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フィンランドの首都ヘルシンキの中心から程遠くないKruununhakaにあるレストランと『Qulma』。
この度Qulmaのオーナーで、スープレシピ本「Sopat!」も出版されていたり、The Roadhouse CuckoosというバンドでボーカルもしていたりもするMarc Aulenさんが、本日11月6日から、12月31日までQulmaで行われる、期間限定イベント「Q-TAPAS Feat. Jouni Toivanen」のライブブログ・オープニングに招待してくれました。
Qulmaは2010年に創業したレストランで、その朝食はヘルシンキでも3位の有名どころ。でもフレンドリーで気取らないAulenさんの人柄もあって、気軽に素敵な食事ができるレストランとなっています。
午後4時過ぎ:
ポツポツと人が来始める。QulmaオーナーのAulenさんが招待しただけあって、皆とてもフレンドリーな感じ。有名ブロガーや有名な雑誌の編集長、イベントオーガナイザーとか、Aulenさんの友達とかが来ている。Qulmaにまだ一度しか訪れたことがない(しかしその時の幸せなランチスープ体験は忘れられない!)ペトラさんと私がここに招待されたことに驚きを隠せないとともにとても嬉しくもある。
Aulenさんによる説明。今回の『Q-Tapas』イベントは、レストランの「Qulma」、シェフのJouni Toivanenさん、そして食材とワインを提供している「Bravo Gourmet」の3者によるコラボレーションで実現したもの。
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パンとスパークリングワインから始まり、スペイン風オムレツに、発酵して黒色になったガーリック、オリーブ、チーズ、魚、等が出てきた。招待されたブロガーや雑誌編集者達が和気あいあいと会話をしながら食べ始める。
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4時30分過ぎ:
サラミやセラノ(山で作られた、空気で乾燥させられた生ハム)、茹で野菜なども登場。
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4時50分すぎ:
トーベ・ヤンソンさんが、亡くなる前年の2000年にAulenさんに宛てた手紙が登場!
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Aulenさんが粘土作品の展示を行った際に、特に何も期待せずヤンソンさんに「私の子どもたちはあなたの作品が大好きです。私の作品展を見に来てスープを食べませんか?」と手紙を送った。手紙を送ったことなど忘れた頃、なんとヤンソンから手紙が届いた。「素敵な手紙をありがとうございます。残念ながら行けないけれども、個展頑張って」とスウェーデン語で書かれている。
5時00分過ぎ:
今回提供されるワインは少ない本数しか作らないワイナリーからのもの。多くて2万6000ボトルくらいしか作らないとか。
こちらのワインは4,5000本しか製造されていないそうだ。
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ポークの頬とチョリソー入りパエリア。これはこの2つでセットだそう。
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ポークはすごく柔らかい。パエリアにはナッツが入っている他、少し酸味があり美味しい。
5時10分過ぎ:
和牛が出てきた。何和牛だろう?あとで聞いてみよう。
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Aulenさんがキッチンまで行って訊いてくれた。チリ産の和牛だそうだ。柔らかく深い味で美味しい。この食感はなんだか日本を思い出す。
5時20分過ぎ:
Bravoについての説明。会社をはじめて3年足らず。Savoyなどのトップレストランの多くに食材を提供している。
フィンランド市場には、本当に良い質の食材が提供されていないということで、同社はそこに目をつけ、今年はこれまでの2倍の成長。高級レストランだけではなく、全てのレストランに正しい質の食材を提供する事を目的とする。食材だけではなく、食材にあうワインも提供しようと考え、ワインの提供も始めたという。
同社が提供しているワインの多くは、10~15ユーロのもの。フィンランドで購入されているワインの多くがその価格帯のものであるから、一流ワインだけでなく中流~中流の上層階級向けのワインを提供している。
5時30分過ぎ:
ブロガーたちがちょこちょこ去っていく。
シェフのJouni Toivanenさんが厨房から出てきた。和牛について訊いてみた。
Toivanenさんは昔Yume(高級ホテルがたくさんある当たりにある日本料理店)で働いていたそう。その当時も和牛を出していたそうだが、1日で和牛を注文する客は2,3人だった。和牛そのものの値段が高かったこともあったそうだ。だが、Bravoのお陰でより金額的に手に入れ安くなったそう。
この「Q-Tapas」は今年12月31日まで行われるが、来年も何か企画しているのか尋ねると「ひとまずは今年を終えることに集中するよ」とのこと。
5時40分過ぎ:
デザートも来るそうだ!
こちらは今晩最初の方に来ていた魚の酢(とオイル?)漬け。スッキリとした後味でぺろりと食べれる。
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6時過ぎ:
Bravo:例えば会社とかが独自ブランドのワインを出したい場合、500~1000本オーダーするなら独自のワインを作ってくれるという。これらが今日提供されたワイン。
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デザートも来た!
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ダークチョコレートとミルクチョコレート、ヨーロッパキイチゴ、バジリカの組み合わせ。甘さと塩味が混ざり合ってとても興味深くも美味しい味。
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「カタロニアクリーム」、ブラッドオレンジ、塩キャラメル。こちらも美味しい。塩味と甘みの混ざり方が上手い。
午後7時過ぎ:
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最後にエスプレッソを出してくれ、残ったものがもったいないなという招待客の声に親切にもドギーバッグまで用意してくれた。今夜はここでお開き。とても楽しく、また招待客皆個性ある面子ばかりで素敵なイベントでした。
Aulenさんが隣に座って熱く語ってくれた話:
最初の本『SOPAT!』(フィンランド語で書かれている)は、大手出版社から出版したこともあり、色々と制約もある仲で葛藤しながら出した本。その出版社に英語版を出さないかと持ちかけたが、返事はノーとのことだった。現在製作中の本は、『SOPAT!』の英語版にはならず、完全新作。前作を出版した出版社を通してではなく、どこかから助成金も受けて自ら出版予定。そうして自ら出版することで、これまで出版社と組んでいたから生じていた制約から抜け出すこともできる。出版社を通してやったときには非常にビジネス的な感じだったが、今作っているこの本はその時とは違い、制約のない中で知り合い達と共に作ってるから創造性もはじけている。英語版にノーと言った出版社を見返してやることもできる。やろうと思うだけでなく、やればできるし、やらなければできない。
「そうですよね、"あ~あんな事とかこんな事とか、やってみたいけど私できないのよね~"なんて言う人は多いけど、実際にやらないで出来ないと決めつけている人が多いですよね」と言うと「その通りだよ。不可能なことなんて無いのにやり始めない人が多い」と話されていました。
Aulenさん:
『SOPAT!』を作るときも、「知り合いの無名のアマチュア写真家が写真を撮るんだ」と言うと、「そりゃ残念、せいぜい頑張るんだな」と言われ、出版社でも「この写真家は食品写真の経験があるんですか?」と訊かれたが、勿論無い。それでも「私は彼の写真が気に入ってる。彼の写真じゃないとダメだ」と言い通して、その結果フォトショップも使わない本物の素晴らしい写真が撮れた。
その写真家の方はJaeseong Parkさん。彼も今日来ており、写真を撮ったり招待客と話をしたりしていました。私も彼と話す機会があり、写真を始めるきっかけも聞くことができました。Parkさんは元々IT関連の事をされていたのですが、その仕事とフィンランドの冬から落ち込んでいたところ救ってくれたのが「写真」だったそう。写真を始めたのは数年前からとのことですが、『SOPAT!』の写真をご覧になれば分かる通り腕前は申し分なく、現在はもう一人の写真家と一緒にEnlighten Imageという写真会社を起こしています。Parkさんもとても親しみやすい素敵な方でした。
Aulenさんによるレシピと文、Parkさんによる写真による、英語で書かれている新作レシピ本は、来年8月にドイツで行われるヨーロッパ最大のブックフェスティバルに出す予定だそうです。
Aulenさんはイベントの出だしで:
フィンランド人は新しいことを始めても、「へー、また今度行ってみるよ」なんて言うだけで中々来てくれない。ここでも夜食事を提供しようとやってみたことがあったが(Qulmaは今のところ朝と昼しかやってない)そんな感じだった。だからこれまでにも今回のように期間を限定してやってみたら結構成功したんだ。今回もすでにたくさん予約が入ったよ。
と語っていました。
やればできる、というだけで世界は成り立っているものでは勿論ありませんが、Aulenさんは「やらなければできない」という事の対比としての「やればできる」を体現した方だなと感じました。「Q-Tapas」期間限定イベントは本日11月6日から今年の終わり12月31日までは、水曜日から土曜日の午後6時から真夜中まで行われるとのこと(詳しくはQulmaの公式サイトやFacebookページで)。
皆さんもこの機会に素晴らしい食事とワイン、しかしお高く止まっているわけではなく親しみやすい素敵な空間を楽しんでくださいね!
ペトラさんのブログ『妙見星の下で』の方も更新されているのでそちらもどうぞ。
(abcxyz)
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