2017年8月25日金曜日

男女「平等」の国フィンランドのテキスタイルブランド、Finlaysonが女性限定17%オフ・・・その意図とは? *追記あり



フィンランドのテキスタイルと言えば、日本ではMarimekkoが有名ですが、Finlaysonを忘れてはいけません。FinlaysonはMarimekko(1951年~)よりも歴史が古く、フィンランド共和国(1917年~)よりも1820年創業なんです。Finlaysonは政治的に勇気がある行動を取る、かっこいいブランドでもあります。

例えば数年前、FinlaysonがTom of Finland柄のシーツを出したときに、それを「ゲイだから売らない」とした小売チェーンがありました。実はこのチェーンは人種差別的なサイトに関わっていたということもあり、Finlaysonは「あなたのチェーンにはうちの商品今後一切売りません」という判断を下したりもしています。

さて、そんなFinlaysonですが、今年フィンランド独立100周年を記念したキャンペーンを行います。それがFinlaysonの店舗にて「9月いっぱいは中に女性はタオルとシーツが17%引きのキャンペーン!」というもの。男女平等の国フィンランドからすると、女性を特別扱いするのは不思議な気もしますが・・・

*お詫びと訂正*当初「9月いっぱい」と表記していましたが正しくは「9月中(に値引きキャンペーンが行われる)」というもので、実際の日程は9月1日から10日までです。

実はこれ、今も残る男女間の平均賃金格差を反映したものなんです。

フィンランドでは「女性の1ユーロは83セント」と呼ばれています。これは、ただ単純に男女の平均賃金を比較したものであり、ここに単純に男女間の格差があると断定することはできません。この平均賃金格差の要因としてはここに上げることができないくらい多種多様な理由があるでしょうが、良く言われるのは:

・女性の就く仕事は給料が低く、上がらない(例えば女性が多い職業として看護師がありますが、重要な仕事なのに給料が低い/男性の方がより給料の良い仕事に就いている/フルタイムで働きたくてもパートの仕事しか無い)
・女性は向上心が高くない(仕事よりも家庭を選ぶために昇進を望まない/元々男性が上司におり、女性の昇級を妨げている)
・女性のキャリアアップに時間がかかる(子育てのために男性よりも長く家に居ることを選び、その間に男性はキャリアアップ)

など。

ちなみにフィンランドの法律は性別で料金を分けることを禁止しており、このFinlaysonのキャンペーンも「違法ではないか・・・」という声も出ています。(なお法律では滅多にしかしないことでの特別料金、例えば母の日・父の日など、は例外としています。)

それに対しFinlaysonの社長Jukka Kurttilaは「もちろん違法です!」。そう、性別で料金を分けることが禁止されているにも関わらず、単純平均とはいえこれだけ賃金の格差があるのはどういうことか、と「女性限定17%オフ」で問題提起しているわけです。

なお、男女の格差により生じた利益はNaisasialiitto Unioni(女性の地位向上のための協会)に、男女の賃金の平等を目指す活動のために寄付されます。このNaisasialiitto Unioniは1892年から存在します(フィンランドにはもっと古い女性の地位向上協会もある:Suomen Naisyhdistys、1884年~)。現在「男女平等の国フィンランド」と言われるようになったのも、今回のキャンペーンに見られるように人々の間に問題意識があるから、そして1800年代から男女平等をめざし働き続けてきた協会の存在があるのももちろんのこと、国民が男女ともに平等を求め活動してきたからとも言えるでしょう。



Source: HS

(abcxyz)

2017年8月20日日曜日

フィンランド トゥルク殺傷事件はまだ「テロ」ではない。扇動的なメディアに騙されないで



Very briefly in English: If you don't understand Finnish, read YLE English news instead of BBC about the Turku attack. Reason? See the English written parts written below.

昨日トゥルク(Turku)で起きた殺傷事件に関するBBCの報道は正確性が低く、誤報道が行われています。例えば「Finland killings: Knifeman 'targeted women in Turku terror attack'」と題された記事の中で:





image: BBC

「PM Juha Sipila told a press conference that Finland had experienced a terror attack for the first time.」(首相のユハ・シピラは記者会見で、フィンランドは初めてのテロリスト攻撃を経験したと述べた)

という文がありますが、フィンランド国営放送YLEの英語ニュースではこうなっています:





image: YLE

「If the criminal charge is confirmed to be terror-related murder, that would be a first in Finland.」(もしこれがテロ関連の殺人で刑事起訴されることとなれば、フィンランドで始めてのこととなるだろう)

フィンランド語での元々の発言は「Jos rikosnimike varmistuu terroristiseksi murhaksi, on näin ensimmäisen kerran Suomessa.」となっており、YLEの英語版が正確です。

このYLEとBBCの報道が大分違う意味を持っていることはおわかりですよね?現時点でこの事件はテロだと断定されていません。しかし実際の捜査や当地国フィンランドの報道はお構いなしに、BBCは勝手にこれをテロ攻撃だったと決めつけ、嘘を報じているのです。





image: Twitter

BBCの先の記事タイトルは日本語にすれば「フィンランド複数殺人:ナイフの男は『トゥルクのテロ攻撃で女性を狙った』」ですが、この記事タイトルは19日のある時点では「Finland stabbing a 'terror attack '」(フィンランド刺事件は『テロ攻撃』)というタイトルで、これがテロ攻撃だと認定されたかのような見出しでした。もちろん実際には違います。YLEはフィンランド語でも英語でも、警察がこの事件を「テロの可能性のある事件」として調査していると述べていますし、フィンランド中央警察の英語のツイートも:



(トゥルクの事件は現在「テロ目的を持った殺人とその試み」として調査されている)

と述べています。現時点ではこれはテロだと決まっていないと言うことです。この違いは大きいです。

これは例えば「容疑者」が「犯人」ではないのと同じほど大きなことです。テロとは人々に恐怖を与えるために行われる行為であり、ただの事件を「テロ」だと断言する行為はテロを助長する行為です。19日のフィンランドの警察による記者会見で、「今は個人がイデオロギーを元にテロを起こす時代」と言われていたように、現在のテロは昔のように大規模で計画的なものよりも、個人/少数人数がイデオロギーに影響を受け突発的に行うものが増加しているようです。

フィンランドでは以前にも学校での銃乱射事件や、外国人がスーパーで銃を乱射した事件が起きています。しかし、上記の首相の発言からもわかるように、それらの無差別殺傷事件は「テロ」ではありませんでした。そして、今回も今の時点ではそれらのものと同じくこれがテロではない可能性があります。これまでにフィンランドで起きた事件や、先日ヘルシンキで起きた自動車で複数人が轢かれる事件だって、恐怖を与えるという点ではテロと呼んでいいのでは、と思うかもしれません。しかしそれらがテロと一線を画すのは、これらの単発的な事件は、「いじめられていたから/人間嫌い」、「恋愛のもつれからの復讐」、「精神障害」など目的・理由が別にあるということ。テロはある思想を目標としながらも、事件を起こすことそのものの目的は「恐怖を与えること」だということ。そこが違いなのです。

テロリスト組織としては、こういったテロではない事件も「うちの組織がやった」などと犯行声明をだすことで、それを「テロ事件」に変えることができます。つまり、「単発的なただの事件」が、「いつまた起こるかもしれない数多くのテロのひとつ」に思わせることで、人々に恐怖を与え、そのイデオロギーを達成するための力とするのです。

BBCは国民から受信料を徴収するメディアなので、特に記事がたくさん見られるように人々を扇動する記事を書く必要は本来ないはずです。ただ、イギリス国内でテロが起きていることを考えると、他国にも類似したテロが起きているように見せることにより、国民の不満を下げる狙いがあるとも考えられます。スクリーンショットを取らなかったのが残念ですが、今回の件のBBCによる報道では「フィンランドはこれまでジハード攻撃を受けたことはない」などと、なにもそれを裏付ける証拠がないにも関わらず宗教的なテロのような報道をしていましたし、BBCの記事のタイトルもこの事件がただの事件ではなく「テロ事件」だと思わせるようなものにしています。これこそがテロの成し遂げようとしていることです。

イギリス国営放送BBCがあからさまに間違った報道をするのも(フィンランドのBBC記者がフィンランドを理解しない可能性はあるが)十分遺憾ですが、このような「思わせ報道」に関しては在フィンランド日本国大使館もその一端を担っています。8月19日に日本大使館が発した「Turku での死傷事件(続報)」(リンクはPDF)では「19日、フィンランド当局は、本事案の容疑者は、モロッコ国籍者でテロ目的によるものであると発表しています。」など、事件がテロ目的であったということが判明したかのような書き方をしていました。その次に日本大使館が出した「Turku での死傷事件(続報)」(タイトル変えれば良いのに・・・リンクはPDF)では「捜査当局は、本件をテロ目的のための殺人および殺人未遂事件として、捜査を進めています。」と正確な表記を行っています。

なお、NHKは「フィンランド殺傷 テロ事件として捜査」と題した記事で、「今回の事件をテロ事件として捜査」、「男は、女性を狙ったと見られる」などと、事件の要点について正確な表記を行っています(NHKの肩を持っているわけではないですが、正しく伝えている例として)。


Source: BBC, YLE

(abcxyz)

2017年8月19日土曜日

フィンランド、トゥルク刺殺事件 警察の記者会見内容

フィンランド8月19日現地時間午後2時に警察が記者会見。その内容など。

各所でこれを「テロ」として報道されているが、現時点で犯行の目的が明確でなく、テロの可能性もあるとして「テロとして捜査」されていると言うことにも留意いただきたいです。

・事件前にした行動もしくは発言や、様々な要素がテロの可能性

・スウェーデン人だと思われていた人が実はイギリス人だった。

・入院中の外国人はスウェーデン人、イタリア人とイギリス人。

・警察は夏休みから自主的に仕事に戻った。

・警察による銃の使用は正当だった

・犯人は話してくれない

・犯人の他に4人のモロッコ人が逮捕されている

・被害者のうち、止めに入ったためにけがをした二人は男性(一人は被害者を助けようと、もう一人は犯人を止めようと)だが、それ以外は皆女性だったことから、女性だけを狙った可能性も

・(犯人と逮捕された4人の他に)もう一人探している人物がおり、国際逮捕状を出した

・全ての逮捕はTurkuで行われた

・「記者:難民申請を拒否された難民とききましたが?」難民届を出した人物ではある

・逮捕された4人はお互いに知り合い。事件に関与していると決まったわけでは無い

・「バルセロナとの関連は?」その可能性も含めユーロポールと協力して捜査しているが、これはTurku内のケースとして考えている

・犯人は昨年フィンランドに来て、Turku在住

・怪我人の一番若いのは15歳、最高齢は67歳

・死者の一人はものみの塔のメンバー

・死者は二人とも女性

・4人は個人宅や難民センターで逮捕したと言ったが、彼らが難民届けを出しているかはノーコメント

・「テロ計画ネットワークはあるか?」計画があった疑いがあるが、今は個人がイデオロギーを元にテロを起こす時代。

・(昨夜夜中外国人に対する犯罪が起きた事に関連して)事件やデモは起こさないでほしい。警察は手一杯


[via YLE]

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フィンランド警察、昨日の刺殺事件を「テロ殺人として調査」。(テロとして認定されたわけでは無いことに注意)



昨日トゥルク(Turku)で起きた刺殺事件の続報です。


・現地時間8月19日午前11時

・犯人はモロッコ人の18歳男性であると発表。

・昨日の夜はテロ捜査にはならなかったが、警察は本日「テロ殺人として捜査」していると発表。

・死亡した二人はフィンランド人。

・怪我人の中の外国人は一人のイタリア人と二人のスウェーデン人。

しかし、これはこの事件が「テロ」と認定されたわけではありません。BBCなどは紛らわしく「フィンランドでこれまでにジハード事件は起きたことは無い」などと記していますが、フィンランドの警察はそれを暗示するような発表もしていません。


[via YLE]

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フィンランド、トゥルクの刺殺事件翌日、犯人もまだ特定されていないにも関わらず移民反対デモが行われようとしている


トゥルク(Turku)での殺傷事件が起きた翌日。

まだ、犯人が「外国人風の見た目」との報道しかないにもかかわらず、事件の発生したトゥルクでは移民反対デモが行われようとしています。

このデモはSuomi Ensinの主導者であるマルコ・デ・ヴィットという人物が主導しているものですが、本人はFacebookが使えない(アカウント停止されているため)代理人がイベント主催者になっています。Suomi Ensinはフィンランドのナショナリズムムーブメントで、このブログでも取り上げていますし、ヘルシンキ中心で彼らのテントを見たという人もおられるかもしれません。なおこのナショナリズム団体の主導者であるマルコ・デ・ヴィット自身はオランダ出身の人物・・・。

なお、この移民反対デモに反対するデモもトゥルクで行われるとのこと。そこではマルコ・デ・ヴィットをおちょくる曲が流される予定とのこと。

また、首都ヘルシンキにある国会議事堂前でも移民反対デモが計画されています。

昨日も書きましたが、「外国人風の見た目」であるからと言ってフィンランド人ではないとは限りませんし、逆に「フィンランド人風の見た目」であってもフィンランド人だとは限りません。病院に運ばれた被害者の中には一人は花を買うために現場に来ていたイラク出身の移民、一人はスウェーデン人の観光客もいました。彼らはどちらも犯人を止めようとして刺されています。

被害者にイラク系の人がいるためか、現地のイラク系コミュニティも被害者追悼のために集まるイベントを予定しています。


Source: Facebook

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フィンランド、トゥルクで起きた刺殺事件について判明していること 現地時間22:56更新

トゥルクで刺殺事件が起きました。昨日バルセロナでテロが起きたことからこれもテロであるという報道が見られますが、少なくとも現地時間22時現在、これはテロだとされていません。また、犯人は「外国人風の見た目」であることから当てずっぽうな憶測をする報道や、外国人差別や特定の宗教を差別するコメントも見られますが、そういった扇動的な報道に惑わされないようにしましょう。(伝統的なフィンランド人の見た目ではない>外国人風の見た目、だからといってフィンランド人でないとは限らない、などここで言うまでもないでしょうが)


・トゥルク(Turku、フィンランドの昔の首都)のマーケット広場でフィンランド時間8月18日16:02に起きた事件。トゥルクは首都ヘルシンキから160kmほど。人口18万人ほど。

・フィンランド現地時間午後8時18分内務省からの発表によれば警察はテロとして調査していない

・8人刺され、今のところ(現地時間21時の報道)2名死亡

・一人の男が外国人風の見た目の若い男が包丁を振り回した。

・周りの10人ほどの外国人風の男達が止めようとして、椅子や棒などを持ち犯人を追い回した

・結局犯人は警察により足を撃たれた。

病院に運ばれた人は皆大人

・身分証明書を持っていないためこの人物が誰かはまだ分からない。様々な登録からその人の顔写真を探そうとしている

・犯人も足を警察によって撃たれたため病院にいる

・フィンランド海外のメディアでも大きく取り上げられているが、これは昨日のバルセロナのテロにより、これが連続テロであるという可能性からであろうが、そうではない(それが犯人を刺激した可能性は否定できないものの)。

・一部の犯人が「アラーアクバー」などと叫んでいるとされる動画が出回っているが、そこで聞こえるのは「Varo, Varokaa」、「気をつけて!(みんな)気をつけて!」という怒鳴り声である。

・*追記:22:56 病院に運ばれた被害者の一人も外国人風の見た目



Source: Yle, HS


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2017年8月16日水曜日

マイスオミ「フォレストツアー」でフィンランドの森を体験してきました!【PR記事】




フィンランドのツアー会社、マイスオミの提供する「フォレストツアー」を体験してきました!

このツアーは、毎年5月から9月にかけて開催される*ツアーで、首都ヘルシンキからほど遠くないルーッキ(Luukki)という森でハイキングをし、自然の中でお昼を食べるというもの。このルーッキは、現地の人もよく訪れて休日を過ごす森。ある意味、観光地めぐりよりも、「フィンランド人のフィンランドの楽しみ方」に近い体験ができるのがポイントです。

今回はマイスオミに招待されて「フォレストツアー」に参加させていただきましたので、その体験を記します。最後には、このブログを見てツアーに参加する方が使える割引コードもあるのでお見逃しなく!

*天候により時期が前後することがあります。



7月8日のツアー当日。ヘルシンキ中央駅内部のForexで待ち合わせ。待ち合わせ場所にはマイスオミのガイドの方が日本語で「マイスオミ」と書いてあるボードを持って待っていたので安心でした。

待ち合わせ場所で参加者が集まったら、ヘルシンキ中央駅の外にあるバス停で、ルーッキに行くためのバスを待ちます。バスのチケットはツアーに含まれていて、ガイドの方が手続してくれるので、何も準備は必要ありませんでした。

ヘルシンキ市から離れ、北エスポー市へとバスで旅すること50分ほど。今回ガイド担当のマルクスさんといろいろフィンランドに関してお話ししながら(もちろんマイスオミのガイドはみんな日本語ペラペラです)気がつけば、先ほどまでの建物の並ぶ街並みは消え去り、周りは木々に囲まれた森の中。現地の人々もよく週末にはこの森を訪れるようで、バスの中にも、キャンプでもするかのような大荷物を背負った乗客や、犬を連れてハイキングをするような出で立ちの夫婦連れも見られました。





バス乗り場の目の前はもう森!ここでお水とチョコレートのサバイバルセットが皆に手渡されました。左右を木々に囲まれながら、なだらかな傾斜のある道を歩いて行くと、森の案内板が。





コースの簡単な説明を受け、いざ森の中へ。





足下にはブルーベリーが。残念ながらまだ実は熟していませんでしたが、酸っぱい実をちょっとつまみ食いしたりも。ブルーベリーの他にも様々な植物についてガイドさんが説明してくれました。

(関連記事:「フィンランド人に訊くビルベリー、ブルーベリーの見つけ方と偽物の見分け方(動画)」





例えばこれはリスに食べられた松ぼっくり*。写真中央右にあるのが普通のもの、その下にあるミノムシみたいに見えるのが、食べられて芯だけになったやつです。

*松ぼっくりに見えますが、正確には松ではなく、モミの木の球果です。







もうすこし森の中に入っていくと、さっきまで聞こえていた通りを走る車の音も聞こえなくなり、木々の緑溢れる匂い、木の葉のふれあう音や、鳥のさえずりだけが耳に心地よい、まさに森林浴





途中、フィンランドの国鳥でもあるハクチョウが、森の中に佇む光景も見ることができました。緑に囲まれて、真っ白なハクチョウが座っている姿は、まるで森の神様かのような神々しさもありました。





森の中の道は、場所場所で歩くときに足底に感じる感触が違うのも魅力的。ヘルシンキの町中の石畳や公園の芝生とも違う、森の中特有の、歩くと緑の地面が反響する感覚。靴底を通じて伝わってくる、柔らかい苔を踏みしめる優しい感覚。力強い大きな岩盤の上に、自然の歴史を感じながら立つ感覚。





(左の写真:右に湖を見て左の傾斜を登りました。右の写真:登ったところからさっきまで居たところを見下ろしたところ。上に写るのは湖に反射する空。)





道中には少し険しめの箇所も、勾配がキツめの坂もありましたが、丘の上から眺める湖の景色は最高!





森の中には沼状に、体重を乗せると地面から少しだけ水が染み出すような場所もありました。雨が降る可能性もありますし、履いて行くのはしっかりとしたハイキングシューズがよいでしょう。(なお、天候によりルートは変更もあるようです。)





お昼は湖のほとりにある、バーベキューの出来るグリルのあるあずまやで、ソーセージ(マッカラ)を。でもソーセージを焼く前にまずは火をつけるための木を準備しないといけません。





あずまやの裏には、すでに切ってある木がたくさん置いてあります。でもこのままだと火をつけるには大きすぎるので、それを備え付けられた薪割り機で割っていきます。






薪割り機は刃が上を向いていて、そこに割るための薪をあて、その薪が薪割り機の刃に食い込むように、上からもう一本の薪を使って叩いてやります。コンコンコンと、軽やかな音を立てて叩けば、刃が薪に食い込むので、後は上からもっと叩いてやれば、あるところでスパンッ!と真っ二つに割れるんです。こうやって薪を割るのも楽しい!





割った薪をグリルに入れて、ガイドの方が火をつけてくれました。暫く待てば先ほど割った薪に火がつき、準備OK!ソーセージを焼いて、フィンランドのケチャップとマスタードをつけて。結構なサイズのソーセージですが、これを食べ終わった後には、フィンランドの伝統料理であるカルヤランピーラッカというパイ(karjalanpiirakka、英語だとKarelian pie、なぜか日本語のWikipediaページではフィンランド語と英語が混ざってカレリアンピーラッカという表記になっていますが)も温めて戴きました。





このカルヤランピーラッカは、パイ生地の中にお粥を入れたものが焼かれたパイです。なんていうとパンの中にシチューの入ったパンシチューを思い浮かべられるかもしれませんが、ちょっと違うんですよね。お粥と言っても米は柔らかくなってはいますが、ベトベトなわけではなく、パン生地の中にしっかり収まっていて、水気は少ないです。日本のおにぎりのフィンランド版、みたいな、持ち運べてしっかり食べれるお弁当、みたいな感じでしょうか。これは是非フィンランドにお越しの際には味わってもらいたいものです。





なお、間近で火をおこすため服が煙たくなります、臭いがついてほしくない服では来ないようにするといいでしょう。

そしておやつには、コーヒーや紅茶(ティーバッグのパッケージにムーミンの絵がついた紅茶です!)、ジュースを飲みながら、これもフィンランドでよくおやつに食べられるシナモンロール(korvapuusti)の小さいものをいただきました。

(なお、フォレストツアーで食べることになる食事の内容は異なる場合があります。)




この日は土曜日だったこと、そして天気だったこともあってか、そうしている間にもこの湖の畔のあずまやには家族連れの人たちが何組かやってきました。公共のグリルなのでかわりばんこにグリルを使うんです。なので(もちろん後に使う人が誰も居ない場合は火を消さないといけませんが)今回は火が消えないように薪を足しながら次のファミリーにバトンタッチ。





私たちが昼食を食べている間には、子供たちが水の中に入って遊んでいました。この日気温は20度程度でしたが、私も水を触ってみたところ、水温は冷ため。子供は風の子というか、さすがフィンランドの子供というか。水中には小さな魚やオタマジャクシがいて、みんな楽しそうに水遊びしていました。







お昼ご飯を食べて休憩をとった後は、元来た道とは違うルートでバス停まで戻りました。道中には別のヨーロッパの国から来たハイキングの団体や、友達と釣りに来た感じのフィンランド人たち、ベビーカーごとハイキングしているフィンランドの家族なども。





犬を連れたカップルも。ワンちゃんたちはドボンっ!と池に飛び込んでいました。





どこを切り取っても絵になる景色です。





バス停には少し早めについたので、ガイドさんの提案で道路を挟んで反対側の森にもちょっと行ってみることに。こちら側は道路からそう離れていないところに湖があり、体を休められる大きな岩もあったのでそこでみんなで自然を眺めながらバスの時間待ち。

行きも帰りもバスの中から見える景色も楽しめるし、ガイドの方といろいろお話しできて、50分のバス乗車もあっという間。解散はヘルシンキ中央駅のバス停で。森の中での体験を共にした参加者やガイドさんと別れるのは名残惜しい!



こうして終えた「フォレストツアー」。日本でハイキングが好きだという方にも、フィンランドの自然を体験してみたいという方にも、観光地は一通り回ったけど、もっとフィンランドの人が一番ありのままでいられる場所である「森」を感じてみたい、という方にもお勧めできるツアーだと思います。

注意点としては、天候が悪いこともありますし、森の中にはぬかるんでいる場所もありますのでマイスオミのフォレストツアーの詳細ページの注意書きにも記してあるように、参加の際は靴は「防水で足首が隠れる長さのスニーカー」が理想的、少なくとも「動きやすい服装に歩きやすい靴」で行くべきでしょう。

また、あまり急な坂は難しいけれどもハイキングはしたい、車椅子で行くことはできないか、「フォレストツアー」開催予定日以外にも森に行けるツアーをしてほしい、といった要望にも、マイスオミではカスタムツアーにすることで対応できるようです。

このマイスオミの提供する「フォレストツアー」、参加したいという方はマイスオミの「フォレストツアー」詳細ページから申し込みができます。マイスオミではツアーに関する質問も受け付けていますので気軽に連絡してみるといいでしょう。



最後に、このブログをご覧になってツアーに申し込みをされる方だけの特典として、「フォレストツアー」料金が5%割引となるコードをご紹介です。割引コードは「luonto」。参加申し込みの際に「Enter Coupon Code 」と書かれているところに割引コードを入力すれば、自動的にツアー合計料金が割引されます。





まずは「フォレストツアー」のページから、希望するツアー日を選択。






するとこういうページが出るので、「本ツアーに登録する」をクリックして暫く待つと次のページが表示されます。






このページで、まずは参加人数を選択。すると画面右下に合計金額が表示されます。(画像では大人2人を選択した状態)





少しわかりにくいですが、同じ画面から「Enter Coupon Code」と書かれている右側の、何も表示されていない空間をクリックすると、このような青枠が表示され、割引コードが入力できるようになります。






そこに割引コード「luonto」と入力した後、何も無い場所をクリックすると割引が適応された金額が表示されます。

ツアーに参加される方、フィンランドの森を楽しんでくださいね!


(abcxyz)