2019年4月8日月曜日

フィンランド統計局、移民が国外で受けた教育のデータを集める


数日前、フィンランド統計局Tilastokeskusから封筒が届きました。開けてみると統計局は現在、フィンランドに外国から移り住んできた人たちが、フィンランド国外で受けた教育に関する情報を集めているとのこと。

統計局によれば、どれだけどのような種類の教育を国外で受けた人がフィンランドに住んでいるのかはこれまでデータが無いとのことで、その調査のためにこれを送ったとのこと。

このお知らせは封筒に入ってきたものの、実際には封筒内の紙に記されたユーザーネームとパスワードを使用して統計局のウェブサイトから回答するようになっています。

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2019年3月23日土曜日

フィンランド議会選挙がまたしてもハチャメチャな日本風アニメに!内容も日本語音声の質もパワーアップ!


2019年4月14日に行われるフィンランド議会選挙に向けて、またしても国営放送YLEのSNS動画サービス『Kioski』が日本語音声の日本風アニメを公開!


今回も前回と引き続き低投票率に政治家達が立ち向かうという内容。ですが一応なんとなく続き物なので、2017年の地方選2018年の大統領選の回も事前に見ておくといいかも。



今回は「ハッハッハ、貧弱なフィンランド人達め!」という台詞と共に国会の前に「低投票率」という怪人が現れ、若者達に自分がどの候補者に投票するのかを忘れさせてしまいます。そこに現れた各政党の党首達が現れ日本アニメ風の鮮やかな戦闘スキルで立ち向かいます。今回は前回でもおなじみ『頭文字D』のパロディーで藤原とうふ店ならぬ「孤独ライダー」だけでなく、『ポケモン』のモンスターボールみたいなのも登場。

今回はKioskiが提供する「投票マッチング」ロボも参戦するも歯が立たず、投票マッチングを進化させることで低投票率をやっつけるという流れ。前回よりも日本語の発音のクオリティーが格段に向上してやる気満々です。


さて、今回のフィンランド議会選挙、一体若者の投票率はどれくらいになるでしょうか?


Images captured from: Kioski via Facebook

Source: Kioski via Facebook

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2019年1月15日火曜日

ベーシックインカム実験って結局なんだったの?その背景と現状


ベーシックインカムの実証実験が2017年1月より始まり昨年末に終わりを迎えたフィンランド。この機会にベーシックインカムを今一度考え、実験の現状を見てみましょう。

日本でも話題になった「ベーシックインカム」ですが、一体これがどういうもので、どういう状況になっているかは日本のみならず他国のメディアでも誤った情報が飛び交う有様でした。日本では当初ベーシックインカムが施行されるという報道がありましたが実際には「実証実験が行われる」という内容が間違って伝えられたものですし、2018年4月頃には実証実験が途中で終了されるとの報道が海外メディアで報道されていましたが、実際には「当初の予定通り」2018年末まで実証実験が行われました。

ベーシックインカムとは


フィンランドのベーシックインカム(フィンランド語で「perustulo」)のアイデアは、社会保障の一つであり、全国民が一律無条件に非課税のお金を毎月もらえるというものです。

これだけ聞くと、「ただでお金がもらえるのか!なんて凄い!」と思われるかもしれませんが、医療費の一部を国が負担する国民健康保険や、医療費控除、児童手当、義務教育、年金、失業給付金なども同じく社会保障です。そしてその主な財源は税金となっています。

しかし、これらは皆、国と国民との間で交わされる社会契約の元に成り立っているものです。文脈に合わせて単純化して言えば、国民としての義務を果たせば国が国民を守る、という約束であり、程度や内容は異なっても近代の憲法はこのような国と国民の間の約束の上に成り立っています。これは日本でも同じことです。

なぜベーシックインカム?


さて、そんな社会保障の一部であるベーシックインカムですが、これが実証実験される背景には「労働」の形が変化しつつある現状があります。国が定めた最低限の生活を守るための社会保障システムは長い年月をかけて形作られてきたものですが、現在の労働形態や生き方には合わなくなっており、逆に社会保障の提供を阻害する状況になっているのです。

絶え間なく進む工業の自動化に、更にデジタル化も進む現在は、これまで多くの人を必要としていた労働で人手が必要なくなったりしています。更にフィンランドでは正社員が減り、パートタイムや期間契約で働かざる負えない状況に居る人々も増えてきています。それらに加えて、近年は特にギグ・エコノミーという単発や短期の仕事を請け負うという、終身雇用やパートよりも収入の不安定さの高い労働環境も増えています。

フィンランド国営放送YLEは、現在人口550万人ほどのフィンランドには「働く貧困層」ワーキングプアが6万人いるとしています。そしてこのほかにもワーキングプアの統計に含まれていないものの同様に貧困の危機にある、ギグ・エコノミーで収入を得ると共に社会保障で不足を補う人々が10~40万人がいると報じています。

このように変化する労働の形に現状の社会福祉が対応しきれていないという問題が実証実験のひとつの背景にあります。そこで新たな社会保障モデルとして提案されているのがベーシックインカムなのです。

従来型の社会保障



フィンランドは学生手当、子育て手当、生活保護や失業手当なども充実している印象をお持ちの方も少なくないでしょう。フィンランド社会福祉保健省は、「社会福祉保障の中心的役割は、弱い立場に居る人に支援を提供すること」にあるとしており、このような手当による所得保障でこれを実現しています。しかし現状では、これらの手当の条件は複雑であり、現在の働き方に合っていない面もあるのです。

例えば、失業支援金に含まれる基本失業手当は、一ヶ月約697ユーロとされています。しかし失業者がより積極的に労働するようにと最近導入された「アクティベーションモデル」により、65日間の期間内に最低18時間の労働をするか、個人事業主として241ユーロ稼ぐか、5日間雇用促進アクティビティに参加しないと減らされてしまいます。その一方、300ユーロを超えた収入は基本失業手当減額調整の対象となります。また、基本失業手当最大受給日数の400日間を超えた場合は、労働市場補助金という失業支援金を受けることになりますが、こちらも一月311ユーロ以上の収入があると減額されます。

失業手当とは別に家賃手当が支払われるという面もありますが、家賃や医療費を除く生活保護の基本受給金額が一人住まいでは月491ユーロであることを考えても月697ユーロというのはとても低いのも事実です。失業手当でもらえる金額が低いのは、より良い生活を目指すことが就労への意欲となるという面もあるでしょう。その一方で、この金額に満足して働かない人も存在したために導入されたアクティベーションモデルですが、そもそも失業状態で18時間の労働や241ユーロを稼ぐ仕事を見つけることが困難ですし、雇用促進アクティビティは田舎では用意されていない場合もあり、それを理由に手当が減額されるのでは失業状態にいる者を支援する制度としての意味が無いとも批判されています。

加えて現状の失業支援制度では、失業事務所の提案する仕事を受けないと失業支援金を受け取ることができなくなりますが…若い女性がトップレスバーでのウエイトレスの仕事を提案され、拒否したために支援金を受け取ることができないということもありました。

前述したYLEの報道でのワーキングプアの定義は一月の収入が1200ユーロ以下とされていますが、もし失業支援制度の対象となる人であれば収入が月に1200ユーロあったとしても(例えばパートやギグ・エコノミーなどからの収入)毎月230ユーロほどは失業支援金がもらえる状況となっています。しかし、自営業やフリーランスなどであれば失業状態と見なされないために1200ユーロの収入が合っても失業支援金がもらえないという変なことになっています。

もちろんこれらの手当を受給するには様々な書類を提出しなければいけませんし(提出はオンラインで済ませることができますが)、書類はKELAにより審査された後に決断が下されます。この審査は人の手により行われるのでもちろん間違えが起こる可能性もありますし、不服申し立てもできます。また手当を受けている間に収入があれば細かく計算され手当金額が減額されるなどの手間も受給者、KELAの双方に掛かるのです。つまり保障を受ける側にとってだけでなく、保障を与える側もそれぞれの受給者に対し複雑な審査を行うという手間を取らせることになります。

この例でも社会保障手当とその受給の複雑性、現代の労働形態に合わなくなり、逆に社会福祉保障の提供を阻害している状況が垣間見れるかと思います。それだけれなく、社会保障を受けることを恥と感じたり、提出書類の煩雑さや、そんなことをしている暇が無いなどで、生活保護や家賃手当などを受けていない人々がいるのも事実ですし、中には自分が受けるべき立場に居ると知らない人もいることでしょう。それらの人たちは社会の枠組みの中で弱い立場におり支援が提供されるべきとされる存在ですが、現在の制度では彼らに効率的に支援を提供することはできません。

また、2012年、2017年、そして昨年6月にも欧州委員会から、フィンランドは失業支援金も生活保護の金額も欧州社会憲章に違反する低い金額となっており、改善が求められているということも忘れるべきではないでしょう。フィンランド外務省らは2015年、欧州委員会は複数の手当を組み合わせることができ、医療費の上限がある点を考慮しておらず、これは違反に当たらないと反論していますが、そもそも複雑すぎる社会保障制度であることも問題でしょうし、反論後も欧州委員会から改善が求められている点には、このシステムには改善の余地があるということが現れているでしょう。

*なおこれらは記事執筆時点の情報であり、なおかつ簡略化して記しているものです。実際にはこのほかにも家賃手当などが別に存在し、それぞれの手当受給状況も金額に影響するほか、手当受給者が個人か家族かなどにより収入として換算される金額に下限もありますので、上記の例は引用には適しません。また、金額も毎年変更されます。正確な情報を知りたい方はKELAのウェブサイトをご覧ください。

実証実験


そんな中、時代により変化する労働形態に合わせて従来型の社会保障を変化させ、これによりより人々が働きやすくなり、不安定な収入を持つ人も安心して暮らせるようにするために現れたのがベーシックインカムというわけです。

社会的に弱い立場にありながら様々な理由で保障を受けて来なかった、受けることが難しかった人々を残すことなく支援することができます。自営業にフリーランス、ギグ・エコノミーや0時間契約のパートなど、これまで失業支援を受け辛かった人にとって、安定した生活を保ちながら働きやすい状況をつくります。また、自分に合った仕事を探している人に取っては、安定した受け皿の元で様々な仕事に挑戦しやすくなるという点も興味深いことでしょう。そして支援を受ける側も、社会保険庁も共に審査に費やす労力を減らすことができます。もちろん、収入が多ければその分は所得税として納税されることでこれがまたベーシックインカムの財源となるわけです。また賛成派の意見としてはKELAの人材に掛かるコストを減らすことができるため、現行制度よりも安上がりになるともしています。

もちろんフィンランド国内でも皆が諸手でベーシックインカムに賛成というわけではありません。反対派の意見としては、現行制度よりも高く付くため税負担が高くなるという点も挙げられます。現在安定した仕事を持っている人が、仕事を辞めて働かなくなってしまう可能性が指摘されています。そうなればお金を多く稼いでいる人の税負担と共に不公平感も増すことでしょう。また、男女平等のフィンランドと言えども子育てに関して女性の参加の方が多い状況であり、ベーシックインカムにより主婦になる女性が増え、それが女性の社会的立場を弱くするのではという指摘もあります。生活保護では考慮される個人の貯蓄が現状のベーシックインカム案では考慮されないという点も問題視されています。

賛否両方の意見がある中2017年1月1日に始まった実験は、2018年12月31日まで行われました。実験にはフィンランド国民から25歳から58歳の人から2000人が選ばれ、一月に560ユーロがベーシックインカムとして支給されています。このベーシックインカムは所得税対象とはならず、この金額を考慮に入れず失業支援金なども同時に受けることができます。なおフィンランド国外に30日間以上滞在する際にはベーシックインカムが支払われなものの、帰国すればまたベーシックインカムを受け取ることができるようになっています。

実験の結果今回の実験が雇用に与えた影響は2019年末から2020年初め頃に発表される予定です。

果たして良い実験か?



実際のベーシックインカムのアイデアは、国民誰もが等しく国からお金をもらえるというものですが、今回の実験はといえば実験として有用な結果を出せるかどうか怪しいとの声も聞こえます。

その理由は、ベーシックインカムは仕事のある人も失業者も、富めるものも貧しいものも平等に与えられることこそがその根本であるのに、実証実験に選ばれた2000人は2016年末の時点でKELAから失業給付金をもらっている人たちの中からのみ選ばれているからです。

ベーシックインカムに対する批判意見として、「何もしなくてもお金をもらえるのだから人が働かなくなる」というものがありますが、そもそも実験対象が失業者だけであればこの批判に関連する比較が可能な対象は必然的にベーシックインカムの抽選から漏れた失業者のみとなります。つまり、普通に失業給付金をもらっている失業者と比べて、ベーシックインカムをもらっている失業状態のものはどれだけ就職に対する意欲があり、実験期間中に就職に向けてどう動いたか、だけを焦点とすることしかできません。

一方この批判意見に本当に答えるために行うべき実験は、現在仕事がある人がベーシックインカムをもらうことで仕事に対する意欲がどれだけ低下するか、仕事を辞めるかどうか、などもポイントとなるはずです。

また、今回の実験に対する批判としては、一ヶ月にもらえる金額が少なすぎるため、結局生活保護その他の社会保障も同時に受けなくてはならず、受給審査などの煩わしい部分が解消されていないという点も挙げられています。

その先


もしもベーシックインカムを実施しようという気があるのであれば、よりコンセプトに沿った形の実験が望まれるところでありますが、現在のところはベーシックインカムの更なる実証実験は予定されていません。ベーシックインカムが導入されるかどうかは別としても、手厚い社会保障で知られてきたフィンランドが今後どこまで時代に即した形で社会保障を変えていくことができるのかは多くの国々が注目をしているところでしょう。

まずは実験の結果を待ちたいところではありますが、ベーシックインカムの実験はスイスでももうじき行われるようですし、カナダ、オランダ、アメリカなどでも注目を浴びています。


Source: YLE, STM, Ihmisoikeusliitto, YLE 2, KELA

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2018年5月29日火曜日

まさかのフィンランド語に観客もびっくり!映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に出てくるフィンランド語


フィンランドで公開中の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にはフィンランドの俳優だけではなく、フィンランド語の言葉まで出てきました。スター・ウォーズシリーズとフィンランドの関係にも少し触れてから、フィンランドの観客もびっくりのその言葉をご紹介しましょう。(映画のストーリーのネタバレでは無いのですが、登場するシーンや文脈はあえて伏せて書いています)

スター・ウォーズシリーズとフィンランド


映画『スター・ウォーズ』シリーズには意外と知られていないフィンランドとの繋がりがあるんです。1977年に公開されたシリーズ最初の作品『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』では、最後の最後のヒーローたちにメダルを渡すシーンでレイア姫が身につけている首飾りは、実はフィンランドのLapponiaというブランドのもの。以前はこのブランドの販売店に該当シーンの写真が飾ってあったりもしました。(なおその次の作品である『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』に登場する氷の惑星ホスは、フィンランドではなく、隣国ノルウェーで撮影されている)

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では当時「なんとなくそれっぽく聞こえる外国語」を話すことで人気となったフィンランドのYouTuber、「SAARA」ことSara Forsberg(サラ・フォースバーグ)が作中に登場するエイリアン言語をつくっています。

映画『ハン・ソロ』とフィンランド


また『フォースの覚醒』では、初作からこれまでピーター・メイヒューが演じてきたチューバッカ役をフィンランド出身のバスケット選手Joonas Suotamo(ヨーナス・スオタモ)が演じています。続く『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でもメイヒューとスオタモが二人でチューバッカ役を演じてきましたが、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では初めてスオタモだけでチューバッカ役に挑戦。

『ハン・ソロ』のエンドロールでは、主役のハン・ソロを演じたオールデン・エアエンライクに次ぎ、二番目にフィンランド人の名前がスクリーンにデカデカと映し出されたことでフィンランドの観客たちも誇らしげな様子でした。

そしてもう一つ、『ハン・ソロ』でフィンランドの観客たちが驚きの声を上げたシーンがありました。それは、なんと作中にフィンランド語の言葉が出てきたこと!それが「Teräskäsi」です。

「Teräskäsi」!?!?


フィンランド語で「鋼」を意味する「teräs」と、「手/腕」を意味する「käsi」でできた「鋼の腕」という言葉なのですが、実はこれ、コアなスター・ウォーズファンや、コアなゲーマーなら知っているあるゲームから来ているんです。

それは日本でも発売された『スター・ウォーズ マスターズ オブ テラス・カシ』(Star Wars: Masters of Teräs Käsi)。初代PlayStation用の格闘ゲームなんです。



作品は「テラス・カシ」という格闘技のマスターであるアルデン・リンが、銀河皇帝の命を受け反乱軍メンバーを暗殺しようとしているので立ち向かう…というもの。ライトセーバーやブラスターが出てくるとんでもない格闘ゲームなのですが、ゲームとしても面白くありません(笑)。そもそもなぜこのゲームにフィンランド語のタイトルがついたのかは私は残念ながら知りません。

なお、「teräs」に「男」を意味する「mies」をつけて「Teräsmies」とすると…なんと鋼の男(Man of Steel)『スーパーマン』となるんです。ではスター・ウォーズフランチャイズと共にディズニー傘下のマーベル・コミックの『アイアンマン』(英語だとIron Man、「Iron」は「鉄」)は直訳すると「Rautamies」となります。ちなみに「鉄道」だと同じ論理で「rauta」と「道」という意味の「tie」を合わせて「rautatie」。

こんなスター・ウォーズ世界の黒歴史となった作品のタイトルが再度登場するのはシリーズファンへのサービスとして自分は楽しめましたし、フィンランドの観客も唐突にスター・ウォーズの世界でフィンランド語が登場し(フィンランド語字幕でも「Teräskäsi」となっていた)て嬉しい驚きだったことでしょう。



Video: Star Wars: Masters of Teras Kasi - Arcade Mode Luke Skywalker Playthrough PS1 (No Commentary), YouTube - Livershot187

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2018年5月27日日曜日

なぜだかフィンランドの左翼党が『新世紀エヴァンゲリオン』OP風に…「新世紀左翼同盟」!



フィンランドではこれまでにもフィンランドの大統領選挙地方選挙が「日本アニメ風」になった動画が作られてきましたが、今度は『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニング風にフィンランドの「左翼同盟」(Vasemmistoliitto)のメンツを映し出した「Neon Genesis Vasemmisto」(新世紀左翼同盟)という動画が作られてちょっとした話題になっています。



この動画をFacebookページに掲載しているのは「勝利2019」という意味の名がついた「Voitto 2019」。「Voitto 2019」のFacebookページによれば、このグループは左翼が選挙に勝ち、緑と赤の政府になることを目指す活動を行う、という団体とのことで、2019年の国会選挙での2党の勝利を応援したいようです。

現在の前の政府は6政党が構成されていたためレインボー政府という呼び名でした。Voitto 2019の述べる「緑と赤」は、「緑の同盟」(Vihreä liitto)と赤色で代表される「左翼同盟」による連立政権が望ましいとしているわけです。与党の価値観が違う場合党が途中で抜けてしまうこともあり(レインボー政権では左翼党が途中で離脱した)緑の党と左翼党の価値観が似ているためスムーズな政治が行われるであろうことから。

2019年の選挙がどうなるかは判りませんが、なぜだか近年はフィンランドの政治と日本アニメの関連性が面白いことになっているようですね。


Image: Facebook

Source: Facebook

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2018年5月9日水曜日

ヘルシンキを舞台にした台詞のない世紀末コミック『D'Moleyk – The Mole Age』レビュー+作者Miha Rinne氏からの日本の読者へのメッセージ


以前ご紹介したフィンランドのコミックアーティストMiha Rinne(ミハ・リンネ)さんのヘルシンキを舞台にした最新コミック『D'Moleyk – The Mole Age』、覚えておられますでしょうか?今回コミックをレビュー用に提供頂いたのでご紹介させて頂きます。

ただし、肝心の内容に関してはネタバレを避けるため多くは語らずにおきましょう。とは言え、何も語らないわけにはレビューにも紹介にもなりません。なるべくこれからコミックを読もうという方の体験を損なわないように解説したいと思います。

大判で120ページもあるこの作品(トップ写真では大きさ比較のためイッタラのAino Aaltoグラス22 clと2ユーロコインも並べています)、人類滅亡の危機に瀕した世界状態で若い女性と謎の生き物を追うというのが大まかな流れ。私は読んだ後に、一体これは何だったのか、作中で起きた出来事について考えを巡らし、もう一度最初から読み直し、作品の象徴性について考えたりして楽しめました。



(ヘルシンキ中央駅を背景にソコス、3人の鍛冶屋、そしてストックマン…この後主人公たちはストックマンの中に向かうのですがそこで待ち受けるのは…)

文字情報は非常に限定的で、ストーリーに関連して明確な言語を伴う部分は2カ所しかありませんでした。絵により物語を進ませ、言葉を超えた感情への訴えかけをする、そんな言語を欠いた作品ですが、日常を超越した謎の出来事に対して明確な回答は用意されておらず、描かれていない部分を読者が想像により補完する余裕が残されている作品とも言えるでしょう。ある意味人知を超えた現象に見舞われる主人公たちの起きていることを自分なりに理解するには数回読み直したり、他の人にも読んでもらってどういう読み取りをしたのか対話したりすると更に楽しめるはずです。

ただし注意として、血なまぐさい話の苦手な方にはおすすめはしがたいです。逆に人類滅亡系やSFが好きな方にはおすすめしたい作品です。

コミックとしては、現実の場所が舞台になっているのも見所の一つ。ストーリー前半はエスポーのKera(ケラ)という地域がモデルになっているほか、ヘルシンキ中央駅やストックマン周辺、内部、そして知る人ぞ知るヘルシンキ地下のメンテナンス空間(有事にはフィンランド国防軍の移動に用いられる)、S-marketの倉庫やHaartman病院などの実在の場所も実際の場所取材して写真を元に描かれているのです。


(なおこのページに出てくる腕時計はRinneさんが1987年に購入した日本のリコーのクオーツ時計がモデルになっているとのこと!この車両や軍隊の未来的なヘルメットも実際にフィンランド国防軍が現在採用しているもの。)


Rinneさんが20年の年月を費やして完成させた大作。何を読者に伝えたいのか、何故この作品を作らないといけないのか、と言う疑問は長年考えていたそう。その答えは、読者に感情を届けたいというもの。その感情とは、恐怖、不安、悲しみ、絶望、など…しかしそれを強く読者に感じさせることにより、その先に存在するのがカタルシスであるようにしたかった、とRinneさんは教えてくれました。すなわち、ギリシャ悲劇のように、悲劇を通じて観客の心が浄化され、ポジティブな感情が沸き起こる作品にしたかったのです。また、それぞれのページには色がついており、それが観客に与える感情を深める要素として使われています。

Rinneさんから日本の読者へのメッセージも頂いていますのでご紹介します。

I am aware that japan has massive comic book industry on their own, so while I really would like to gain lots of japanese readers, I am also a realist, thus I have very little hope of reaching the attention of any japanese reader. For anyone over there who might be interested enough to order my book, I am deeply grateful! Thank you so much! I hope the book has enough layers and details to keep readers interested, and I hope the reverse reading direction is not a big issue.

意訳:日本には独自の巨大なコミック業界があることを知っているので、日本にも多くの読者を得たいと思うと同時に、現実主義者な私からすれば、日本の読者から注目を浴びる事に関しては望みが薄いとも思っています。はるばる日本から私のコミックを注文してくれるほど興味を持ってくださる方がおられたら深く感謝しています!どうもありがとうございます!このコミックに読者の興味を放さないだけの十分な深みとディテールがあればと思います、また、(日本のコミックとは)逆方向に読み進めることも問題ではないことを願っています。

購入はフィンランド最大のコミックストア、Turun Sarjakuva Kauppaから可能。日本へも発送してくれます。


Image courtesy of Miha Rinne

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2018年3月26日月曜日

マリメッコは要らない?そんな方へのお土産にいいかも…100年の歴史を持つフィンランドの腕時計ブランド「Leijona」


姉妹ブログに「お土産に最適?フィンランドのお手頃時計ブランド「Leijona」の歴史とレビュー」という記事を書きました。

フィンランドの宝石屋さんなどでよく見かける「Leijona」(レイヨナ、「ライオン」という意味)という時計ブランドですが、実はその歴史はフィンランド独立よりも古いよう。

大抵の時計は100ユーロ前後で、記事の中でレビューしているモデルは50ユーロ代。時計としては安価な部類ですが、あまり安っぽく見えないを作っているブランドです。

あまり時計オタクな人に好まれるような質の時計とは言えないかも知れませんが、フィンランドのブランドである点は面白がられるかも?フィンランドでは高校卒業時のプレゼントにもよく贈られる時計でもあります。デザインも男女子供用の他ナースウォッチや懐中時計タイプなど色々あるので「マリメッコとかアーリッカとかアラビアとかイーッタラはお土産に要らない!」なんて言われてお土産に迷っている方は、販売店を覗いてみるといいかもしれませんね。

詳しくは「お土産に最適?フィンランドのお手頃時計ブランド「Leijona」の歴史とレビュー」でどうぞ。


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2018年2月28日水曜日

北欧コミックが好きな人に朗報、ヘルシンキを舞台にした世紀末コミック『D'Moleyk – The Mole Age』が予約受付中(セリフがないからフィン語わからなくても楽しめる!)

今回は、フィンランドのコミックアーティストMiha Rinne(ミハ・リンネ)さんのヘルシンキを舞台にした最新コミック『D'Moleyk – The Mole Age』をご紹介します。




(ヘルシンキ中央駅を背景にソコス、3人の鍛冶屋、そしてストックマン…一体この地に何が起こったのか…)

まだKotaku Japanというウェブメディアが存在した2013年、ヘルシンキのコミックフェスティバル「Helsingin Sarjakuvafestivaalit」で取材したコミックアーティストのMiha Rinneさんから、最近になり連絡がありました。その当時からインタビューで話にでていたコミックが完成ついに完成!それが『D'Moleyk – The Mole Age』です。

実はこのコミック、作られだしたのはもっと昔で、完成まで20年を費やしたという大作です。実はRinneさんはフルタイムでゲーム会社に勤めており、毎週日曜日に8時間かけて1ページこのコミックを描き進めていた時期があったのです。




(実はヘルシンキの地下には広大な地下空間がある、というのはあまり知られないホントの話。有事には軍隊がここを使うんだそうです。)

ストーリーとしては、フィンランドの首都ヘルシンキを舞台としたもので、謎の生物が襲来し人々が死んだ中、少女と犬のような生き物の冒険を描きます。




Screenshot taken from Turun Sarjakuva Kauppa

ヘルシンキを訪れたことのある方なら、表紙に映るヘルシンキ中央駅(Citycenter/Makkaratalo側から見た景色)も懐かしいはず。この街を舞台にどんな冒険が繰り広げられるのでしょうか?




販売は3月21日から、予約購入はフィンランド最大のコミックストア、Turun Sarjakuvakauppaから。もちろん日本へも発送してくれます。なお同ストアでは今月初め『D’Moleyk – The Mole Age』がベストセラー1位に輝いています。




なおKotaku Japan向けに執筆したインタビューはもう読むことができませんが、Rinneさんが執筆した別のコミック「Bitwisards - nuoret gurut kyberavaruudesta」(仮訳:「ビットウィザーズ - サイバースペースの若きカリスマたち」こちらもTrun Sarjakuvakauppaから購入可能)がフィンランドの国営放送YLEでテレビシリーズになった際にはFUZE.djでRinneさんとテレビシリーズの監督Jarno Elonenさんのインタビュー記事「90年代の郷愁に満ちたゲーム業界を描くフィンランド人クリエイターたちが語る、時代の再発見と楽しみ方」を執筆していますので興味のある方はぜひご一読を。


Image courtesy of Miha Rinne

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2018年1月31日水曜日

旅行者の方ご注意!フィンランド全国で金曜にスト。交通などに影響の恐れ



今週の金曜日はフィンランド全国のほとんどの市内公共交通機関を含む運転系の仕事がストライキする予定です。これにはバス、トラム、メトロなどが含まれますのでご注意ください。電車、飛行機、タクシーはストはなし。しかしその為電車やタクシーは混む可能性もあります。


今回のストの原因は政府が労働組合との合意を破ったことにあります。まず、フィンランド中央労働組合「SAK」というのがあります。これは18の労働組合からなり、中には公務員組合、工業組合、運行組合、サービス業組合、鉄道組合などが含まれ、会員数は100万足らず。

政府はフィンランドの国際競争力を高めるための「Kilpailukykysopimus」競争契約に関連して、公務員の有給休暇金や祝日を減らそうとしました。政府は、これに皆が納得すれば失業支援金には変更を加えない、としたため、組合側はしぶしぶこれに承知。政府は公務員の有給や祝日を減らしました。しかし政府は約束は無視して、討論もままならないまま12月28日に失業者支援金変更案「Aktiivimalli」(アクティブ・モデル)に許可を出し、今年1月より施行しました。

政府が労働組合を裏切った形になったため、中央労働組合がデモを行うことに。これに際し、傘下の組合にストライキに参加要請したために今回のストが行われるというわけです。中には中央労働組合傘下ながらもストライキには参加しないところもあり、例えば鉄道、航空、サービス業の組合などはストに参加していません。

今回施行された失業支援金変更では、新たに失業者は65日以内に以下の3つの条件のいずれかを満たさなければならないということになっています。

・18時間の賃金労働(バイトとか)をしなくてはならない
・自営業で241ユーロを得る
・失業支援事務所の支援アクティビティに5日換算か(自分でコースに通う、インターンなどでもありのよう)

もしどれも満たしていなければ、次の65日間に与えられる支援金は4.65%減らされる、というもの。失業者がより「アクティブ」でないといけないので「Aktiivimalli」(アクティブ・モデル)と呼ばれています。失業支援金は失業している日数で換算されるため、4.65%減は一ヶ月にもらえる失業支援金が一日分減ることと同等のよう。

大したことない変更に思えますが、この変更が一番問題になるのは街ではなく田舎のはず。つまり、そもそも仕事が存在せず、バイトしようにもそんな機会がなく、失業支援所がそもそも何もアクティビティをやっていないような状況の町に住んでいれば、どんなに自分が努力しようとしても支援金が下がってしまう状況に置かれるアンフェアさがあるのです。


YLEのコメントの半数は「ここまでおおきなストライキでないと政府に声を伝えられない。政府は嘘つき。国民や組合は怒っているという事を示すために、そして誰もが自らも失業する可能性を意識しているからこれを行うのだ。」というもの。

しかしもう半数は「政府は民主主義で投票で選ばれたが、組合は違う。組合が民主主義と戦っているようだ。頑張って仕事をしている私たちにとってはストのせいで仕事にいけなかったら無休で休むか有給休暇を使うことになる。なぜ必死で何もしない失業者の1日分のお金を私の1日分のお金で守らねばならないのか。迷惑だ。そもそも失業者にアクティブな活躍が求められるのに何が悪いのか。」という感じのもの。

今年はフィンランド内戦から100年ですが、このタイミングでの大規模ストライキ(内戦前にもゼネストがあった)、今後の政府や労働組合の動きにも注目です。


Source: SAK, YLE

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2018年1月28日日曜日

フィンランドの大統領選挙が日本風アニメに!(しかも日本語音声!)


今日はフィンランドの大統領選挙日。以前フィンランドの地方選挙をアニメ化していた国営放送YLEのSNS動画サービス『Kioski』が、今度は大統領選挙を日本風アニメ化してます。



やはり前回のもののように「低い投票率」モンスターが現れて、大統領選立候補たちと『ドラゴンボール』風な戦いなどを繰り広げる内容。『北斗の拳』の名台詞「お前はもう死んでいる」、『頭文字D』のパロディーで藤原とうふ店ならぬ「孤独ライダー」(Paavo Väyrynen、ラップランドのケミ出身で元中央党だが、キリスト教民主党から中央党と自分で作った
党であるKansalaispuolue/国民党の両党に所属というよくわからない人物。キリスト教グループのメンバーとしてヘルシンキ議員に立候補し当選、現在無所属として大統領選に立候補の変わり者でよく冗談にされる)が登場したり、巨大ロボットも出てくるなど、日本のアニメへの愛に溢れた内容となっています。最後の方では80年代の映画『フットルース』などでおなじみボニー・タイラーの「ヒーロー」(Holding Out for a Hero)のメロディーが流れています。

一応各候補者の台詞は選挙キャンペーン中に各自がよくしていた発言言が元になっています。最後に候補者たちが最近流行のダンスポーズ「Dabbing」(肘の内側に頭をやるポーズ)をキメる中で現大統領Sauli Niinistöのみが別方向を向いているのは、大統領選ポスターで彼だけが明後日の方向を向いているのもあってのことでしょう。


(写真中央のポスターがNiinistö。他の候補者は皆前を向いて写真に写っている。)

選挙期間を通してSauli Niinistö現職大統領が60%前後の高い支持率を(徐々に下がってきてはいるものの)保ってきましたが、さて誰が大統領になるのか。選挙で50%以上の票を集めるとそれで大統領が決まりますが、50%以下だと、得票率の高い二人の間で再度選挙が行われます。


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2018年1月2日火曜日

なにかと話題のフィンランドのコオロギパン。食べた感想をディスカバリーで書かせていただきました!


皆様あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

さて、どうやら日本のメディアでも昨年末に取り上げられていたフィンランドのコオロギパン(sirkkaleipä)。以前より虫食に興味のあった私も発売されてすぐに食べようとしたのですがいつも売り切れでなかなか食べられず。販売店舗が限られていることもあり、見つけるのはたやすくはありませんでした。コオロギパンをお店で探して「sirkkaleipäää!!!」と叫んでいる人を見かけたりも。

そんなコオロギパン、実際に見つけて食べてみた感想や、フィンランドで関心の集まる「非肉食」に関して、ディスカバリーチャンネルのニュースメディア「D-News」で書かせていただきました。

「フィンランドのコオロギパンを食べてみた!昆虫食解禁の裏側に迫る」(ディスカバリーチャンネルD-News)


上記リンクからお読みいただけます。また、コオロギパン記事の参考になる情報として、私がこれまでに書いた以下の記事もお読みいただけると虫食や非肉食がなぜこんなにも注目を集めているのか理解が深まるかもしれません。

売り切れ続出!フィンランド発のオートと豆でできた代理肉「Nyhtökaura」(空耳フィンランド語!)

フィンランドで菜食主義の人に会ったら言ってはいけないこと(空耳フィンランド語!)

虫食は地球を救う。LivinFarmsのプロジェクト出資特典の虫を食べてみた。芋虫恐怖症だけど普通に食べれた。(動画あり)(Thanx Palm)


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2017年10月26日木曜日

『ある日フィンランドで、夏至祭と無関心 ―移ろいゆくメニューと季節、助けを求める人々―』刊行のご案内

フィンランドでの生活を記した『ある日フィンランドで』シリーズ最新刊のご案内です。今回は、タンペレで過ごした夏至祭、フィンランドや東欧のロマ(ジプシー)、アメリカとは価値観の違う北欧のライブロールプレイング(LARP)の話なども少し交えて書いています。





『ある日フィンランドで、夏至祭と無関心
―移ろいゆくメニューと季節、助けを求める人々―』


フィンランド在住の著者が日常生活を一人の日本人の視点から描いたエッセイシリーズ第4弾。

本書の内容
ようやくやってきた夏。日の最も長くなる夏至祭をタンペレで友達と過ごした話や、夏の嵐を中心に、日々の生活の中で感じた出来事を写真を交えて綴る。ムーミン・カフェに行った話、フィンランドで起きた事件、フィンランド・ロマや東ヨーロッパのロマの人々について、オープンダイアローグや、アメリカとは価値観の違う北欧のライブロールプレイング(LARP)の話なども記した。

お買い求めはこちらからどうぞ:





もくじ

6月末、Juhannus、夏至祭を前に
6月23日 夏至祭イブと不謹慎な賭け
    タンペレで祝う夏至祭イブ
    溺死者のビンゴ
    クルージング
    夕食はスパイシーに
6月24日 今年の夏至祭の溺死者の数
7月29日 赤いジャガーひき逃げ事件
    オープン・ダイアローグ
8月3日 行楽地Kuusijärvi
8月4日 ムーミン・カフェ
8月13日 夏の嵐と5日間家に帰れない若者
    嵐の前の晴天
    移ろいゆくメニューと季節
    アメリカ人に理解されない北欧LARP
    家に帰れない若者
8月15日 嵐の後のランチビュッフェ
8月17日 続・移ろいゆくメニュー
8月18日 ロマの女
    ロマたち
    フィンランド・ロマたち
    フィンランドで見る外国からのロマ達
    フィンランドでビッグイシューを売るのは主にロマ
    カロリーメイト

関連書籍のご紹介

(23627文字)

『ある日フィンランドで』シリーズとは
日本では、男女平等、高い教育レベル、福祉社会、デザインなどの面で注目されているフィンランドだが、日々の生活はどんなものなのか?実際に住んでみるとどんな国なのか?日本での報道では目にすることのできない、本当のフィンランドの一側面を描く、2010年に始まったシリーズ。


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『ブレードランナー2049』で話されるフィンランド語はなんて言ってる?

世界で600万人しか話者のいないフィンランド語がハリウッド大作映画で出てくるなんてびっくり!

テレビや映画で活躍するフィンランドの女優、Krista Kosonenが出演する『ブレードランナー2049』。驚いたことにKosonenは作中でフィンランド語を披露しています。一体彼女はなんと言っているんでしょうか?





動画はSonyPicturesJapan
より。

彼女の台詞はネタバレにならないので書き出してしまうと:

Varo, toi jätkä on Blade Runner. Vittu se on vaarallinen, mennään.

日本語に訳すと:

気をつけて、そいつはブレードランナー。そいつクソやばいから行こう。

といった感じです。なお、この「vittu」という言葉は英語で言えば「f*ck」と同じような感じで使われる言葉。元々の意味は「(力のある、強い)女性器」という意味ですが、現代使われる際には汚い意味合いを含んでおり、卑語(フィンランド語で言えばkirosana)としての「女性器」となりますので人前で使わない方がいいでしょう。(とは言え特に若い世代の会話の中では良く耳にしますが)

なお、フィンランドで一足お先に見てきた『ブレードランナー2049』、姉妹ブログでネタバレ無しのレビューを書いていますのでそちらもご覧ください。

また、フィンランド語に興味を持たれた方は、フィンランド語を日本語に空耳して覚えちゃおうという電子書籍、『空耳フィンランド語』もどうぞ:






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2017年9月21日木曜日

フィンランド大使館さんに電子書籍『空耳フィンランド語! ~空耳で覚えるフィンランド語辞書~』をシェアしていただきました!





当ブログの電子書籍『空耳フィンランド語! ~空耳で覚えるフィンランド語辞書~』が、フィンランド大使館さんのFacebookや、「フィンたん」としてもおなじみのTwitterでも紹介されました!





お買い求めは以下のリンクから可能になっています。





Image: Facebook

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2017年9月3日日曜日

行政にダメ出しされたFinlayson、9月10日までのセールを男女平等に




前回の記事「男女「平等」の国フィンランドのテキスタイルブランド、Finlaysonが女性限定17%オフ・・・その意図とは?」の続報です。このセールの詳細に関しては前回の記事をご参考して戴きたいのですが、結局Finlaysonのキャンペーンに対して行政はダメ出ししたよう。これに対してFinlaysonは:

皆さんのフィードバックやディスカッションに感謝しています、平等に至るまでにはまだやらなければいけないことがあるということが明らかになりました。行政の要請により、このキャンペーンの実施内容を変更しますが、キャンペーンの精神は同じままです。

同社Facebookページで述べています。行政の要請によりFinlaysonのセールの価格の面では男女平等が実現されたものの、男女賃金格差は未だ実際に存在する問題。

男女賃金格差が残る中でこのキャンペーンにおける男女格差に行政が口を出したことは、ある意味皮肉的です。実際に男女賃金格差への人々の関心を引くという面ではこのキャンペーンは成功したと言えるでしょうが、格差の是正を実現するにはもっと人々の認識が必要で、もしくは格差の理由をより明確にする必要があるでしょう、そのためにも人々がこの問題をより認知することが必要でしょう。

また、前回の記事を執筆した時点ではセールの日程が明確になっていませんでしたが、セールの日程は9月1日から9月10日までと発表されています。


Image: Facebook

Source: Facebook

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2017年8月25日金曜日

男女「平等」の国フィンランドのテキスタイルブランド、Finlaysonが女性限定17%オフ・・・その意図とは? *追記あり



フィンランドのテキスタイルと言えば、日本ではMarimekkoが有名ですが、Finlaysonを忘れてはいけません。FinlaysonはMarimekko(1951年~)よりも歴史が古く、フィンランド共和国(1917年~)よりも1820年創業なんです。Finlaysonは政治的に勇気がある行動を取る、かっこいいブランドでもあります。

例えば数年前、FinlaysonがTom of Finland柄のシーツを出したときに、それを「ゲイだから売らない」とした小売チェーンがありました。実はこのチェーンは人種差別的なサイトに関わっていたということもあり、Finlaysonは「あなたのチェーンにはうちの商品今後一切売りません」という判断を下したりもしています。

さて、そんなFinlaysonですが、今年フィンランド独立100周年を記念したキャンペーンを行います。それがFinlaysonの店舗にて「9月いっぱいは中に女性はタオルとシーツが17%引きのキャンペーン!」というもの。男女平等の国フィンランドからすると、女性を特別扱いするのは不思議な気もしますが・・・

*お詫びと訂正*当初「9月いっぱい」と表記していましたが正しくは「9月中(に値引きキャンペーンが行われる)」というもので、実際の日程は9月1日から10日までです。

実はこれ、今も残る男女間の平均賃金格差を反映したものなんです。

フィンランドでは「女性の1ユーロは83セント」と呼ばれています。これは、ただ単純に男女の平均賃金を比較したものであり、ここに単純に男女間の格差があると断定することはできません。この平均賃金格差の要因としてはここに上げることができないくらい多種多様な理由があるでしょうが、良く言われるのは:

・女性の就く仕事は給料が低く、上がらない(例えば女性が多い職業として看護師がありますが、重要な仕事なのに給料が低い/男性の方がより給料の良い仕事に就いている/フルタイムで働きたくてもパートの仕事しか無い)
・女性は向上心が高くない(仕事よりも家庭を選ぶために昇進を望まない/元々男性が上司におり、女性の昇級を妨げている)
・女性のキャリアアップに時間がかかる(子育てのために男性よりも長く家に居ることを選び、その間に男性はキャリアアップ)

など。

ちなみにフィンランドの法律は性別で料金を分けることを禁止しており、このFinlaysonのキャンペーンも「違法ではないか・・・」という声も出ています。(なお法律では滅多にしかしないことでの特別料金、例えば母の日・父の日など、は例外としています。)

それに対しFinlaysonの社長Jukka Kurttilaは「もちろん違法です!」。そう、性別で料金を分けることが禁止されているにも関わらず、単純平均とはいえこれだけ賃金の格差があるのはどういうことか、と「女性限定17%オフ」で問題提起しているわけです。

なお、男女の格差により生じた利益はNaisasialiitto Unioni(女性の地位向上のための協会)に、男女の賃金の平等を目指す活動のために寄付されます。このNaisasialiitto Unioniは1892年から存在します(フィンランドにはもっと古い女性の地位向上協会もある:Suomen Naisyhdistys、1884年~)。現在「男女平等の国フィンランド」と言われるようになったのも、今回のキャンペーンに見られるように人々の間に問題意識があるから、そして1800年代から男女平等をめざし働き続けてきた協会の存在があるのももちろんのこと、国民が男女ともに平等を求め活動してきたからとも言えるでしょう。



Source: HS

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2017年8月20日日曜日

フィンランド トゥルク殺傷事件はまだ「テロ」ではない。扇動的なメディアに騙されないで



Very briefly in English: If you don't understand Finnish, read YLE English news instead of BBC about the Turku attack. Reason? See the English written parts written below.

昨日トゥルク(Turku)で起きた殺傷事件に関するBBCの報道は正確性が低く、誤報道が行われています。例えば「Finland killings: Knifeman 'targeted women in Turku terror attack'」と題された記事の中で:





image: BBC

「PM Juha Sipila told a press conference that Finland had experienced a terror attack for the first time.」(首相のユハ・シピラは記者会見で、フィンランドは初めてのテロリスト攻撃を経験したと述べた)

という文がありますが、フィンランド国営放送YLEの英語ニュースではこうなっています:





image: YLE

「If the criminal charge is confirmed to be terror-related murder, that would be a first in Finland.」(もしこれがテロ関連の殺人で刑事起訴されることとなれば、フィンランドで始めてのこととなるだろう)

フィンランド語での元々の発言は「Jos rikosnimike varmistuu terroristiseksi murhaksi, on näin ensimmäisen kerran Suomessa.」となっており、YLEの英語版が正確です。

このYLEとBBCの報道が大分違う意味を持っていることはおわかりですよね?現時点でこの事件はテロだと断定されていません。しかし実際の捜査や当地国フィンランドの報道はお構いなしに、BBCは勝手にこれをテロ攻撃だったと決めつけ、嘘を報じているのです。





image: Twitter

BBCの先の記事タイトルは日本語にすれば「フィンランド複数殺人:ナイフの男は『トゥルクのテロ攻撃で女性を狙った』」ですが、この記事タイトルは19日のある時点では「Finland stabbing a 'terror attack '」(フィンランド刺事件は『テロ攻撃』)というタイトルで、これがテロ攻撃だと認定されたかのような見出しでした。もちろん実際には違います。YLEはフィンランド語でも英語でも、警察がこの事件を「テロの可能性のある事件」として調査していると述べていますし、フィンランド中央警察の英語のツイートも:



(トゥルクの事件は現在「テロ目的を持った殺人とその試み」として調査されている)

と述べています。現時点ではこれはテロだと決まっていないと言うことです。この違いは大きいです。

これは例えば「容疑者」が「犯人」ではないのと同じほど大きなことです。テロとは人々に恐怖を与えるために行われる行為であり、ただの事件を「テロ」だと断言する行為はテロを助長する行為です。19日のフィンランドの警察による記者会見で、「今は個人がイデオロギーを元にテロを起こす時代」と言われていたように、現在のテロは昔のように大規模で計画的なものよりも、個人/少数人数がイデオロギーに影響を受け突発的に行うものが増加しているようです。

フィンランドでは以前にも学校での銃乱射事件や、外国人がスーパーで銃を乱射した事件が起きています。しかし、上記の首相の発言からもわかるように、それらの無差別殺傷事件は「テロ」ではありませんでした。そして、今回も今の時点ではそれらのものと同じくこれがテロではない可能性があります。これまでにフィンランドで起きた事件や、先日ヘルシンキで起きた自動車で複数人が轢かれる事件だって、恐怖を与えるという点ではテロと呼んでいいのでは、と思うかもしれません。しかしそれらがテロと一線を画すのは、これらの単発的な事件は、「いじめられていたから/人間嫌い」、「恋愛のもつれからの復讐」、「精神障害」など目的・理由が別にあるということ。テロはある思想を目標としながらも、事件を起こすことそのものの目的は「恐怖を与えること」だということ。そこが違いなのです。

テロリスト組織としては、こういったテロではない事件も「うちの組織がやった」などと犯行声明をだすことで、それを「テロ事件」に変えることができます。つまり、「単発的なただの事件」が、「いつまた起こるかもしれない数多くのテロのひとつ」に思わせることで、人々に恐怖を与え、そのイデオロギーを達成するための力とするのです。

BBCは国民から受信料を徴収するメディアなので、特に記事がたくさん見られるように人々を扇動する記事を書く必要は本来ないはずです。ただ、イギリス国内でテロが起きていることを考えると、他国にも類似したテロが起きているように見せることにより、国民の不満を下げる狙いがあるとも考えられます。スクリーンショットを取らなかったのが残念ですが、今回の件のBBCによる報道では「フィンランドはこれまでジハード攻撃を受けたことはない」などと、なにもそれを裏付ける証拠がないにも関わらず宗教的なテロのような報道をしていましたし、BBCの記事のタイトルもこの事件がただの事件ではなく「テロ事件」だと思わせるようなものにしています。これこそがテロの成し遂げようとしていることです。

イギリス国営放送BBCがあからさまに間違った報道をするのも(フィンランドのBBC記者がフィンランドを理解しない可能性はあるが)十分遺憾ですが、このような「思わせ報道」に関しては在フィンランド日本国大使館もその一端を担っています。8月19日に日本大使館が発した「Turku での死傷事件(続報)」(リンクはPDF)では「19日、フィンランド当局は、本事案の容疑者は、モロッコ国籍者でテロ目的によるものであると発表しています。」など、事件がテロ目的であったということが判明したかのような書き方をしていました。その次に日本大使館が出した「Turku での死傷事件(続報)」(タイトル変えれば良いのに・・・リンクはPDF)では「捜査当局は、本件をテロ目的のための殺人および殺人未遂事件として、捜査を進めています。」と正確な表記を行っています。

なお、NHKは「フィンランド殺傷 テロ事件として捜査」と題した記事で、「今回の事件をテロ事件として捜査」、「男は、女性を狙ったと見られる」などと、事件の要点について正確な表記を行っています(NHKの肩を持っているわけではないですが、正しく伝えている例として)。


Source: BBC, YLE

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2017年8月19日土曜日

フィンランド、トゥルク刺殺事件 警察の記者会見内容

フィンランド8月19日現地時間午後2時に警察が記者会見。その内容など。

各所でこれを「テロ」として報道されているが、現時点で犯行の目的が明確でなく、テロの可能性もあるとして「テロとして捜査」されていると言うことにも留意いただきたいです。

・事件前にした行動もしくは発言や、様々な要素がテロの可能性

・スウェーデン人だと思われていた人が実はイギリス人だった。

・入院中の外国人はスウェーデン人、イタリア人とイギリス人。

・警察は夏休みから自主的に仕事に戻った。

・警察による銃の使用は正当だった

・犯人は話してくれない

・犯人の他に4人のモロッコ人が逮捕されている

・被害者のうち、止めに入ったためにけがをした二人は男性(一人は被害者を助けようと、もう一人は犯人を止めようと)だが、それ以外は皆女性だったことから、女性だけを狙った可能性も

・(犯人と逮捕された4人の他に)もう一人探している人物がおり、国際逮捕状を出した

・全ての逮捕はTurkuで行われた

・「記者:難民申請を拒否された難民とききましたが?」難民届を出した人物ではある

・逮捕された4人はお互いに知り合い。事件に関与していると決まったわけでは無い

・「バルセロナとの関連は?」その可能性も含めユーロポールと協力して捜査しているが、これはTurku内のケースとして考えている

・犯人は昨年フィンランドに来て、Turku在住

・怪我人の一番若いのは15歳、最高齢は67歳

・死者の一人はものみの塔のメンバー

・死者は二人とも女性

・4人は個人宅や難民センターで逮捕したと言ったが、彼らが難民届けを出しているかはノーコメント

・「テロ計画ネットワークはあるか?」計画があった疑いがあるが、今は個人がイデオロギーを元にテロを起こす時代。

・(昨夜夜中外国人に対する犯罪が起きた事に関連して)事件やデモは起こさないでほしい。警察は手一杯


[via YLE]

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フィンランド警察、昨日の刺殺事件を「テロ殺人として調査」。(テロとして認定されたわけでは無いことに注意)



昨日トゥルク(Turku)で起きた刺殺事件の続報です。


・現地時間8月19日午前11時

・犯人はモロッコ人の18歳男性であると発表。

・昨日の夜はテロ捜査にはならなかったが、警察は本日「テロ殺人として捜査」していると発表。

・死亡した二人はフィンランド人。

・怪我人の中の外国人は一人のイタリア人と二人のスウェーデン人。

しかし、これはこの事件が「テロ」と認定されたわけではありません。BBCなどは紛らわしく「フィンランドでこれまでにジハード事件は起きたことは無い」などと記していますが、フィンランドの警察はそれを暗示するような発表もしていません。


[via YLE]

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