府と協力していたとおりに政府の方針に従って協力するとのこと。Jussi Halla-Aho党首の下には15人の議員がまだ居残りますが、政府議席としてはまだ107あるので政府が成り立ちます(この内一人は議長なので投票時には106票分の投票権)。PS(もUusi Vaihtoehtoも)抜きでRuotsalainen kansanpuolue / Svenska folkpartiet(スウェーデン党、以下RKP)とKristillisdemokraatit(キリスト教民主党、以下KD)を政府に取り入れた場合は議席数がギリギリの101となるので、それよりは余裕を持った感じです。
結局Halla-Ahoの支持者が一部だけ政府を去る形になりましたが、まだ今のところは上記内容も確定ではありません。どうなるか気になりますねー。
[via YLE]
(abcxyz)
しかし今日は、元PS党首Timo Soiniを始め、合計20人のPSメンバーがPSの国会議員グループを出てUusi Vaihtoehto(新しい選択)というグループを結成しました。首相のJuha Sipiläは、
Uusi Vaihtoehtoは、今までのPSが政府と協力していたとおりに政府の方針に従って協力するとのこと。Jussi Halla-Aho党首の下には15人の議員がまだ居残りますが、政府議席としてはまだ107あるので政府が成り立ちます(この内一人は議長なので投票時には106票分の投票権)。PS(もUusi Vaihtoehtoも)抜きでRuotsalainen kansanpuolue / Svenska folkpartiet(スウェーデン党、以下RKP)とKristillisdemokraatit(キリスト教民主党、以下KD)を政府に取り入れた場合は議席数がギリギリの101となるので、それよりは余裕を持った感じです。
結局Halla-Ahoの支持者が一部だけ政府を去る形になりましたが、まだ今のところは上記内容も確定ではありません。どうなるか気になりますねー。
[via YLE]
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2017年6月12日月曜日
フィンランド政府人種差別的な価値観の党首は許さず。政府解散、再建へ
フィンランド政府与党のPerussuomalaiset(真のフィンランド人党、以下PS)に、人種差別的な発言で知られるJussi Halla-Aho党首が新たに選ばれたことは昨日お伝えしたばかりですが…。これを受けて、Suomen Keskusta(フィンランド中央党、以下Kesk)党首で首相であるJuha Sipiläと、Kansallinen kokoomus(国民連合党、以下Kok)党首で財務大臣のPetteri Orpoは、もう政府にPS党を入れることはできないという合意に達しました。つまり、政府解散です。
Halla-AhoはPS党をより国家主義的で欧州懐疑主義的な方向に導くつもりだと話していました。(YLE)
SipiläとOrpoは共にツイッターで以下のようなツイートをしています。
話し合いが行われた。Kesk/Kok議会グループへの我々の共同提案は:Halla-aho率いるPS党と協力する余地はない。
Keskustelut käyty. Yhteinen esityksemme Kesk./Kok. eduskuntaryhmille: ei edellytyksiä jatkaa yhteistyötä Halla-ahon johtaman PS:n kanssa.
— Juha Sipilä (@juhasipila) 2017年6月12日
Keskustelut käyty. Yhteinen esityksemme Kesk./Kok. eduskuntaryhmille: ei edellytyksiä jatkaa yhteistyötä Halla-ahon johtaman PS:n kanssa.
— Petteri Orpo (@PetteriOrpo) 2017年6月12日
後にHalla-AhoはFacebookにて、現政府は2015年にPS党が政府に入った当時の政府政方針や難民方針に従うべきだなどとSipiläとOrpoとの話し合いで伝えたと述べています。しかし、これに対しSipiläは今よりも厳しい移民方針にすることは不可能だと答えたそう。(追記:難民に対する政府の方針という緩い枠組みの中で、Halla-Ahoはもっと厳しくすべきと言っている。別に元の政府方針が今より厳しいはずだったというわけではなく、あくまでもHalla-Ahoは同じ枠組みの中でもっと厳しくすべきと言っているだけ。 YLE)
PS党を政府から追い出せば国会の議席数の過半数に足りなくなるので、KeskとKokは政府を作り直さなければ法案が通せなくなります。KeskとKokは現在の野党を政府に入れようとするでしょうが、それが無理であれば国会解散し、総選挙となるでしょう。
そこら辺の詳細も前回の投稿に記してありますので今後どうなるか気になる方はどうぞ。
なおRuotsalainen kansanpuolue / Svenska folkpartiet(スウェーデン党、以下RKP)のAnna-Maja Henriksson党首は、既に政府を作り直すなら政府に入る交渉をする準備があると述べています。(YLE)また、Kristillisdemokraatit(キリスト教民主党、以下KD)も交渉準備はあるとのこと。両政党がKesk/Kokに加われば、101/200議席となり過半数は超えますが、RKP、KDどちらの政党も無条件で政府に入るつもりは無いようで、あくまでも交渉の準備があるとのことのよう。
国会解散の権限を持つNiinistö大統領は「ひとまずは現国会で迅速に新政府を」としながらも、総選挙も可能だとしています。(YLE)
[via YLE]
(abcxyz)
2017年6月11日日曜日
フィンランド政府連立与党次期党首は人種差別で知られるHalla-Ahoに。
Perussuomalaiset(真のフィンランド人党、以下PS)の現在の党首Timo Soiniは党首を辞めると意思表明していましたが、次の党首が決まりました。
Sampo Terho(現「ヨーロッパ文化とスポーツ」大臣)とJussi Halla-Aho(46)の間でどちらになるかが注目されていましたが、結局次期党首はJussi Halla-Ahoとなってしまいました。Halla-AhoはEU議会のフィンランド代表議員の一人でもあり、ヘルシンキ市議会議員でもあります。
しかし、多文化性とフィンランドの移民制度を批判していることで知られており、何度も様々なブログ上での発言で訴えられています。例えば:
・移民増加のせいで性犯罪が増えているため、性犯罪の被害者は緑党、左翼党の支持者になるべき。
緑の党の女性議員に訴えられる>警察が起訴するほどのものではないと判断
2009年にはこんな発言も:
・ペドフィリア、泥棒、人の税金で生活するのはイスラム教の遺伝。
警察に起訴され有罪に>「宗教的平和を破壊する罪」で収入に合わせた30日分の罰金として330ユーロの罰金を支払うことに
またHalla-Ahoは逆に、YLEに「人種論博士」と形容されたこと(Halla-Ahoは大学でロシア語専攻、古典教会スラブ語の博士号を持っている。このことと人種差別的なことをかしこまって言うことを揶揄してこう言った)を訴えたりもしています。
思ったことを周りを気にせず口にすることで人気を得た彼は、アメリカ大統領のドナルド・トランプも想起させるものの、落ち着いて賢そうな話し方をする彼はトランプほど馬鹿っぽい雰囲気はありません。内容はトランプ的だが言い方はかしこまっている、と言ったイメージです。
現在の与党は議席の多い順にSuomen Keskusta(フィンランド中央党、以下Kesk)、Kansallinen kokoomus(国民連合党、以下Kok)、PSの三政党で構成されています。
彼が政権の一端を担う真のフィンランド人党の党首となることで、今後大臣の入れ替わりがあると見られており、PS内のより人種差別的な議員が大臣として選出されるのではとみられています。
しかしそうなると、KokもKeskも(特にリベラルな資本主義的政党であるKokは)人種差別は許容しないはずです。こうなると政府内部に亀裂が入るでしょう。
フィンランド国会の議席は200あり、どの政党も議席の半分を占めることは不可能です。そのため現政府は上記三政党で全議席過半数以上の議席を確保していたわけです。一つ前の政府はKOK、Sosialidemokraattinen puolue(フィンランド社会民主党、以下SDP)、Vasemmistoliitto(左翼同盟、以下Vas)、Ruotsalainen kansanpuolue / Svenska folkpartiet(スウェーデン党、以下RKP)、Kristillisdemokraatit(キリスト教民主党、以下KD)、Vihreä liitto(緑の同盟、以下Vihr)の6政党(Vasは途中離脱)で構成されていたためレインボー政府という呼び名(呼び名は政党の色の組み合わせで決まる事が多い)でした。
現在のところ支持調査ではKokが一番人気、KeskとPSの人気は下がっている状態で、もしHalla-Aho新党首が今の政権の合意と異なることをしようとしたり、人種差別的な議員を大臣にすれば内閣解散、KeskとKokは他の党を政府に入れないと議席の過半数を占めることができません。KDとRKPを取り入れることができれば議席数が101人となりますが、議席数がそんなにギリギリだと一人休んだら法案が通らないし、一人でも政府の決断に反対票を投じればやっぱり法案が通らなくなります。
PSはスウェーデン語の義務教育に反対しているため、スウェーデン党RKPはPSが政府を出れば政府に加わる可能性も(RKPはスウェーデン系の人さえ良ければ他の政策についてはどうでもいいと思っていると揶揄されることもしばしある)。しかしキリスト教のKDは、現政府の困窮者からの節約はキリスト教的価値観に合わないとして反発する可能性も持っています。
なお、SDP、Vih、Vasは現政府にかなり反対しているため誘われないだろうし、参加しても参加しないだろうとも見られます。
現政府が最重要と考えるのはSoTe-uudistus(福祉医療改革)。その現行案をどうしても通したいKokとKeskは、Halla-Ahoの言い分を飲む可能性もあるかもしれません。この福祉医療改革は2009年あたりから誰もに望まれていますが、現政府の改革案は今通すために無理やり形にした感があり、専門家にも批判を浴びています。
別の可能性としては、KokとKeskがPSと仲間割れし、政府解散して仲間を探しても見つからず…ということもありえます。そうなければ国会解散となり、選挙がおこなわれるでしょうが、そうなればKeskが政府に入ることは無いでしょうし、Persも入れないでしょう。しかしHalla-Ahoは政治ゲームに興味がある風ではなく、なおかつ交渉力も低いと見られており、そうなったとしてもそれを気にせずに政治を続けるだろうという見方もあります。
ヘルシンキ市長のJan Vapaavuori(Kok)は、「(Kokの)Orpo党首が決める問題ではあるが、Halla-AhoとKokは同じ政府にはいられない」などと発言しています。
また、非常に悪質な某人種差別フォーラムは(あえて名前を書かないのは、ターゲットになれば脅迫やストーキングの恐れもあるため)、これはもともとHalla-Ahoのブログのコメント欄から派生したものだそう。
Wikipedia, YLE [via YLE]
(abcxyz)
Sampo Terho(現「ヨーロッパ文化とスポーツ」大臣)とJussi Halla-Aho(46)の間でどちらになるかが注目されていましたが、結局次期党首はJussi Halla-Ahoとなってしまいました。Halla-AhoはEU議会のフィンランド代表議員の一人でもあり、ヘルシンキ市議会議員でもあります。
しかし、多文化性とフィンランドの移民制度を批判していることで知られており、何度も様々なブログ上での発言で訴えられています。例えば:
・移民増加のせいで性犯罪が増えているため、性犯罪の被害者は緑党、左翼党の支持者になるべき。
緑の党の女性議員に訴えられる>警察が起訴するほどのものではないと判断
2009年にはこんな発言も:
・ペドフィリア、泥棒、人の税金で生活するのはイスラム教の遺伝。
警察に起訴され有罪に>「宗教的平和を破壊する罪」で収入に合わせた30日分の罰金として330ユーロの罰金を支払うことに
またHalla-Ahoは逆に、YLEに「人種論博士」と形容されたこと(Halla-Ahoは大学でロシア語専攻、古典教会スラブ語の博士号を持っている。このことと人種差別的なことをかしこまって言うことを揶揄してこう言った)を訴えたりもしています。
思ったことを周りを気にせず口にすることで人気を得た彼は、アメリカ大統領のドナルド・トランプも想起させるものの、落ち着いて賢そうな話し方をする彼はトランプほど馬鹿っぽい雰囲気はありません。内容はトランプ的だが言い方はかしこまっている、と言ったイメージです。
現在の与党は議席の多い順にSuomen Keskusta(フィンランド中央党、以下Kesk)、Kansallinen kokoomus(国民連合党、以下Kok)、PSの三政党で構成されています。
彼が政権の一端を担う真のフィンランド人党の党首となることで、今後大臣の入れ替わりがあると見られており、PS内のより人種差別的な議員が大臣として選出されるのではとみられています。
しかしそうなると、KokもKeskも(特にリベラルな資本主義的政党であるKokは)人種差別は許容しないはずです。こうなると政府内部に亀裂が入るでしょう。
フィンランド国会の議席は200あり、どの政党も議席の半分を占めることは不可能です。そのため現政府は上記三政党で全議席過半数以上の議席を確保していたわけです。一つ前の政府はKOK、Sosialidemokraattinen puolue(フィンランド社会民主党、以下SDP)、Vasemmistoliitto(左翼同盟、以下Vas)、Ruotsalainen kansanpuolue / Svenska folkpartiet(スウェーデン党、以下RKP)、Kristillisdemokraatit(キリスト教民主党、以下KD)、Vihreä liitto(緑の同盟、以下Vihr)の6政党(Vasは途中離脱)で構成されていたためレインボー政府という呼び名(呼び名は政党の色の組み合わせで決まる事が多い)でした。
現在のところ支持調査ではKokが一番人気、KeskとPSの人気は下がっている状態で、もしHalla-Aho新党首が今の政権の合意と異なることをしようとしたり、人種差別的な議員を大臣にすれば内閣解散、KeskとKokは他の党を政府に入れないと議席の過半数を占めることができません。KDとRKPを取り入れることができれば議席数が101人となりますが、議席数がそんなにギリギリだと一人休んだら法案が通らないし、一人でも政府の決断に反対票を投じればやっぱり法案が通らなくなります。
PSはスウェーデン語の義務教育に反対しているため、スウェーデン党RKPはPSが政府を出れば政府に加わる可能性も(RKPはスウェーデン系の人さえ良ければ他の政策についてはどうでもいいと思っていると揶揄されることもしばしある)。しかしキリスト教のKDは、現政府の困窮者からの節約はキリスト教的価値観に合わないとして反発する可能性も持っています。
なお、SDP、Vih、Vasは現政府にかなり反対しているため誘われないだろうし、参加しても参加しないだろうとも見られます。
現政府が最重要と考えるのはSoTe-uudistus(福祉医療改革)。その現行案をどうしても通したいKokとKeskは、Halla-Ahoの言い分を飲む可能性もあるかもしれません。この福祉医療改革は2009年あたりから誰もに望まれていますが、現政府の改革案は今通すために無理やり形にした感があり、専門家にも批判を浴びています。
別の可能性としては、KokとKeskがPSと仲間割れし、政府解散して仲間を探しても見つからず…ということもありえます。そうなければ国会解散となり、選挙がおこなわれるでしょうが、そうなればKeskが政府に入ることは無いでしょうし、Persも入れないでしょう。しかしHalla-Ahoは政治ゲームに興味がある風ではなく、なおかつ交渉力も低いと見られており、そうなったとしてもそれを気にせずに政治を続けるだろうという見方もあります。
ヘルシンキ市長のJan Vapaavuori(Kok)は、「(Kokの)Orpo党首が決める問題ではあるが、Halla-AhoとKokは同じ政府にはいられない」などと発言しています。
また、非常に悪質な某人種差別フォーラムは(あえて名前を書かないのは、ターゲットになれば脅迫やストーキングの恐れもあるため)、これはもともとHalla-Ahoのブログのコメント欄から派生したものだそう。
Wikipedia, YLE [via YLE]
(abcxyz)
2017年6月1日木曜日
報道自由ランキング低下の原因となったフィンランド国営放送編集局長辞任
このブログでも、そして楽しいYouTubeアニメシリーズ『スゴいねスオミたん!』でも取り上げてきたSipilägate(シピラゲート)の一端を担い、世界報道自由ランキングでフィンランドの順位を落とすきっかけともなったフィンランド国営放送YLEの編集局長Atte JääskeläinenがYLEを辞めることになりました。
ジャーナリズムの道徳監視組織JSN(Julkisen sanan neuvosto)は、フィンランド語時事問題部門の編集局長JääskeläinenとYLEのやり方が間違っていると今年3月に批判。それを受けてYLE自らこれを調査し、その結果、Jääskeläinenをトップに持つ行政かのようなリーダーシップが良くないと内部で判断しました。
5月28日付のHelsingin Sanomat朝刊に掲載されたインタビューにて、JSNにもYLEの調査でもあなたが間違っているとされているが、なぜ認めないのか訊かれ「組織としてのYLEとその方針は彼らが決めるわけでなく、YLEはJSNに入りたいから入っているわけで、JSNがYLEの方針を決めつけようとするならYLE自ら組織を作ることになるかも。」などと答えました。同日彼はこんなツイートをしています。
Hei. Aamun Hesarin jutusta: Se ei ollut edes vihjaus. Ei Yle tietenkään ole JSN:stä lähdössä mihinkään.
— Atte Jääskeläinen (@attesakari) May 28, 2017
やあ。今朝のHelsingin Sanomatの記事ですが、そういう意味の暗示ではなかった。YLEはもちろんJSNを出ようとしているわけではない。
Aamun Hesarin jutusta: Tarkoitin heitollani alleviivata vain, että päätösvalta Ylen journalismista pitää olla Ylellä.
— Atte Jääskeläinen (@attesakari) May 28, 2017
私が言ったことでただYLEのジャーナリズムの方針を決める力はYLEにあるべきということを強調したかっただけです。
IltasanomatもYLEもこのツイートを記事に引用。Iltasanomatは「これはただの皮肉だった」との本人からのコメントも掲載しています。Jääskeläinenはこれらの記事をリツイートした後にこんなツイートをしています。
Sanotaan se nyt suoraan: Mokasin varomattomalla lausunnolla vakavassa aiheessa. En halua horjuttaa JSN:n asemaa. Haluan vahvan JSN:n.
— Atte Jääskeläinen (@attesakari) May 28, 2017
正直に言います。私は真剣な話題の中で熟考せず発言をしてしまった。それは間違いでした。私はJSNの立場を崩そうとしているわけではない。私は強いJSNが欲しい。
そして翌日29日、YLEからJääskeläinen辞任のお知らせが発表された。
今回のJääskeläinenの辞任に関しては、YLE理事会がJääskeläinenと相談しての決定であり、別に辞任しろとかそういう話があったわけではないとも話しています。辞任に関してのJääskeläinenからのメッセージには
「私のYLEの中の立場より、社会の中のYLEの立場の方が大切だから辞任します。」
などと書いてあるんですが…みんなそう思ってたから最初から辞めろって言ってたんだよ…
image by me
[via Twitter,YLE]
(abcxyz)
2017年4月27日木曜日
世界報道自由ランキング2017、5年連続1位のフィンランドは3位転落。首相の「シピラゲート」事件が影響。日本は変わらず72位
なんだかもうブログタイトルを「フィンランド・ネガティブ情報ブログ」とかにしたほうがいいってくらいにポジティブなネタを書いていませんが、今回もまたネガティブな話題です。
世界報道自由ランキングでこれまでこれまで5年連続1位の座に居座っていたフィンランドですが、今年は3位に落ちました。
Reporters Without BordersによるThe World Press Freedom Index(世界報道自由ランキング)、フィンランドに替わって1位の座を得たのはノルウェー、2位はスウェーデンとなりました。日本の順位も近年、福島原発や特定秘密保護法、安倍政権のせいで下がっていましたが、今年は昨年と同じで72位でした。
フィンランドがトップの座を明け渡したのは当然ながら当ブログでも取り上げたり(風刺アニメ作ったりしている)フィンランドの首相Juha SipiläによるSipilä-gate(シピラゲート)のせいです。これで国際的なランキングで正式にフィンランドの順位を下げる事となりました。今後フィンランドの報道の自由がどうなるかも心配なところです。
[via Reporters Without Borders]
(abcxyz)
2017年4月21日金曜日
フィンランドを勝手に紹介するアニメーション『スゴいねスオミたん!』第二話のご紹介と解説
相変わらず「フィンたん」らしさも無ければ、フィンランドの紹介にすらなっていない、内容の薄いフィンたんのアニメーション第2話が公開されましたね!フィンランド大使館のウェブサイトではフィンたんを演じる声優達のインタビューも掲載されていますが、結局声優たちも特にこの仕事からフィンランドについて詳しく知ることができたことがないのが彼らのコメントからもわかります。
そんなわけでフィンランドを紹介する楽しいアニメーション、「スオミたん」待望の第二話を作りました!フィンたんのアニメなんかよりずっとフィンランドのことがよく分かるしフィンランド語も出てきます!
前回のキャラクターと今回のキャラクターは違う政治家を風刺したキャラクターではありますが、同じ「スオミたん」としているのは、政治家それぞれがスオミ=フィンランドを代表しているからです。
今回の動画のスオミたんは、公共の道路を民営化しようとしている交通通信省(liikenne- ja viestintäministeriö)の大臣Anne Berner。動画ではAnne Bernerを念頭に置きながらも、国の機関を次々と民営化していく現政府を揶揄しています。
Bernerは出生地はフィンランドながらもスイス人の家庭に生まれた彼女はヘルシンキでドイツ学校に通い、フィンランドで政治の道に入るまではフィンランド国籍も取得していませんでした。政治家としてのBernerは、一期だけ政治家をしたら止める事を公言(Nordic Labour Journal)しており、政治のための政治をする政治家ではなく、ビジネスパーソンとしての自らのキャリアのために政治家をしていることは明白です。
「フィンランドを自分のために利用…じゃなかった、自分をフィンランドのために役立てたいと…」の件は、「20年後どのような大臣として歴史に残りたいか?」という質問に対して「jotka hyödyntävät Suomea laajasti」、「フィンランドを利用する解決(をした大臣)」とのBernerの発言(via HS.fi)から。本当は「jotka hyödyttävät Suomea laajasti」、「フィンランドのためになる解決(をした大臣として歴史に残りたい)」と言いたかったのでしょうが…。家族内ではドイツ語で会話するBernerですが、フィンランド語も完璧に話す彼女がわざと「hyödyttävät」を「hyödyntävät」と言ったのでは(本音が出たのでは)との嫌味な見方もされています。
また国営の空港運営会社Finaviaでの巨額の損失を出した投資に関する調査をBernerが中止させたことで、この投資に関わっているのではないかとの憶測もあります。
日本でも時折見かけるフィンランドのインテリアブランドVallila Interiorは1935年より彼女の家族が経営している会社でもあります。
(abcxyz)
そんなわけでフィンランドを紹介する楽しいアニメーション、「スオミたん」待望の第二話を作りました!フィンたんのアニメなんかよりずっとフィンランドのことがよく分かるしフィンランド語も出てきます!
前回のキャラクターと今回のキャラクターは違う政治家を風刺したキャラクターではありますが、同じ「スオミたん」としているのは、政治家それぞれがスオミ=フィンランドを代表しているからです。
今回の動画のスオミたんは、公共の道路を民営化しようとしている交通通信省(liikenne- ja viestintäministeriö)の大臣Anne Berner。動画ではAnne Bernerを念頭に置きながらも、国の機関を次々と民営化していく現政府を揶揄しています。
Bernerは出生地はフィンランドながらもスイス人の家庭に生まれた彼女はヘルシンキでドイツ学校に通い、フィンランドで政治の道に入るまではフィンランド国籍も取得していませんでした。政治家としてのBernerは、一期だけ政治家をしたら止める事を公言(Nordic Labour Journal)しており、政治のための政治をする政治家ではなく、ビジネスパーソンとしての自らのキャリアのために政治家をしていることは明白です。
「フィンランドを自分のために利用…じゃなかった、自分をフィンランドのために役立てたいと…」の件は、「20年後どのような大臣として歴史に残りたいか?」という質問に対して「jotka hyödyntävät Suomea laajasti」、「フィンランドを利用する解決(をした大臣)」とのBernerの発言(via HS.fi)から。本当は「jotka hyödyttävät Suomea laajasti」、「フィンランドのためになる解決(をした大臣として歴史に残りたい)」と言いたかったのでしょうが…。家族内ではドイツ語で会話するBernerですが、フィンランド語も完璧に話す彼女がわざと「hyödyttävät」を「hyödyntävät」と言ったのでは(本音が出たのでは)との嫌味な見方もされています。
また国営の空港運営会社Finaviaでの巨額の損失を出した投資に関する調査をBernerが中止させたことで、この投資に関わっているのではないかとの憶測もあります。
日本でも時折見かけるフィンランドのインテリアブランドVallila Interiorは1935年より彼女の家族が経営している会社でもあります。
(abcxyz)
2017年4月8日土曜日
投票日を明日に控えるフィンランドの地方選挙が日本風アニメになった(しかも日本語吹き替え!)
駐日フィンランド大使館がフィンたんアニメを作ったからか、はたまた当ブログでアニメーションを作ったから(…では無いでしょうが)か、なぜだかフィンランドの地方選挙を明日に控え国営放送YLEのSNS動画サービス『Kioski』内で、フィンランドの地方選挙戦が日本風アニメ化されてます。
しかも内容はフィンランド人がローマ字を日本語で読み上げているようで、バッチリ日本語。イントネーションが少しわかりにくいところがありますが、そうは言っても内容はGoogle翻訳よりはしっかりしているので、ある程度日本語ができる人が作ったのではないかと思われます。
画的には各党の党首は誰もあまり本人に似ておらず、Juha Sipilä=「シピラ先輩」などは『天空の城ラピュタ』のムスカみたいな見た目に…人々の投票率を下げてしまうモンスター「低いパーセンテージ」はなんだか『ドラゴンボール』のピッコロっぽかったり。
[via Kioski]
(abcxyz)
しかも内容はフィンランド人がローマ字を日本語で読み上げているようで、バッチリ日本語。イントネーションが少しわかりにくいところがありますが、そうは言っても内容はGoogle翻訳よりはしっかりしているので、ある程度日本語ができる人が作ったのではないかと思われます。
画的には各党の党首は誰もあまり本人に似ておらず、Juha Sipilä=「シピラ先輩」などは『天空の城ラピュタ』のムスカみたいな見た目に…人々の投票率を下げてしまうモンスター「低いパーセンテージ」はなんだか『ドラゴンボール』のピッコロっぽかったり。
[via Kioski]
(abcxyz)
2017年3月13日月曜日
フィンランドを勝手に紹介するアニメーション『スゴいねスオミたん!』第一話のご紹介
先日公開されたフィンランド大使館のマスコットキャラ、「フィンたん」のアニメーションが適当すぎて納得がいかなかったので(?)、自分でフィンランドを紹介するアニメーションを作ってみました。
それがこちら、フィンランドを勝手に紹介するアニメーション『スゴいねスオミたん!』です。
フィンたんのアニメが表現できなかったフィンランドの「革新的」、「創造的」、「真面目になりすぎない」、「接しやすい」部分を皮肉と政治批判たっぷりに表現しています。第一話は本ブログでも何度も取り上げてきた「シピラ・ゲート」の話です。
フィンランド語字幕も付いていますのでフィンランド語を学んでいる方もぜひどうぞ。今後どこまで続くかわかりませんが、第二話の構想も練っているところですのでお楽しみに!
なお、「Suomi Finland Perkele」部分は(フィンたんアニメの批判記事でも記した)フィンランド独立100周年記念関連事業「Suomi 100」への風刺。最後の部分はフィンランド人の多くにとってトラウマとして知られるYLE 2の子供番組、『Pikku Kakkonen』の「弱い氷を渡って溺れそうになるクマの回」の最後のトラウマセリフ「Varokaa heikkoa jäätä」(薄い氷には気をつけて)のパロディーとなっています。
こちらがそのトラウマ回。
(abcxyz)
それがこちら、フィンランドを勝手に紹介するアニメーション『スゴいねスオミたん!』です。
フィンたんのアニメが表現できなかったフィンランドの「革新的」、「創造的」、「真面目になりすぎない」、「接しやすい」部分を皮肉と政治批判たっぷりに表現しています。第一話は本ブログでも何度も取り上げてきた「シピラ・ゲート」の話です。
フィンランド語字幕も付いていますのでフィンランド語を学んでいる方もぜひどうぞ。今後どこまで続くかわかりませんが、第二話の構想も練っているところですのでお楽しみに!
なお、「Suomi Finland Perkele」部分は(フィンたんアニメの批判記事でも記した)フィンランド独立100周年記念関連事業「Suomi 100」への風刺。最後の部分はフィンランド人の多くにとってトラウマとして知られるYLE 2の子供番組、『Pikku Kakkonen』の「弱い氷を渡って溺れそうになるクマの回」の最後のトラウマセリフ「Varokaa heikkoa jäätä」(薄い氷には気をつけて)のパロディーとなっています。
こちらがそのトラウマ回。
(abcxyz)
2017年3月3日金曜日
フィンランド国営放送YLEに中立的報道の危機。政府がYLEの方針を決めるよう法律を変える提案。
フィンランド国会のワークグループが、国営放送YLEの方針を国が決めることができるように法律を変えようと動いています。
国会のワークグループ(政府のみならず全ての党のメンバーから成る)が、YLEに関する法律を変更し、国会がもっとYLEの方針にかかわるべきだとする提案を出しました。
この提案では、YLEの方針を政治家からなる委員会が決定するべしというもの。この委員会のメンバーとなる議員は国会の投票により決まります。それプラスYLEのスタッフ2名が委員会に参加できるという提案ですが、YLEスタッフは会議に意見を述べる権利はあるものの、投票権はありません。
今後この提案は国会で議論される事となります。とは言っても現政権は多数の憲法に則っていない提案をこれまでに行っており、憲法の専門家から「それは違憲である」と指摘され、「じゃあナシに…」と国会議員たちの時間を無駄にして結局何もならないような提案も多数しています。今後この提案がどうなるかも不明です。
しかしアイデアを出したワークグループは、この提案を元に法律を「早く変えるべき」だとしており、人々はYLEの中立性が無くなるのではないかと心配しています。YLEの中立性といっても、YLEの口を黙らせたSipilä首相のSipilä-gate事件の後ではそもそも存在したのかどうかも怪しいところです。
Sipilä-gateのようなことがもう起こらないようにするためにこのような提案が出たとも見て取れますし、その真逆でもっと政府により国営メディアをコントロールするための提案とも見て取ることができます。
国営放送YLEの受信料は、YLEが現政権の好まない報道をしたとしても政府がその予算を変更できないよう、個人の支払う税金から一定の割合が設定(年間0.68%、高くても143ユーロ。0.68%が70ユーロ以下なら払わなくてもいい)されており、国営放送ながらも中立的な報道ができるようになっています。
[via MTV]
(abcxyz)
国会のワークグループ(政府のみならず全ての党のメンバーから成る)が、YLEに関する法律を変更し、国会がもっとYLEの方針にかかわるべきだとする提案を出しました。
この提案では、YLEの方針を政治家からなる委員会が決定するべしというもの。この委員会のメンバーとなる議員は国会の投票により決まります。それプラスYLEのスタッフ2名が委員会に参加できるという提案ですが、YLEスタッフは会議に意見を述べる権利はあるものの、投票権はありません。
今後この提案は国会で議論される事となります。とは言っても現政権は多数の憲法に則っていない提案をこれまでに行っており、憲法の専門家から「それは違憲である」と指摘され、「じゃあナシに…」と国会議員たちの時間を無駄にして結局何もならないような提案も多数しています。今後この提案がどうなるかも不明です。
しかしアイデアを出したワークグループは、この提案を元に法律を「早く変えるべき」だとしており、人々はYLEの中立性が無くなるのではないかと心配しています。YLEの中立性といっても、YLEの口を黙らせたSipilä首相のSipilä-gate事件の後ではそもそも存在したのかどうかも怪しいところです。
Sipilä-gateのようなことがもう起こらないようにするためにこのような提案が出たとも見て取れますし、その真逆でもっと政府により国営メディアをコントロールするための提案とも見て取ることができます。
国営放送YLEの受信料は、YLEが現政権の好まない報道をしたとしても政府がその予算を変更できないよう、個人の支払う税金から一定の割合が設定(年間0.68%、高くても143ユーロ。0.68%が70ユーロ以下なら払わなくてもいい)されており、国営放送ながらも中立的な報道ができるようになっています。
[via MTV]
(abcxyz)
2016年12月2日金曜日
詐欺まがいのヘルシンキ・グッゲンハイム計画は否決。もう世界のどこにもグッゲンハイムは建ちません(最初からそうしろよ)。
こちらの画像はヘルシンキ議会での投票数日前から街中に出没したグッゲンハイムの看板。「なんと美しい。美術館でダメにするなんて」と、現在は駐車場となっている建設予定地を皮肉った広告です。バス停などに出ているこの広告、かなりお金がかかるのにここにこんな広告を出すとは、よっぽど利益が見込めると見ていたのでしょうか。これから投票するという時にこんな広告を出すとはヘルシンキ市民も「まさかここまでやるか…」と感じていたよう。
そんな中、昨晩11月30日夜、ヘルシンキ議会の会議で三度目のヘルシンキ・グッゲンハイム案に対する賛否投票が行われました。
結果は53対32票で否決。めでたく今回のグッゲンハイム案も没となりました。
しかしこの投票前に行われた討論のなかにも面白い意見があったので一部抜粋します。
・真のフィンランド人党の議員の一人、建設予定地の港を指し「港は港だ」
グッゲンハイムに反対、と同時に数年前から港(マーケット広場横)に建っているフィンエアーの観覧車「Finnair Sky Wheel」にも反対している。
・キリスト教民主党の議員一人「これは市民が必要としていないもの」
・左翼同盟Paavo Arhinmäki「人類は長年永久機関を作ろうとしてきたが、何度否決しても新たな案と共に戻ってくるこれはそれかもしれない」
・グッゲンハイム建設賛成派の国民連合党Lasse Männistö「こういう討論の仕方は嫌だ」(そういう議論じゃないだろ…)、すでに提出されている案に賛成か反対かを決める場なのに「こう変更すれば賛成してはいいのでは」と改案を出そうとする
それじゃあ今からやる投票の意味が無いだろこれ、なにを言っているんだ…途中で勝手にグッゲンハイムが承認しない形に計画を変更してこの案を押し通すというのも変なので、もしかしたらグッゲンハイム側からMännistöが何らかの特別な話を持ちかけられているのかも?
・フィンランド社会民主党Pentti Arajärvi(前大統領タルヤ・ハロネンのご主人)勝手にいきなりこの場で物事を変えようとするMännistöに対し「行政のやり方に違反している」
・国民連合党Terhi Koulumies「我々の党のWille Rydman*と同じく反対」
(*ちなみにRydmanは人種差別主義者的発言で知られる)
・フィンランド中央党Laaninen Timo「そもそも賛成してたのにLasseが今言ったことでわからなくなった」
そもそも賛成派だった人だが、賛成派のMännistöの先の発言で心変わりか。
・緑の党議員の一人「最悪の最悪の最悪の場合*、何が起こるというのでしょうか?」、「最初の年は数万人、次の年は1万人しか来なくても、私たちには素敵な建築が残る」
*この部分だけ英語で「Worst worst worst case scenario」
とても熱意のこもった演説。じゃあグッゲンハイムにお金出さずに素敵な建築立てればいいんじゃ…
・左翼同盟Vuorjoki Anna「中身を決める財団委員会はヘルシンキ市から一人の代表、グッゲンハイムからは3人の代表、自分の市の美術館に影響できなくなる。市民をもっと参加させるという方針の真逆だ」
・社会民主党Anttila Maija「ヘルシンキにひとつ国際的な美術館があってもいいと思う」
・社会民主党Sevander Tomi「グッゲンハイムは美術館建設費を払うお金があると言っているが、実際には資本がなく、多くの会社や財団から借金を建てることになっている」
・左翼同盟Vuorjoki Anna(唯一成功しているグッゲンハイム)である「ビルバオのものでさえ現地アーティストにほぼ利益がなかった。ようやく近年になって現地アーティストの作品を買いだした」
・共産党Hakanen Yrjö数々の閉鎖や計画失敗しているグッゲンハイムの例を挙げるも「もし自分で支払うならヘルシンキ市が安く敷地提供する、というならいい」
・真のフィンランド人党Hyttinen Nuutti「海外に行ったら現地料理を食べるか、それともマクドナルドに行くか。フィンランドに海外から来たら現地の美術館に行きたいか、アメリカのフランチャイズ美術館に行きたいか、考えてください。」
そしてこちらが誰がどちらに投じたのかを示す画像です。
image by © Helsingin kaupunki
「JAA」が建設賛成派、「EI」が反対派議員です。ご覧の通り、賛成派の多くは(KOK)国民連合党と(VIHR)緑の同盟の議員となっています(各政党の日本語/フィンランド語表記はこちらで)。多くの反対派議員は、そもそもグッゲンハイムが詳細を明らかにしないままに計画を進めていたことに疑問を呈していました。
Helsingin Sanomatによれば、グッゲンハイム財団のRichard Armstrongはヘルシンキ・グッゲンハイム案が否決されたことに関連してこんなコメントをしています。
反アメリカ的、反帝国主義なレトリックがあったとは存じています。私は反ユダヤ主義についてはほとんど無かったと聞いています。
まるでもっと反ユダヤ主義的なコメントがあってほしかったかのようにも聞こえます。グッゲンハイム建設反対に関しての論点は主に資金、海外のフランチャイズであること、そして現地のアーティストへの影響であり、「ユダヤ人」の「ユ」の字も出てきていません。少なくとも昨日のヘルシンキ議会討論を三分の一見ていた間にはそのような発言は一切出てきていませんし、フィンランドでそのような発言を聞くこともありません。
これはまるで「人種差別カード」*をちらつかせているかのよう。フィンランドは継続戦争当時、ロシア軍から国土を守るためにドイツ軍から武器を供給され、そのかわりにドイツ軍がラップランドまで戦いに来ていました。もしかしたらこれをして「フィンランド―ナチス・ドイツ=反ユダヤ主義」の構図を作ろうとしているのでしょうか。
*(実際の人種差別に対してかどうかは関係なく、「それ、人種差別だ」として自らを人種差別の被害者として相手を人種差別主義者だと非難し、事を自分に有利に動かするために使う切り札)
Richard Armstrongはこれまでにもインタビューの途中で「気に入らない」と部屋を出ようとし(て秘書に連れ戻され)たりと、その奇行でも知られる人物。
なお、Paavo Arhinmäkiの予想が外れて残念ではありますが、Armstrongによれば、もうヘルシンキにグッゲンハイムを建てる計画は出さないほか、もうほかの国にもグッゲンハイム美術館を建てる計画も無いようです。
新しい美術館がどんどん建っていますし、それらから要請があれば作品や展示を貸し出します。例として、中国には新たに大きな美術館地区ができますが、我々は美術館を建てるのではなく、その地域の活動者と協力します。今では多くのフィンランドの美術館と素晴らしい関係を築けていますから、より将来の協力関係もやりやすいでしょう。
などと話しています(多分来年完成予定のアブダビ・グッゲンハイムは除いての話でしょうが)。だったらそもそも適当に他国の血税で採算の取れない美術館建を建てさせるんじゃなくて最初からそうしろよ…とはいえ、この発言を鵜呑みにしているひとは少ないようで、グッゲンハイムはこれからも他国に美術館を建てようとするのではないかとの意見も聞こえます。
ヘルシンキのアーティストからは、「数年前からアート関連の補助金が少なくなっており、これまで出ていた補助金も出なくなった」という声や「文化振興したいならグッゲンハイムに回す額をヘルシンキのアートに回せばいいのに」という声もきかれていました。これまでグッゲンハイム賛成派だった議員は今後どういう政策方針で行くのかも見ものです。
top image by myself
[via Helsinki Kanava]
(abcxyz)
2016年12月1日木曜日
連載・さらば報道の自由度 国営メディアの口を黙らせた?スキャンダルまみれの首相
フィンランド最大の鉱害問題となっているTalvivaara鉱山(実際には山ではなく、露天掘り)。フィンランド最大のニッケル鉱山なのですが、2012年にその採掘に用いた有毒な水を溜めていたプールからニッケル、ウラニウムなど毒性の金属が含まれた水が川に流れてしまいます。2013年にもまた毒水が漏れ出たりして、結果として川のみでなく、地下水にまで浸透。非常に莫大な影響を環境に与えました。
これはTalvivaaran Kaivososakeyhtiöという会社の持っていた鉱山であったのですが、フィンランドはこの問題に対処するため国として資金を投じます。被害の規模は違いますが、日本で例えるならば、福島の原発の後始末に国がお金を出しているのと同じ形です。しかし結局Talvivaaran Kaivososakeyhtiö社は2014年に倒産。
2015年には国営企業TerrafameがTalvivaara社から鉱山を買い取り、採掘を続行。その後この鉱山は何度も野党から「閉鎖しろ」との声が上がりますが、潰れたTalvivaaran Kaivososakeyhtiöを
Suomen Keskusta / フィンランド中央党(独裁国家に武器輸出をし始めた党)の党首で(税金逃れをしている)総理大臣のJuha Sipiläは、鉱山から採掘できる鉱物の価格が国際的に上がっているなどとし、環境問題を直し、これからも採掘を続けようと国から巨額の出資を行います。
しかし、先週金曜YLEの報道がことを大きくします。Sipiläは鉱山まで行き、視察、社長らと面会。何か怪しいと勘ぐったメディアが調べ始めたのか、間もなく、営業している鉱山がSipiläの親戚、子供や叔父、従兄弟などが持つ会社Katera Steelから50万ユーロ(約6050万円)もの大きな契約を結んでいたことが明るみに出ました。
この契約は、 Sipilä政府がTerrafameを支援するために追加で1億ユーロ(約121億円)を投じた直後に結ばれたもので、もちろんSipiläもその決定に関わっています。
そもそも、何らかの決断を行う時に、決断が自分に利害関係のある会社などに関係したものであれば、自らが怪しまれないためにも(何もうらましいことがなくとも)決定権限を辞退するなりそれを証明する書類を出したりするべきです。
Sipiläは当然ながらなぜそうしなかったかと追求されており、国会の委員会もこれから調査に乗り出します。
しかしこれをYLEが報道した後、Sipiläはこれを自分への攻撃へと感じたようで、YLEの記者に午後11時以降20通もメールを送りつけています。その最後のものには「私のYLEに対する尊敬は現在ゼロです。もちろんあなたの私に対する尊敬も同じでしょう。これで対等ですね。」などと記されていました。
そして日曜。YLEの編集長が、すでにこの件に関する編集待ちの記事が存在したにもかかわらず、この件に関する報道はもうしないと決断。有名な政治トークショーA Studioでもこの件のためにSipiläも呼ばれていて、出演するはずだったにも関わらず、それもなしになってしまいます。
しかしSuomen Kuvalehti紙がこれを追求。月曜日の朝刊でYLEの記者たちからの匿名の情報提供を受けた記事を公開。YLEの記者は「多数のメールが総理からきたから中止になったんだと思う」(上記したメールが20通送られた件やその内容もこの時点で判明)。
次の日、YLE編集長は「国営メディアの役割は平等にバランス良く、重要性を考えて出すべき、重要性の割に生地を出しすぎていた。あまり攻めればYLEひとりでスキャンダルを作り上げていることになる」などと声明を発表。
この件に関する記事本数を減らすのと、この件を全く報じなくするのとでは全然違う話です。国営放送は、自国の政府や政治家をも批判できる独立性こそが重要です。そうでなければ某国のように政府の都合のいい話ばかり報道する国営放送になってしまいます。
Sipiläは後に記者会見で「YLEに対する信頼はまあ、OK」と発言しています。
フィンランドは世界の報道自由度ランキングでもトップであることでも有名、汚職度が世界的に低いことでも知られていますが、「Hyvä veli」文化のあるフィンランドで実際にこれを信じている人はどれだけいるのか怪しいもの。
知り合いのフィンランド人は「昔から汚職だらけだということは知ってた」と言う人や「汚職にも色々な種類があるが、汚職がない国というのは言い過ぎ」と言う声も。なおこの問題はイギリス国営放送BBCも取り上げています。
[via YLE, Wikipedia - Talvivaara Mining Company]
(abcxyz)
これはTalvivaaran Kaivososakeyhtiöという会社の持っていた鉱山であったのですが、フィンランドはこの問題に対処するため国として資金を投じます。被害の規模は違いますが、日本で例えるならば、福島の原発の後始末に国がお金を出しているのと同じ形です。しかし結局Talvivaaran Kaivososakeyhtiö社は2014年に倒産。
2015年には国営企業TerrafameがTalvivaara社から鉱山を買い取り、採掘を続行。その後この鉱山は何度も野党から「閉鎖しろ」との声が上がりますが、潰れたTalvivaaran Kaivososakeyhtiöを
Suomen Keskusta / フィンランド中央党(独裁国家に武器輸出をし始めた党)の党首で(税金逃れをしている)総理大臣のJuha Sipiläは、鉱山から採掘できる鉱物の価格が国際的に上がっているなどとし、環境問題を直し、これからも採掘を続けようと国から巨額の出資を行います。
しかし、先週金曜YLEの報道がことを大きくします。Sipiläは鉱山まで行き、視察、社長らと面会。何か怪しいと勘ぐったメディアが調べ始めたのか、間もなく、営業している鉱山がSipiläの親戚、子供や叔父、従兄弟などが持つ会社Katera Steelから50万ユーロ(約6050万円)もの大きな契約を結んでいたことが明るみに出ました。
この契約は、 Sipilä政府がTerrafameを支援するために追加で1億ユーロ(約121億円)を投じた直後に結ばれたもので、もちろんSipiläもその決定に関わっています。
そもそも、何らかの決断を行う時に、決断が自分に利害関係のある会社などに関係したものであれば、自らが怪しまれないためにも(何もうらましいことがなくとも)決定権限を辞退するなりそれを証明する書類を出したりするべきです。
Sipiläは当然ながらなぜそうしなかったかと追求されており、国会の委員会もこれから調査に乗り出します。
しかしこれをYLEが報道した後、Sipiläはこれを自分への攻撃へと感じたようで、YLEの記者に午後11時以降20通もメールを送りつけています。その最後のものには「私のYLEに対する尊敬は現在ゼロです。もちろんあなたの私に対する尊敬も同じでしょう。これで対等ですね。」などと記されていました。
そして日曜。YLEの編集長が、すでにこの件に関する編集待ちの記事が存在したにもかかわらず、この件に関する報道はもうしないと決断。有名な政治トークショーA Studioでもこの件のためにSipiläも呼ばれていて、出演するはずだったにも関わらず、それもなしになってしまいます。
しかしSuomen Kuvalehti紙がこれを追求。月曜日の朝刊でYLEの記者たちからの匿名の情報提供を受けた記事を公開。YLEの記者は「多数のメールが総理からきたから中止になったんだと思う」(上記したメールが20通送られた件やその内容もこの時点で判明)。
次の日、YLE編集長は「国営メディアの役割は平等にバランス良く、重要性を考えて出すべき、重要性の割に生地を出しすぎていた。あまり攻めればYLEひとりでスキャンダルを作り上げていることになる」などと声明を発表。
この件に関する記事本数を減らすのと、この件を全く報じなくするのとでは全然違う話です。国営放送は、自国の政府や政治家をも批判できる独立性こそが重要です。そうでなければ某国のように政府の都合のいい話ばかり報道する国営放送になってしまいます。
Sipiläは後に記者会見で「YLEに対する信頼はまあ、OK」と発言しています。
フィンランドは世界の報道自由度ランキングでもトップであることでも有名、汚職度が世界的に低いことでも知られていますが、「Hyvä veli」文化のあるフィンランドで実際にこれを信じている人はどれだけいるのか怪しいもの。
知り合いのフィンランド人は「昔から汚職だらけだということは知ってた」と言う人や「汚職にも色々な種類があるが、汚職がない国というのは言い過ぎ」と言う声も。なおこの問題はイギリス国営放送BBCも取り上げています。
[via YLE, Wikipedia - Talvivaara Mining Company]
(abcxyz)
2016年11月26日土曜日
「グッゲンハイムなんてクソ食らえ!」アメリカの胡散臭い系列美術館はヘルシンキに建つか?(ラップ動画付き)
「オレ、超有名なんだ。キミが建築費を出してくれたらいい美術館を建ててあげよう。あ、でも維持費も君が払ってね。オレ、有名だからきっと人がたくさん来てお金を落としてくれるよ。あ、もちろんキミにはライセンス料を払ってもらうよ。(ま、美術館が失敗しても借金を背負うのはオレじゃなくてオマエだけどな!)ハハハ!」
そんなあくどい詐欺にしか思えないのが世界に名高い美術館チェーン、グッゲンハイムです。もちろんフィンランドの首都ヘルシンキ市にもその魔の手は伸びています。
グッゲンハイム・ヘルシンキ計画、その1
まずは2011年にソロモン・R・グッゲンハイム財団がヘルシンキに作る計画を提出するも、(まだ正気だった/ロビイストによる影響を受けていなかった)ヘルシンキ市議会の投票により2012年に計画は却下されます。
バカげたことにこの美術館は、建設費用である1億30から1億40万ユーロ(156~168億円)を、ヘルシンキ市とフィンランドの国の予算負担で建てさせようというアイデアでした。
し・か・も、美術館の維持には年間1440万ユーロかかるにも関わらず、年間入館料見積もりは450万ユーロ(入場者53万人の見積もり)。そしてこの年間維持費のうち6.8mはフィンランド側に負担を求めるというものでした。なお、年間維持費用の面ではヘルシンキ市立美術館(Helsinki Art Museum、Tennispalatsiにあります。今は草間彌生の展示をやってます)は年間430万ユーロしかかかっていません。
更に、グッゲンハイムはライセンス料として年間2340万ユーロを取るというんだから、でかく出たものです。
これはヘルシンキ市議会代表の15人による投票が高いコストを理由に8対7で否決。
グッゲンハイム・ヘルシンキ計画、その2
今度は2013年にグッゲンハイム側が2番めの案として、「モダン&現代アートのフォームというコンテキストでの北欧とインターナショナルな建築とデザイン」に焦点を当てたものとする、ライセンス料は個人出資者たちが払う、入場者見積もりは55万人に増加、などとした案を提出。
今度はヘルシンキ市議会の代表がこれを通し、建築予定地を確保。
ご存じの方もおられるかもしれませんが、美術館の建築に関しては国際コンペが開かれ、フランス-日本の建築事務所Moreau Kusunoki Architectesによる案が通りました。この建築コスト見積もりは1億3000万ユーロでした。
なお、フィンランド美術博物館に関する法律があり、美術館には国から毎年予算を出さないといけません。
それに関して、Perussuomalaiset / 真のフィンランド人党の党首であり外務大臣のTimo Soiniが「Guggenheimiin ei tule valtion rahaa」、「グッゲンハイムには(国から)お金は出ません」と発言。これをラップ化した動画も作られちゃっていますのでまずはどうぞ(笑)。
結局はこの2番めの案は、国としてはグッゲンハイムへのお金は出さないということになりボツになります。でももしグッゲンハイムが作られるのであれば、それには美術館支援金は出すということになったようです。2016年に10月には、Suomen Keskusta / フィンランド中央党(独裁国家に武器輸出をし始めた党)の党首で(税金逃れをしている)総理大臣のJuha Sipiläが「国はこれに参加しません」と宣言(つまり、やりたいならヘルシンキ市がやれよ、ということ)しています。
グッゲンハイム・ヘルシンキ計画、その3
そして2016年11月、諦めきれないグッゲンハイム財団の3番目の計画。建設費用1億3000ユーロに対し、ヘルシンキ市は8000万ユーロを出す、グッゲンハイムは1500万ユーロを出すという、算数ができれば誰でも「あれれ?数あってないんじゃない?」という自体に。今回は維持費1160万ユーロに対して入館料が1120万ユーロと都合のいい数字になっています。入場者数見積もりは55万人のままですが、入場券を13ユーロから15ユーロに上げたのです。ヘルシンキ近代美術館Kiasmaの入場料は12ユーロ。しかし15ユーロというのは流石に物価の高いフィンランドでも高すぎますし、芸術好きのフィンランド人に言わせても「高すぎる」とのこと。それでいて入場者見積もりは据え置きなんて、適当すぎないでしょうか。
維持費と入館料も数字がマイナスになっていますが、先の美術館博物館に関する補助金をグッゲンハイムにも適応しないといけないのであれば、国が130万ユーロ出さないと行けません。マイナスになるのも、この国からの美術館用補助金が出ることを計算した上です。
そして先のティモ・ソイニの発言に対してはKokoomus/国民連合党の文化大臣Sanni Grahn-Laasonen文部大臣(教育を「節約」しながら「フィンランドは教育に投資します」と宣言するトンデモない人物)が11月に「ティモ・ソイニと
Pers党がそれを決めるわけではありません、文化大臣が決定する事項です。」と反論しており、これもまたラップ化されています。
さて、そんな3番目の案に関してですが、ヘルシンキ議会の代表15人による8対7で賛成となりました。これは今度11月30日にヘルシンキ市の議員全員である85人による全員での選挙で賛成多数を通れば認可されます。
しかし市民からの反対意見が多いので、今までグッゲンハイム賛成派だった政治家たちも来年行われる自治体選挙(フィンランド全国の自治体で行われる市議会議員を選ぶ選挙)で落ちることが怖くて今ではグッゲンハイム計画反対に回るのではと見られています。
みんなバカげてると思ってる
調査によれば、ヘルシンキ市民の75%、ヴァンター市民の82%はグッゲンハイムの計画に反対しています。また、フィンランドのアーティストたちからは、地元のアーティストには目が向かず、海外のアーティストの作品ばかりが展示されるのではないか。フィンランドのアートの世界はグッゲンハイムから得るものはあるのか?という疑問も出ています。
フィンランドの風刺サイトKasper Diemでは「アメリカのコーヒーチェーン、スターバックスは新たに財団を設立。スターバックスのあるヘルシンキ市からライセンス料として年間1.3mを要求。ハードロックカフェ、バーガーキング、サブウェイも同じことを検討中」という冗談を載せています。
TTKK at English Wikipedia
こちらはTTKKによる写真。Hakaniemiにあるグラフィティで、英語で(意訳すれば)「グッゲンハイムなんてクソ食らえ、私たちには壁がある」と書かれたもの。
私のフィンランドのアーティストの知り合いも「世界中で失敗しているアメリカのチェーン店美術館はヘルシンキに必要ではない」、「文化はグッゲンハイムのように外から買うものではなく、人とのふれあいで生まれるもの」などとしています。
そもそも成功していないグッゲンハイム
唯一その成功が知られているグッゲンハイムはスペインのビルバオにあります。ビルバオは元々経済的に貧しく、誰も知らないところでした。そこでは少なくともグッゲンハイムのおかげで名が知れて人も来て有名になり(地元のアーティストからは反対されているようですが)Win-Winな関係が気づけたのかも、しれません…
でもヘルシンキへの観光客数は増加しているので、「観光名所」として血税を多く費やす必要のあるグッゲンハイムをわざわざ作る意味は無いでしょう。でもグッゲンハイムの最初の案や甘すぎる支出と入場料の計算からも分かる通り、そもそもグッゲンハイムは持続性を考えていないのでしょう。
第一、世界中のグッゲンハイム美術館の中には閉鎖していないものの方が少ないんです。今も建っているのは3つ。対してラスベガス(アメリカ)、ニューヨーク(には2つあったが一つ閉鎖アメリカ)、グアダラハラ(メキシコ)、ベルリン(ドイツ)にあったものはすべて閉鎖されていますし、ヴィリニュス(リトアニア)では汚職スキャンダルで中止になっており、リトアニアで失敗後にヘルシンキが狙われているわけです。来年はグッゲンハイムがアブダビ(アラブ首長国連邦)にできるようで、現在建造中。でもアブダビでも100人以上のアーティストがオープニングをボイコットしています。
良く言っても血税を使いすぎて後に負の遺産としての箱物だけが残るお祭り騒ぎのアートイベント。成功すらしていない詐欺まがいのWin-Lose(グッゲンハイムは損をしないが美術館を招く都市/国は損をする)計画でよくまあここまでたくさんの都市に立てては潰してきたなぁと思いますね。
Top image by Ari Wiseman
image by TTKK at English Wikipedia
Referrence: HS, Wikipedia, Wikipedia, Wikipedia, Kasper Diem, YouTube, YouTube
(abcxyz)
2016年11月23日水曜日
連載・さらば教育立国 節約政治のために犠牲になる子どもたち
フィンランドでは「Varhaiskasvatus」(未就学児童教育)という、保育士など専門家による教育を受ける権利がすべての子供にあります。これには保育園/プレスクール(0歳から就学直前まで行く)が含まれ、フィンランドの全教育システムの一部となっています。ただ「乳幼児教育の知識のないただの親が子供に教える」のとは違う、保育士「Lastenhoitaja」(専門学校資格)、と幼稚園教師「Lastentarhanopettaja」(大学学士資格)による専門性のある教育です。
しかし、両親がフルタイムで働いていない、もしくはフルタイムの学生の場合、その子は保育園には半日間しかいられないという法律が今年から施行されました。
例えば片親が主婦/主夫である場合や仕事をしていない(失業している)場合や、私みたいなフリーランサーも含まれます。しかし、それだけではありません。家計が苦しく、片親がパートタイムをしている場合や、両方の親がパートタイムをしている場合もこれに含まれてしまうのです。
つまり、あなたがパートタイムで仕事をしている場合、あなたの子供は午前中のみの半日間しか保育園に行けず、あなたは午後のシフトを取れなくなりますし、長いシフトを取ることもできなくなります。
これを実施するかどうかは各自治体が決めれる事になっており、例えばヘルシンキ市やタンペレではこんな馬鹿なことは実施していません。しかし、ヴァンター、クオピオ、ユヴァスキュラ、オウル、ラハティなどではこれを実施しています。
みんなが決まった時間にいれば子供を管理するのは(この後に出す例と比較し)容易ですが、半日間保育園にいる子供(8時~12時)と全日保育園にいる子供(8時~大体17時)が共に存在することにより、一部の子供のためにアクティビティの時間調整をせねばならず、結局「節約」とはならずコストがかかってしまうよう。クオピオではこのために結果節約が出来ずコストが増えてしまっていますし、ユヴァスキュラでもほぼ節約になっていない状況。
なんともバカげた話です。しかしもっと酷い話もヴァンターから聞こえてきました。
フルタイムの保育園では朝食と昼食が出ます。しかしヴァンターでは半日間(8時から12時)しか居ない子供の食事を「節約」しようということで、朝食を抜きにすることに決定。でも同じ保育園内で朝食が出る子と出ない子が生じるとおかしいということで、部屋を分けて半日間しかいない子には朝食時間を教育/遊びに充てました。しかし、「みんなが食べてるのにボクは食べてはいけないの」と子供から悲しむ声が出て、親がこんなのおかしいとクレーム。保育園側は、「じゃあ半日間しかいない子の朝食は親が払えばOKにする」と決定。
しかしこれにはフィンランドの文部科学省からもクレームが。まず、保育園はすでに親から料金を徴収しているにも関わらず、一部から朝食に対して追加料金を取ることは駄目。これはすべての食事は料金に含まれているから。そしてそもそも、食事が保育園で行われている場合は、全員が参加しないといけない。とのお達しが。保育園は「食べてばかりだと教育時間がなくなる」と反論しますが、これに対し文部科学省は「保育園生にとっては食事も教育だ」と鋭い答え。
フィンランドの子供の権利を守る団体Central Union for Child Welfare(子供福祉組合)も、EUの欧州社会協議会に対し「これは子供の不平等を生み出す」と訴えかけているところ。
まあ、そもそも保育園に入れるか入れないかで問題になっている日本からすれば半日でも保育園に入れられるというだけで羨ましいことかもしれませんけど。
[via Helsingin Sanomat, Helsingin Sanomat 2]
(abcxyz)
しかし、両親がフルタイムで働いていない、もしくはフルタイムの学生の場合、その子は保育園には半日間しかいられないという法律が今年から施行されました。
例えば片親が主婦/主夫である場合や仕事をしていない(失業している)場合や、私みたいなフリーランサーも含まれます。しかし、それだけではありません。家計が苦しく、片親がパートタイムをしている場合や、両方の親がパートタイムをしている場合もこれに含まれてしまうのです。
つまり、あなたがパートタイムで仕事をしている場合、あなたの子供は午前中のみの半日間しか保育園に行けず、あなたは午後のシフトを取れなくなりますし、長いシフトを取ることもできなくなります。
これを実施するかどうかは各自治体が決めれる事になっており、例えばヘルシンキ市やタンペレではこんな馬鹿なことは実施していません。しかし、ヴァンター、クオピオ、ユヴァスキュラ、オウル、ラハティなどではこれを実施しています。
みんなが決まった時間にいれば子供を管理するのは(この後に出す例と比較し)容易ですが、半日間保育園にいる子供(8時~12時)と全日保育園にいる子供(8時~大体17時)が共に存在することにより、一部の子供のためにアクティビティの時間調整をせねばならず、結局「節約」とはならずコストがかかってしまうよう。クオピオではこのために結果節約が出来ずコストが増えてしまっていますし、ユヴァスキュラでもほぼ節約になっていない状況。
なんともバカげた話です。しかしもっと酷い話もヴァンターから聞こえてきました。
フルタイムの保育園では朝食と昼食が出ます。しかしヴァンターでは半日間(8時から12時)しか居ない子供の食事を「節約」しようということで、朝食を抜きにすることに決定。でも同じ保育園内で朝食が出る子と出ない子が生じるとおかしいということで、部屋を分けて半日間しかいない子には朝食時間を教育/遊びに充てました。しかし、「みんなが食べてるのにボクは食べてはいけないの」と子供から悲しむ声が出て、親がこんなのおかしいとクレーム。保育園側は、「じゃあ半日間しかいない子の朝食は親が払えばOKにする」と決定。
しかしこれにはフィンランドの文部科学省からもクレームが。まず、保育園はすでに親から料金を徴収しているにも関わらず、一部から朝食に対して追加料金を取ることは駄目。これはすべての食事は料金に含まれているから。そしてそもそも、食事が保育園で行われている場合は、全員が参加しないといけない。とのお達しが。保育園は「食べてばかりだと教育時間がなくなる」と反論しますが、これに対し文部科学省は「保育園生にとっては食事も教育だ」と鋭い答え。
フィンランドの子供の権利を守る団体Central Union for Child Welfare(子供福祉組合)も、EUの欧州社会協議会に対し「これは子供の不平等を生み出す」と訴えかけているところ。
まあ、そもそも保育園に入れるか入れないかで問題になっている日本からすれば半日でも保育園に入れられるというだけで羨ましいことかもしれませんけど。
[via Helsingin Sanomat, Helsingin Sanomat 2]
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