「肉も食べなよ」、「好き嫌いするなよ」
フィンランドでベジタリアン(kasvissyöjä)やヴィーガン(Vegaani)の人に会っても、そんなことを言ってはいけません。理由を聞けば喜んで答えてくれる人もいるでしょうが、あなたの持つ価値観で相手の価値観を判断したり、価値観を押し付けてはいけません。これはフィンランドだからではなく、どの国のどんな価値観の人に会っても同じことが言えるでしょう。
ヴィーガンとは完全菜食主義のことで、これは動物由来のものは食べないという主義。ベジタリアンはある意味広義の菜食主義でもあるが、肉を食べないという意味でも使われており、中には「魚は」、「卵は」、「牛乳は食べる」などの人もいます。フィンランドでは私の周りにベジタリアンもヴィーガンもどちらも普通に存在します。
日本での菜食主義の扱いやとらえられ方があまりにも偏っていると思うので書いておきましょう。日本では菜食主義に対して、「動物愛護」とか「健康のため」という、どちらかといえば「彼らは利己的な理由で菜食主義をしている」という見方や報道が多いように見受けられます。それらが事実である場合ももちろんあります。
しかし、フィンランドで私の周りに多く見られるのはなによりも「環境のため」の菜食主義という人たちです。
これがどういうことかというと、日本の高校の生物の教科書にも書いてある通り(少なくとも私の持っている東京書籍だったかの教科書には)、「ある量のコーンを人が食べれば100人分の食料となるが、同じ量を牛に食べさせて、その牛を人が食べると24人分にしかならない」(数値はうろ覚え)。つまり、肉食をするには多くの食料を必要とし、そのためには膨大なエネルギーが使われる、ということです。世界的に食糧が足りていない状況だといわれる中で、肉食という非効率な食生活を続けることは、人類にとって良くない、ということです。
でも、それは人間にだけ悪いわけではありません。上で述べた「エネルギー」には、家畜を育てるための施設の温度管理や(忘れられがちなことですが、季節外れの植物を育てるにも膨大なエネルギーがかかっていることも頭の片隅に入れるべきです)、食肉処理、運搬なども含まれます。そして人間に食べられるために育てられている動物は(そうでない我々人間も同じですが)温室効果ガスであるメタンガスを発生させます。もちろん動物の糞尿からメタンガスを集めて発電するなどをしているところもありますが、現在それをやっているところは限られているでしょう。
また、「健康のために菜食主義」といっても、大きく分けてふたつがあると思います。日本での報道が多いのは「食物繊維やビタミンなどが豊富で野菜が健康的」だから菜食というもの。でもよく忘れられているのは、「肉食の危険性」です。WHOが発表している通り(BBCの記事)、ソーセージやベーコンといった加工肉にはアスベストやアルコール、プルトニウムと同じレベルの発がんリスクがあり、赤肉もまた、加工肉に次いで発がんリスクが高いとされています。
そしてもう一つ重要なのは、人に食べられる家畜がどんな注射を受けているのかです。大きく育てるための成長ホルモン注射、病気にならないようにするための抗生物質。これらはそれを食べる人間にも影響があるわけです。
生物濃縮の問題もあります。環境内に存在する有害物質を植物が吸収し、それを動物が食べ、それを人間が食べる。この食物連鎖の過程で、有害物質の濃度は連鎖の上に行くにつれて濃くなります。環境ホルモン(内分泌攪乱物質)や重金属などといった有害物質が生物の体内に蓄積されていき、それを食べる人間の体の中へと入ることになるわけです。(これは魚の場合もまた肉食魚のほうが有害物質が多いということでもあります。)
以上の事柄以外にも、もちろん宗教的なことから肉食をしなかったり、文化的な背景から食べなかったり、アレルギーがあるなど、一概に草食主義といっても様々な理由が考えられます。冒頭で述べたような軽はずみな言葉はハラスメント、侮辱、ケンカを売っている、などとも捉えられかねません。もちろんあなた自身の価値観も尊敬されるべきでしょうが、相手である菜食主義の価値観への理解をも示し、互いに尊重しながら生きていきましょう。
(abcxyz)
2016年5月13日金曜日
2016年3月12日土曜日
連載・さらば福祉国家 今週はヘルシンキで三つも大規模なデモが
今週は3つもデモが行われました。デモはフィンランド語で「mielenosoitus」です。
まずは学生支援関連のもの。現政権の予定では、学生支援金が下がり、受給期間が短くなり、学生ローンの条件が悪くなり、これに反対するデモでした。
二つ目は、昨日、数百代のトラクター、数千人の農家が全国からSenaatintori(ヘルシンキ大聖堂の前のとこ)に集まってデモをしているのです。これはロシアへの経済制裁と、農作物の値下がり、昨年よりも農場の収入は平均40%下がるとみらており、そのうえ、今年の農業支援金がまだ出ていないことが決め手となって行われたデモだそうです。なおこのヘルシンキでのデモに合わせ、全国でこれを支援するデモも行われたよう。
前回の国会選挙で議員数を14増やし、総理大臣を選出したフィンランド中央党。フィンランド中央党は1964年まで「maalaisliitto / 田舎連合」という名前で、田舎が空っぽにならないための対策や、学校が田舎にもあるようにしたり、田舎を生かそうとする保守的な党です。農業者はKeskustaに票を入れるというイメージがありますが、現政府には農業者にも不満があるよう。
「俺たちがいないとお前らも食うもんがないだろ!」というデモなわけです。これに対しSipilä首相は「メッセージは受け取りました」と語ったそう。
そして三つ目、今日行われたデモは今の政府の「節約政治」に反対するデモでした。学生、失業者、高齢者、障がい者など、もうすでに悪い状況にある人に対する節約政治をやめてほしい。「節約」自体に反対しているのではなく、多くの人はどこで節約しているかに納得できていないのです。
[via Yle, via Yle]
(abcxyz)
まずは学生支援関連のもの。現政権の予定では、学生支援金が下がり、受給期間が短くなり、学生ローンの条件が悪くなり、これに反対するデモでした。
二つ目は、昨日、数百代のトラクター、数千人の農家が全国からSenaatintori(ヘルシンキ大聖堂の前のとこ)に集まってデモをしているのです。これはロシアへの経済制裁と、農作物の値下がり、昨年よりも農場の収入は平均40%下がるとみらており、そのうえ、今年の農業支援金がまだ出ていないことが決め手となって行われたデモだそうです。なおこのヘルシンキでのデモに合わせ、全国でこれを支援するデモも行われたよう。
前回の国会選挙で議員数を14増やし、総理大臣を選出したフィンランド中央党。フィンランド中央党は1964年まで「maalaisliitto / 田舎連合」という名前で、田舎が空っぽにならないための対策や、学校が田舎にもあるようにしたり、田舎を生かそうとする保守的な党です。農業者はKeskustaに票を入れるというイメージがありますが、現政府には農業者にも不満があるよう。
「俺たちがいないとお前らも食うもんがないだろ!」というデモなわけです。これに対しSipilä首相は「メッセージは受け取りました」と語ったそう。
そして三つ目、今日行われたデモは今の政府の「節約政治」に反対するデモでした。学生、失業者、高齢者、障がい者など、もうすでに悪い状況にある人に対する節約政治をやめてほしい。「節約」自体に反対しているのではなく、多くの人はどこで節約しているかに納得できていないのです。
[via Yle, via Yle]
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