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2017年7月10日月曜日

二重課税回避条約関連の書類を提出する方法(記入例付き):フィンランドの場合



*これはあくまでも私の場合ですし、私が考える制度の理解をそのまま記しています。なので勘違いしている部分も多々あると思いますので、ご自分で同様の届け出をする際にはよく調べ、関連する機関などに問い合わせしてから行いましょう。*

フィンランドと日本の間には二重課税の回避および脱税防止のための条約が結ばれています。私はフィンランドに住んでいますが、フリーランスとして日本の会社に報酬をもらっています。居住地がフィンランドなのでフィンランド政府に税金を払います。

日本では、日本に住所がある場合、所得税が源泉徴収されます。日本に住んでいる場合は便利なのですが、フィンランドに住所がある場合、フィンランドに所得税を納めなければいけません。何もしない場合、日本でも所得税を納めて、フィンランドでも所得税を納めないといけない、二重課税状態になってしまいます。

しかし幸いなことに、フィンランドと日本の間には二重課税を防ぐための条約が存在し、書類を提出すれば日本側で源泉徴収されなくなります。




まず、日本に住所が無い状態=非居住者ではなければいけません。住所のある市で移転届けを出しましょう。これを行うと、国民健康保険には入れない状態になり(日本に住所を戻せば入れるようになる)、国民年金は選択式になります。そして市民税は払わなくても良くなる・・・はずなのですが、どうやら制度上、1月1日以降に住所を抜いた場合は、その年内分の税は払わないといけないようです。(でもそうすると、二重課税となるので、あとでフィンランド税務局にこれこれしかじかでこの年この額の住民税を日本に払った、と証明することで還付があるかもしれません)

参考:国税庁 No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ


その上で、日本であなたにお金を払っている会社に書類を提出しなければいけません。

参考:国税庁 源泉所得税(租税条約等)関係

私の場合は「租税条約に関する届出」という書類を準備しました。

参考:[手続名]租税条約に関する届出(自由職業者・芸能人・運動家・短期滞在者の報酬・給与に対する所得税及び復興特別所得税の免除)

でもこの書類を送る前に、現地の日本大使館で、現地に在住するという証明書「在留証明」を発行してもらわなければいけません。これには、申請書の他、パスポートなどの写真付き身分証明書、そして現在の住所に住んでいることの裏付けとなるような書類(例えば公的機関がこの住所宛に発行した手紙とか)が必要となります。

参考:在フィンランド日本大使館:在留証明

そして「租税条約に関する届出書」に記入し、会社用にコピーも作成して提出しました。

あくまでも私の場合は、になりますが、「租税条約に関する届出書」では私は以下のように記入しています:

・「個人番号(有する場合のみ記入)」にはフィンランドの私の個人番号を記入
・「日本国内における居所」は住所がないので記入せず
・(国籍)には日本と記しましたが、、それに続く(入国年月日)、(在留期間)、(在留資格)の欄は何のことだかわからなかったので記入していません。
・次の「下記「4」の報酬・給与につき移住者として課税される国および納税地(*6)」の欄には、フィンランドで私が納税している納税地として「Helsinki, Finland」、そしてVero(フィンランドの税務署)から与えられている納税者番号を記載しました。
・次の「自由職業者、芸能人または運動家の場合(短期滞在者に該当するものを除く。):日本国内の恒久的施設または固定的施設の状況」

参考までに画像も。空欄にしている「短期滞在者の場合:以前に日本に滞在したことの有無および在留~」は日本国外の人向けの質問かと思われたので回答していません。


参考:

Vero Elimination of double taxation — receipts of foreign-sourced income by Finnish-resident individuals

houko.com 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィンランド共和国との間の条約

FINLEX Asetus Asetus Japanin kanssa tulon kaksinkertaisen verotuksen ja veron kiertämisen estämiseksi tehdyn sopimuksen voimaansaattamisesta.


(abcxyz)

2017年5月19日金曜日

5月も半ばだけど…ヘルシンキの桜公園で今週お花見だよ!



5月も中旬ですが、ヘルシンキでは今が桜の見頃!Petorah撮影のトップ画像も数日前のヘルシンキの桜です。

今週の日曜日、ヘルシンキのRoihuvuoriにある「Kirsikkapuisto」(桜公園)でお花見があります。この公園の桜は、ヘルシンキにある日本食などを扱うお店Tokyokan/東京館のオーナーであるNorio Tomida氏の発案が元となり、在フィンランド日本人や日本企業などからの寄付により約150本の桜が植えられ2007年にできた公園です。以来
Kirsikkapuistoでは桜が咲く頃に毎年この時期にお花見が行われます。

Facebookのお花見イベントページRoihuvuori.fiの花見ページを見るとわかるように、日本関連の催し物が行われる他、日本のポップカルチャーが好きな層がコスプレして来たりも。

今のところ予報は曇り気味で気温は最低8度、最高13度となっています。この時期にヘルシンキを旅行される方はお花見を狙ってくるのも良いかもしれませんね。

なお、今年の花見の詳細はFacebookのお花見イベントページをどうぞ。地図はこちらです:





photograph by: Petorah

(abcxyz)

2017年5月8日月曜日

「恋☆カナ」を日本語とフィンランド語で歌うLaura Vanamo

「恋☆カナ」と言うと、フィンランド人にどう聞こえるでしょうか?フィンランド語で「koi」は「蛾」、「kana」は「ニワトリ」という意味なんです。

日本のアニメ『きらりん☆レボリューション』の主題歌として、「月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)」が歌う「恋☆カナ」と言う歌があるのですが、フィンランド語では「蛾鶏」と聞こえてしまう変なサビを持ったこの曲はフィンランドのアニメファンの間でも知られています。

こちらが原曲。





動画はstreetradyより。

さて、『ポップ・アイドル』、『アメリカン・アイドル』などのアイドル発掘リアリティー番組のフィンランド版『Idols』に2008年に出場したLaura Vanamoは番組内で審査員に「恋☆カナ」を日本語で披露。

こちらがその『Idols』出演時の映像。





動画はLoreksより。


残念ながらVanamoは予選こそ通過するもののファイナリストにはなれず。しかし後にVanamoは「Se Tunne (Koi Kana)」として同曲のメロディーにフィンランド語の歌詞を自らつけてPokoRekordsからシングルを発表!それがこちらです。





PokoRekordsから。



(実は私がLaura Vanamoの歌うこの曲のことを知ったのは2010年ごろ。ずっとこの事について書かないと…と思ってかれこれ7年も経ってしまったとは…)


(abcxyz)

2017年4月27日木曜日

世界報道自由ランキング2017、5年連続1位のフィンランドは3位転落。首相の「シピラゲート」事件が影響。日本は変わらず72位



なんだかもうブログタイトルを「フィンランド・ネガティブ情報ブログ」とかにしたほうがいいってくらいにポジティブなネタを書いていませんが、今回もまたネガティブな話題です。

世界報道自由ランキングでこれまでこれまで5年連続1位の座に居座っていたフィンランドですが、今年は3位に落ちました。

Reporters Without BordersによるThe World Press Freedom Index(世界報道自由ランキング)、フィンランドに替わって1位の座を得たのはノルウェー、2位はスウェーデンとなりました。日本の順位も近年、福島原発や特定秘密保護法、安倍政権のせいで下がっていましたが、今年は昨年と同じで72位でした。

フィンランドがトップの座を明け渡したのは当然ながら当ブログでも取り上げたり(風刺アニメ作ったりしているフィンランドの首相Juha SipiläによるSipilä-gate(シピラゲート)のせいです。これで国際的なランキングで正式にフィンランドの順位を下げる事となりました。今後フィンランドの報道の自由がどうなるかも心配なところです。


[via Reporters Without Borders]

(abcxyz)

2017年4月8日土曜日

投票日を明日に控えるフィンランドの地方選挙が日本風アニメになった(しかも日本語吹き替え!)

駐日フィンランド大使館がフィンたんアニメを作ったからか、はたまた当ブログでアニメーションを作ったから(…では無いでしょうが)か、なぜだかフィンランドの地方選挙を明日に控え国営放送YLEのSNS動画サービス『Kioski』内で、フィンランドの地方選挙戦が日本風アニメ化されてます。





しかも内容はフィンランド人がローマ字を日本語で読み上げているようで、バッチリ日本語。イントネーションが少しわかりにくいところがありますが、そうは言っても内容はGoogle翻訳よりはしっかりしているので、ある程度日本語ができる人が作ったのではないかと思われます。

画的には各党の党首は誰もあまり本人に似ておらず、Juha Sipilä=「シピラ先輩」などは『天空の城ラピュタ』のムスカみたいな見た目に…人々の投票率を下げてしまうモンスター「低いパーセンテージ」はなんだか『ドラゴンボール』のピッコロっぽかったり。


[via Kioski]

(abcxyz)

2017年3月1日水曜日

フィンランド大使館「フィンたん」が主人公のアニメが適当すぎて見るのが辛い。(追記あり)

7歳のフィンランド人の男の子という設定のフィンランド大使館のマスコットキャラ、フィンたん。フィンランド独立100周年を記念してアニメになりました。でもその第1話の内容が適当すぎて非常に残念です。





ある日フィンたんが道を歩いていると、エアギターコンテストの英語の看板が、その次には携帯投げコンテスト、サウナフェスティバルの看板が登場し、それらにフィンたんが参加する、という内容。幾度となくフィンランドを紹介する日本のテレビ番組が紹介してきた「変な大会」を大雑把に紹介しただけの薄い内容です。フィンランド大使館のマルクス・コッコ報道・文化担当参事官は、今回のアニメの製作について「日本の方々のフィンランドに対する関心をもっと高めたいと思い」作ったと語っていますが、「関心をもっと高めたい」と思うのであればもっと知られていない内容、突っ込んだ内容にすべきだったでしょう。

フィンたんが既に知られた存在であることを逆手に取ったのか、フィンたん自体の紹介は「モイ、僕フィンたん」という以外にはなし。フィンランドという国の紹介すらありませんし、そもそも場所の設定がフィンランドかどうかもエアギターコンテストが終わるまで不明。そもそも英語の看板が立っている時点でオカシイですし、フィンランド人であるはずのフィンたんが(優勝者が切手になるほどの)エアギターコンテストの看板を見て「なにこれ面白そう」というのも変です。携帯会社Nokiaで世界中で名を知られていたこともスルーして最後に写るのは壊れたiPhone。

フィンたんは元々はフィンランド大使館のツイッターアカウントのあだ名でした。ツイッターで使われていた「なう」(今現在していることの後に付けて使用する。英語の「now」から来た)をフィンランド語にした「にゅっと」(nyt)という言葉を流行らせたり、フィンランド語の紹介も積極的にしていました。それなのに、ある意味キャッチフレーズともなった「にゅっと」すら使わず、出てきたフィンランド語の単語は冒頭と最後の「もい」(moi)と「サウナ」(sauna)だけ。ツイッターでのフィンたんの人気は、日本のアニメでフィンランドを代表するキャラクターが登場していることを知っているかという質問に対し「全て把握しております」と答えた事から出たものです。その文脈を全く無視して、後に公募で選ばれたマスコットキャラだけで人気を得ようとしている様子は、ただの張りぼて。フィンたんという人気を生み出した個性を抜きにし、その見た目だけを利用しているわけです。

「フィンランド人の革新的、創造的な部分だけではなく、真面目になりすぎない、接しやすい一面についても知っていただければ」とコッコ報道・文化担当参事官は言っていますが、果たしてこの適当すぎるアニメーションでそのどこが伝わるのでしょう。そもそものツイッターアカウント「フィンたん」が持っていた魅力を持ち合わせていないキャラクターに、魅力のない内容のアニメーションをつけて、何を伝えれるのでしょうか?独立100周年を記念して制作されたアニメがこんな適当な内容で、これを日本語音声とフィンランド語と英語の字幕をつけて世界中に発信して、フィンランドも日本も恥ずかしいとは思わないのでしょうか?

フィンランド人からもこのアニメは「適当すぎる」、「何故iPhone…」、「作った日本人はフィンランドにあまり関心がないのでは」、「予算無かったのかな」、「フィンランド側と日本側でコミュニケーションが取れてなかったのでは」などとのコメントも。更にはこんな意見も。

そもそもSuomi 100/フィンランド独立100周年記念関連事業は適当なものが多すぎる。独立100周年記念プログラムの一部となっている夏に行われる音楽イベント「Vuosisadan Kulttuurigaala」に音楽アーティストを無料で演奏させようとしているんだけど、別に寄付するから無料で演奏してとかじゃなくて、来場者のチケットで収益を得るイベントなので問題になっている。このフィンたんのアニメも100周年記念事業の適当さをよく表せているんじゃないか。

記念事業が変な事になるのは日本もフィンランドもさほど変わらないのかもしれません。

追記:「Hyvä veliじゃないの?」という意見もフィンランド人から聞かれました。フィンランド大使館のページにも記されているように「今回アニメの総監督・プロデューサーを務めるのは、フィンたんの生みの親でもある糸曽賢志さん」、つまりフィンたんのマスコットキャラを作った人物自らアニメの総監督とプロデューサーを務めているというわけ。なんだか都合が良すぎる気がしないでしょうか?また、もともとフィンたんは100周年事業として「アニメーション化もしくは漫画化を企画」されており、そのストーリーをフィンランド大使館が公募していますが、昨年9月になされているべきその結果の発表はどこにも見当たりません。フィンたんのアニメーションでは放送作家であるという「オンダユウ」氏が担当しています。

追記2:ソース表記が適当とのご指摘がありましたが、「フィンランド人の意見」部分は私がこのアニメーションを見せたヘルシンキ在住のフィンランド人たちの意見です。


YouTube [via フィンランド大使館、東京]

(abcxyz)

2017年1月17日火曜日

フィンランドセンター発行の無料誌『Koivu』はフィンランドについての知識が盛り沢山!




そういえば皆さん、、Suomen Japanin Instituuttiこと「フィンランドセンター」ってご存知でしょうか?日本とフィンランド両国の学術文化交流の架け橋であるこの組織、留学や研究、文化交流活動などを橋渡ししてくれるところなんです。

そんなフィンランドセンターが毎年発行する日本語の雑誌『Koivu』(フィンランド語で「白樺」)の2016年号は「言語、文化、教育」がテーマとなっています。

「フィンランドの言語環境」としてフィンランドでの言語教育について、フィンランドの英語教育、語学力、フィンランドの書き言葉の歴史などの他、フィンランド人が日本語を学ぶことについて、フィンランドの学校スケジュール…さらにはフィンランドの民族叙事詩『カレワラ』の日本においての歴史を『「大フィンランド」思想の誕生と変遷――叙事詩カレワラと知識人』を記した石野裕子さん、そしてフィンランドの小説『水の継承者 ノリア』を翻訳された末延 弘子さんによる翻訳家視点でのフィンランド語への眼差しなどなど、盛りだくさんの内容です。





さらに、実はこのブログ「空耳フィンランド語」も取り上げられているんですよ(11ページ)!





可愛らしいイラストは、イラストレーターのKatariina Hirvonenさんによるもの。

『Koivu』はフィンランドセンターの「フィンランドセンターとは」ページの「Koivu」タブからPDF版を無料で読むことができる他、フィンランドセンターに連絡すれば印刷版も送付するとのこと(数量限定)。フィンランドに関して興味のある方は必読の内容となっていますのでぜひ読んでみてくださいね。


(abcxyz)

2016年11月14日月曜日

Eurocentric Disney Depicts Japan 『ドナルドダック』コミックで描かれてる日本が適当すぎる




Briefly in English: This week's Aku Ankka (Donald Duck) comic features an episode where Karhukopla (Beagle Boys) goes to Japan. Story, written by Byron Erickson (who was Don Rosa's editor), specifically mentions this country as Japan, but "Japan" described by Andrea Ferraris doesn't seem Japan to me at all but typical "mixed Asia". For me it rather resembles South Korea I have seen in South Korean TV shows.

In the same issue's episode "Merten viekkain kauhu" (D 2016-017) Germany's Hamburg Town Hall and St. Michaelis Church are depicted with great accuracy, this is nothing more than Eurocentrism and an international company like Disney shouldn't allow this. Especially because Aku Ankka comics are widely read by Finnish children.


フィンランドで代人気の「ドナルドダック」こと『Aku Ankka』。今週号では日本が舞台になった話も収録されています。ストーリーとしては泥棒たちKarhukopla(英語だとBeagle Boys)がドナルドダックのお金持ちのおじさんRoope Ankka(スクルージ・マクダック)の金庫に侵入するのに失敗するのに飽き、イギリス、フランス、日本に行くというお話。


カメラをたくさん持った日本人観光客、日本人の名前としてHashimotoと出てきたり、「すぐに俺たちがガイジン(gaijin)だとバレてしまう」、「東京」、通貨が「円」だったりと、部分的にはちゃんと日本っぽいのですが…




「適当なアジアの国」感がプンプンします。部屋の中の様子や家並びなどは私が韓国ドラマの中で見た韓国に近いかも。

ただストーリーとは別々の人が担当しており、ストーリーはByron Erickson(アメリカ人)、絵はAndrea Ferraris(イタリア人)となっています。Ericksonは、歴史にも詳しく『Aku Ankka』のストーリーにもその知識を活用するフィンランドで超人気のライター兼アーティストDon Rosa(アメリカ人)の編集者でもあった人。そこから推測するに(邪推でしかありませんが)この号で展開する適当な日本観はアーティストFerrarisによるものではないかと。

一方同じ号の別のエピソードではドイツのハンブルグが、ハンブルグの観光名所であるタワーや教会などが緻密に描かれています。これはヨーロッパ中心主義以外の何物でもありません。

作品番号「D 2010-144」からするとこの作品が作られたのはしばらく前の2010年。フィンランドも国際的になってきて、日系、韓国系の子供だっている中で、世界のディズニーともあろうものがこのような適当な世界観を世界に広めるのは非難されるに値するでしょう。時代的にも「ステレオタイプ的な馬鹿な大人向けの」(politically incorrectな)冗談を交えて描くことだけで差別として捉えられても仕方がない時代、特に子供向けの作品でこんな有様では編集部の手抜きにも程があると思います。


image by Walt Disney Aku Ankka N:o 45 - 9.11.2016

(abcxyz)

2016年8月31日水曜日

カウニステ×Stamp and Diary、フィンランドと日本のファッションブランドコラボのローンチイベントにお邪魔した



2008年にフィンランドの首都ヘルシンキに生まれたテキスタイルブランド「Kauniste」(カウニステ)。そして新しいスタートと日々の日常をテーマに名付けられた日本のブランド「Stamp and Diary」(スタンプ・アンド・ダイアリー)。遠く離れたフィンランドと日本のブランドのコラボレーションが実現しました。




そのローンチイベントが行われたのはヘルシンキ中心地にあるKaunisteのショップ(写真)。この日はTaiteiden Yöと重なったこともあり、街中に多くの人が繰り出していました。ローンチイベントは午後7時から9時まででしたが、Kaunisteのショップがある通りFredrikinkatuはいつにも増して人通りが多く、窓の外から店内をのぞいたり、足を踏み入れる人も少なくありませんでした。

Taiteiden Yo:芸術の夜/The Night of the Arts、街中の様々な場所に視覚芸術、舞台芸術、文芸、音楽など様々なアートがあふれだす年一夜限りのイベントで、今年28回目となる。




今回店内に並んでいたコラボレーション作品は、伊勢丹のフィーカ・デリのパッケージイラストなども手掛けるHanna KonolaによるデザインのKaunisteのテキスタイル「Konfetti」(コンフェティ、紙吹雪のようなものを意味する)を使用したStamp and Diaryによるワンピースやスカート。同じKonfetti柄でも、パステルカラーのものと、白黒のものが用意されていました。「フィンランド人はカラフルな服が好きで挑戦してみたいという気持ちを持っているが、多くの人は最終的に無難な白黒のものを選んでしまう」、ととあるヘルシンキのデザインショップオーナーが語っていましたが、それもあってなのかも。




店員さんたちもコラボモデルを着ていました。




店内にはそれ以外にもKonfetti柄の商品があります。




Stamp and Diaryからはコラボモデルではないものの出展もありました。

なお、今回のコラボはKaunisteとStamp and Diary、様々な国を飛び回る両ブランドの創設者が偶然ばったり出会って、そこからコラボまで発展したとのことでした。

フィンランドの女性のファッションは、隣国ロシアのものとは大きく違います。ロシアの女性のファッションは女性らしさを強調し、ウエストや胸を強調したり、ハイヒールを履いたりするようなものが多いですが、対してフィンランドでは着心地や履き心地、実用性を兼ね備えています。かといって洒落っ気がないわけではなく、実用性やシンプルさの中にも可愛らしい形や色、模様などがあしらわれたお洒落さのあるのがフィンランド風。

テキスタイルデザイナーと布生地の匠の合作により美しいテキスタイルを生み出すKaunisteと、着心地にこだわった服を作るStamp and Diaryのコラボもきっとフィンランドの人たちの心にも響くはずです。






トップ画像以外の写真:@petorah
写真掲載は撮影者、お店の許可、共に得ています。

(abcxyz)

2016年7月20日水曜日

フィンランドでも大人気「Pokemon GO」でヘルシンキのあの公園に人だかりが



いまだ正式サービスの始まっていない日本を除き世界中で一大ブームを巻き起こしているスマホゲーム「Pokemon GO」。

「ポケモン」はもちろんフィンランドでも強く、日本で「ポケモン」が流行りだしたころからのファンはもちろんのこと、10代の若者にもファンは多くいます。日本のポップカルチャー関連のコンベンション/イベントに赴けば、「ポケモン」関連のコスプレをしている人を探すのは容易です。

そんな「ポケモン」の人気がすでに広範囲で浸透している中でリリースされた「Pokemon GO」。もちろんここフィンランドでも人気にならないわけがありません。トップ画像は7月19日(火曜日)に撮影されたRuttopuisto(正式名称Vanha kirkkopuisto、黒死病/ペストで亡くなった人たちが埋めてある公園)。そしてこちらがフィンランド正式リリース前の7月13日(水曜)時点のRuttopuistoです。





正式リリース後はご覧のとおり大騒ぎですが、すでにフィンランドでのアプリ正式リリース前から、他国のストア経由でダウンロードして遊んでいる人が大勢いました。




こちらは7月14日時点でのiOSのフィンランド版Appストアでの表示。「現在フィンランドのストアでは利用できませんが、ドイツ版ストアでは利用可能です。ストアを変更してこのアイテムをご覧ください」との記述。




Helsingin Sanomat 19.7.2016

新聞でも取り上げられています。ヘルシンキ中央駅からStockmanに抜けるところにあるKaivopihaに「Pokemon GO」をプレイするためにたむろする人々。正直じゃまですね。

「Pokemon GO」を手掛けるNiantic Labsは同様の位置情報ベースのスマホゲーム「Ingress」をだいぶ前にリリースしています。「Ingress」でも歩きながらする人が邪魔になったりすることが起きていましたが、いわゆる「元ネタ」が存在しないオリジナルゲームだった「Ingress」と違い、すでに巨大で熱狂的なファンベースのある「ポケモン」を基にしたゲームということで、開始早々Twitterのアクティブユーザー数を抜くなど、プレイ人口が半端ではありません。すでに様々な事件、事故、を含め社会現象ともいえる大騒ぎになっています。




まだ日や時間帯によってはこのようにアクセスしにくい状況であることも。


(abcxyz)

2016年5月17日火曜日

連載・さらば教育立国 好調な日芬関係を無視した節約でアアルト大学の日本語教育も終焉か

これまでは何度ヘルシンキ大学の「節約」を紹介してきましたが、今度はアアルト大学(Aalto yliopisto)の「節約」を紹介しましょう。

フィンランドの有名な建築家 Alvar Aaltoの名を冠したアアルト大学では、現在居る日本語の教授が退職後、新たに日本語の教授を雇わないことに決定しました。

アアルト大学では日本語は、英語、ドイツ語に次いで3番目に人気の外国語だそうです。

もともとヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ工業デザイン大学が合併してできたのが「アアルト大学」で、日本との協力も盛ん。工業、ビジネス、デザインの大学なので、将来のキャリアが日本とつながる学生も少なくありません。

アアルト大学はこれからも学生は日本語を勉強することはできるとしています。しかしこれはほかの大学を通じて、ということなんです。例えば、ヘルシンキ大学の外国語センターで。外国語センターでは学生の専攻を問わず言語を学ぶことができます。

ヘルシンキ大学は、アアルト大学の学生がここで日本語を学ぶのもかまわないが、ヘルシンキ大学でも日本語は人気があり、ヘルシンキ大学の学生を優先するから学びたくても学べないようになるかも…と考えているよう。

しかも、ヘルシンキ大学の外国語センターでは、日本語は中級までしか学べません。日本語の上級コースは、より専門性の高い日本語学科でのみ学べるようになっています。アアルトの外国語センターでは上級日本語まで勉強可能でした。

フィンランド国会の日本友好協会の社会民主党(sd)Ville Skinnari国会議員は今回のアアルト大学の決断を「非常にばかげたことだ」と述べています。

それもそのはず、フィンランドと日本との留学プログラムも増えているし、日本とフィンランドとをつなぐ直行便も増えています。アジアからの投資では日本からのものが最大だし、日本への輸出も昨年10億ユーロ(約1.25兆円)を上回り、ビジネス関係もますます好調なところ。しかしビジネスをするには上級日本語が必要とも言われています。

木以外にほとんど資源もなく、代わりに教育に力を入れ、「脳力」をその力として活躍してきたフィンランド。しかし今の政権はそれを理解せず、目先の支出削減だけを見て教育の投資性を無視し、しかも酷いことに公約も無視して教育からも予算を節約。そしてその「節約」政治を受けて、現時点での重要性も、未来性も持ち合わせている日本との関係協力を弱めるような今回のアアルト大学の決断も理解に苦しむところです。


[via Helsingin Sanomat]

(abcxyz)

2016年4月29日金曜日

「節約政治」に対するフィンランドの小規模中古書店の小さな反抗

Planeetaという中古の本屋チェーン(リンク先はそのチェーン店の一つ)が、昨今のアジア研究に対する処遇の悪さに対してささやかながら支援をしようとしている。

チェーン店の店主であるElmeri Vehkalaさんはすべてのチェーン店で、2016年末までアジア研究関連書籍の売り上げから、2ユーロをヘルシンキ大学の世界文化学科(アジア~中東アジア、アフリカの研究と地域学、文化学、古代学、宗教学などを行う)に寄付すると宣言した。


[via Facebook]

(abcxyz)

2016年4月28日木曜日

連載・さらば福祉国家 フィンランドの日本教育ももはやこれまで唯一の日本文化教授もクビに

日本語・日本文化の教授Rein Raud氏がフィンランドの文部科学省の「節約」政治を受けてクビにされることとなったよう(今年の10月にやめることに)。この役職は元々は日本が出資してヘルシンキ大学に作ったもので、これに関して、日本大使館に連絡がなされているようだ。

このため、これ以降日本語専攻の学生の学士論文、修士論文を見る人は、ヘルシンキ大学の日本語の言語学者(たぶん日本でいう准教授)一人だけとなる。だが、その方は言語学者なために、日本の歴史や社会に関して論文を読む人はいなくなる。

今後日本語を高校の選択科目にするにもかかわらず、唯一フィンランドで日本の日本語・日本文化の教授がいなくなるという変な事態に。フィンランドの文部科学省は先日「東アジア研究の中心になるようにしなさい」と支持していたにもかかわらずこんな事態にるとは。


(abcxyz)

2016年3月29日火曜日

大人のフィンランド語 「kuppa」はマリオのラスボス「クッパ」ではなく性感染症…

kuppa (くっぱ) ― マリオのラスボスでも韓国料理の「クッパ」 でもなく性病の 「梅毒」!

なお、日本が世界に誇るゲーム「マリオ」シリーズでおなじみのラスボス「クッパ」は、欧米版では「Bowser」という名称です。フィンランド語版の「マリオ」は存在せず、フィンランドの人たちは英語版で遊んでいるため、「クッパ」と言っても通じません。ただし、欧米版マリオでは「ノコノコ」のことを「Koopa」と呼びます。でもフィンランド語読みするとこれは「こおぱ」となるので、フィンランド人に「日本のゲームに出てくる『梅毒/
kuppa』っていうキャラ知ってる?」とか聞いても通じないかもしれません。


Japanese:kuppa
・クッパ(Video game Mario series' "Bowser"'s Japanese name.)
・クッパ(Korean soup with rice, written as "Gukbap" in Roman alphabet)

Finnish:Syphilis, STD

2016年3月13日日曜日

連載・さらば福祉国家 首都大規模デモ:与党党首らに「私たちは絶対屈しない!」

昨日、政府の「節約政治」に反対するデモが行われたと書きましたが、デモ参加者によれば、その時のシュプレヒコールはこちらでした。

「Soini, Stubb, Sipilä, emme alistu ikinä!」

「Soini、Stubb、Sipilä、私たちは絶対に屈しない!」この3つの名前はフィンランドの与党三党の党首たちの名前、(Timo) Soini, (Alexander) Stubb, (Juha) Sipiläのことです。

「Perussuomalaiset / 真のフィンランド人党」党首 Timo Soini 外務大臣
「Kansallinen kokoomus / 国民連合党」党首 Alexander Stubb 財務大臣
「Suomen Keskusta / フィンランド中央党」党首 Juha Sipilä 総理大臣

このデモには1万人が集まったそう(と伝え聞くものの、一応Yleは「警察の見積もりでは8000人程度」としています。ただ、警察の見積もりはフィンランドではどのデモに対しても少なく見積もる傾向があるそう)。フィンランドの人口は約550万人なので、これは非常に大きなデモです。例えば昨年のTTIP反対デモは1000人集まっています(AFP曰く。Yleの報道では800人)。

フィンランド人ですら今の政府には希望が持てない今、果たして次期全国選挙の2019年までに国はいい方向に変わっていけるでしょうか?

政府としては、現在悪い立場にいる人たちがお互いに怒りの矛先を向けあうようになればいいとみているのでしょう。これのいい例は何かというと、世界の多くの国で状況が悪くなると政治が右翼的になる傾向がみられることです。本当の問題点を覆い隠し、例えば国内にいる移民や帰化した人、外国に憎しみを注ぐような党(例えば真のフィンランド人党とか)に人気が出るのです。

または、例えば高齢者と学生が互いに、「高齢者は年金もらいすぎだ!」、「若者は学生支援金もらいすぎだ!」などといがみ合う状況になれば、立場の悪い低所得者の負担が高くなっているにもかかわらず、高所得者の負担は低くとどまっている状況が隠されるというわけです。日本でも、中国や韓国など近隣諸国に国民の視点を向けさせようとする日本の現政府や、それに加えて国民にとっては直接関係のない芸能問題などを政治よりも大きく取り上げるメディアなども同じ事でしょう。

今回のデモでは、そんな状況にある学生、若者、失業者、高齢者、障がい者、皆が一丸となって政府に立ち上がったデモということで、私の周りではこのデモを高く評価する声が聞かれます。

なお、今回聞かれたシュプレヒコールは実は昨年にも叫ばれていたものです。昨年11月、すでに大学から節約することが決まっていた状態で、ヘルシンキ大学が式典のスピーチに財務大臣であるStubbを招待しました。教育から節約するという公約違反に、大学教授も含め1000人以上首になるかもしれない、そんな中でこの「節約」に責任のある財務大臣Stubbがヘルシンキ大学にスピーチのために招待されることが、大学の学生と職員たちの怒りを買いました。学生たちは大聖堂側のロビーでデモをしており、その時に使われたシュプレヒコールもこれと同じ「Stubb, Soini, Sipilä, emme alistu ikinä!」でした。


(abcxyz)

2016年2月3日水曜日

世界腐敗度ランキング2位のフィンランド、経済自由度ランキングは24位。(日本は腐敗度18位、経済22位)

米ヘリテージ財団とウォールストリートジャーナルによる経済自由度指数は、「“財産権の保護”、“汚職の少なさ”、“政府支出の少なさ”、“財政の健全性”、“ビジネスの自由度”、“労働の自由度”、“通貨の自由度”、“貿易の自由度”、“投資の自由度”、“金融の自由度”」(wikipedia)によって算出される各国の自由経済度です。

先日発表された2016年版の経済自由度指数(Heritage.org)では、1位(最も経済自由度が高い)は香港、9位にエストニア、デンマーク12位、日本22位、フィンランドは24位でした。

経済自由度指数が80~100となった上位5か国は「自由」、6位から38位の指数70~79.9の国々は「おおむね自由」な経済自由度とされています。ランキング内最下位は178位の北朝鮮で「圧制された」経済という区分けとなっています。

こうしてみるとフィンランドも日本も経済自由度は高い方ですが、同じく先日発表された世界腐敗度ランキング(ネット選挙ドットコム)ではデンマークが1位、フィンランドは2位、(日本は18位)と順位がトップ(=腐敗度が低い)であったことを考えると、デンマーク12位、フィンランド24位というのは面白いですね。

私は経済自由度指数がどう算出されているのか詳しいことはわからないのですが、例えば「ビジネスの自由度」と「労働の自由度」は相反する要素も含まれていそうです。労働者の権利を尊重すればするほどビジネス的な自由度は下がるでしょう。また、税率を高くすることで国家の福祉を維持するには、企業の負担も必要ですが、企業の負担が高ければ「経済自由度」は下がるのではないでしょうか。

海を挟んだ隣国で通貨は共通のユーロを用いるエストニアは順位が9位と高めですが、フィンランド国内からは「エストニアは会社を作る/維持するのに税金が安いし、人件費や労働保険も安い(酒類も安いし)」という印象が持たれています。

フィンランドでは、法律では何日の労働に対して何日の有給休暇があるべきと定められており、これはアルバイトにも適用されます。とはいってもアルバイトの場合は正社員とは違いシフト制なので有給「休暇」そのものは取れず、その代わりに有給休暇分の給料がもらえる仕組みになっています。

世界の国々を相手にしたビジネスで優位に立つか、それともしっかりと充実した労働・生活環境を国民に保証するのか、国造りに何を優先するのかでその国の本音が見えてくるかもしれませんね。


(abcxyz)

2015年12月6日日曜日

ネウボラはフィンランドの「出生率を伸ばし」たか?日本の出生率を改善するのに何が必要かフィンランド人に聞いてみた。




ハフィントンポスト日本版の記事で「フィンランドで出生率を伸ばし、児童虐待死を激減させた「ネウボラ」 つながる育児支援に日本も注目」なんていう記事がありましたが、実際のところどうなのでしょうか?また、日本が出生率を改善するのには何が必要なのでしょうか?




ハフィントンポストの記事には

一方、フィンランドの出生率は、1.71と日本の1.42に比べて高い水準(2014年)にあり、子どもの虐待死件数も減少。その背景にあるのが、「ネウボラ」であると吉備国際大学保健医療福祉学部の高橋睦子教授は指摘している。

なんて書いてありますが、実際に統計を見てみると、まずネウボラが出生率を延ばしているようには見えません。

まずはフィンランド統計局Tilastokeskusのページを見てみましょう。それによると、1969年は2.1だった出産率は、2010年は1.87、2013年は1.75、2014年の1.71と年を追うごとに出生率が下がっていっています。まずネウボラが存在している状況でも出生率が下がっている事実があるわけです。

もちろん今の出生率よりも低い数字になっていないのは(まあ来年はまた下がるのでしょうが)、ネウボラがあるおかげもあるかもしれませんが、それ以外にも要因があります。その一つは、日本と違いEU加盟国であるフィンランドは、移民・難民の受け入れを行っているということ。

Tilastokeskusの2012年の発表では「外国語を母語とする人がいなければフィンランドの15歳以下の人の数は120年ぶりに最も低い状態」であるとされており、この20年間で、外国語を母語とする母親が子供を生んでいなければ、子供の数は現状よりも5万人少ないことになるとのことです。

Helsingin Uutisetによればフィンランドで2007年から2011年の間のフィンランド人の女性の出生率は1.84外国人系の人は2.09。この4年間フィンランドで生まれたすべての子供のうちの7.1%は外国系の人が生んだとのことです。

もちろん、移民の数が全人口の5%といわれる(以前行ったプレゼンでTilastokeskusから引用した数字だけど出典ページ失念)なかで、移民系の出生率が2を超えていたところでそれが出生率全体に与える影響は微々たるものでしょうが、小数点以下が大きな違いを生む出生率に与える影響は無視できないものです。



そもそも国にとっての出生率の重要性は、その国の人口(ひいては納税者、労働者)に直接関わるものであるからでしょう。では人口の面でフィンランドを見てみるとどうでしょうか?

年々出生率が下がっていく中で、wikipediaによればフィンランドの人口そのものは毎年増加しています(ただし、増加率は年々下がっている)。

2014年では、フィンランドの人口増加の76%は移民によるものだということです。2013年にはこの人口増加の90%が外国語を母語とする人によるものだとの統計もあります

つまり、人口こそ移民のおかげで維持できているものの、移民が居てもフィンランドの出生率が減っているわけです。

生活や情勢が不安定な時には出生率が高く、生活も社会も安定した状態では出生率が低くなるとよく言われます。事実、統計局によれば人口の増加は第2次世界大戦後がピークで、一番多かったのは1945年9月、この月だけで1万2000人の子供が生まれたとのことです。ハフィントンポストの記事によればネウボラが法制化されたのは1944年ですが、日本を含む多くの国々で戦後ベビーブームが起きたことを考えると、これまたハフィントンポストのいうところのネウボラが「出生率を伸ばした」根拠にはなりません。同様に、現在生活や政治が安定している先進国はどこも出生率が低くなっています。

そう考えると日本もフィンランドも出生率が下がり、少子化になるのは当然なことではあります。



そんななかで人口を維持するために日本ができることは何でしょうか?

それは出産をしやすく、子育てをしやすい環境の整備でしょう。そのためにはフィンランドのネウボラを参考にするのも重要でしょう。しかしフィンランドの例が示すようにそれは出産率による人口減少(出生率が2以下)の歯止めにはなっていません。これまで出産/子育て環境の整備をおざなりにしていた日本が今の人口を維持したいのであれば移民の受け入れも積極的に考えるべきでしょう。(もう一つの考えとしては、わざと生活や情勢を不安定にすることでしょうか。たとえば戦争とかね!)

フィンランド人のペトラさんに尋ねてみたところ、日本で出生率を上げるために日本は:

仕事を出産にやさしい環境にしなければいけない。男女ともに産休が取りやすい環境が必要だし、産休に対する態度が変わらないといけない。会社にとって産休は高くつくから、そこには国の支援もないといけない。父親も同じく産休や育休を取るようになれば、会社にとって男性を雇うのも女性を雇うのも差がなくなるから、就職での男女差別も少なくなる。また、日本は教育の値段が高く、子供が欲しくてもお金がたくさんかかるのも問題だ。

と指摘。ネウボラに関してはそもそも出生率を伸ばすためのものではなく

階級社会の差をなくし、女性の就職する機会、家族の中の幸せ、平等な社会を維持するためのものだと思うし、そもそものポイントは、子供の死亡率を下げるためにできたもの。

だとも語られていました。ネウボラは出産~学校に上がるまでは子育てに対する手厚いサービスを提供してくれていますが、子供がある程度の年齢になればそれ以降は同様の存在がないために、学校の問題は学校で、医療問題は病院で、といった具合に、ある意味では日本と同じような環境になるとの話も。

つまり日本では様々なメディアを通じて「フィンランドのネウボラ」がまるで救世主であるかのように語られていますが、本当に必要なのは制度の導入以前に人々の出産と育児に対する考え方と態度の変化だということです。



フィンランドの人口は2014年末で547万4289人であり、同年増加した人口は2万3020人だという統計がpdfで出ています。2014年にフィンランドに移住した人は3万1950人であり、フィンランドから他国へ移住した人は1万4410人、この1万7540人の入移民超過数(国へと移住してきた人の数から、他国へと移住した人の数を引いたもの)がこの年の人口増加の76%を占めているそう。



蛇足になりますが、Lestadiolaisuusというルーテル教の一派(避妊をしない、お酒も飲まない、テレビを見ない、などの特徴がある)の多いポフヤンマー県(Pohjanmaa)地域に限るとその出生率は2.32、ヘルシンキに限れば日本の出生率より低い1.34です。

また、最近出産された友達によると、(少なくともヘルシンキの)ネウボラでは、出産後に1度、家までネウボラおばさんが来てくれるサービスも始まったそう。実際のところどうかはわかりませんが、もしかしたらネウボラ側が子供の生活環境を確認する意味合いもあるのではと推測されていました。


(abcxyz)

2015年10月27日火曜日

ジャパンウィークヘルシンキを純粋に楽しめなかった理由 Why I Couldn't Enjoy Japan Week Helsinki





日本語の記述は英語の下にあります。

--- Summary in English ---

Japan Week Helsinki, a series of events that "Promotion of mutual understanding and friendship with host countries" organized by International Friendship Foundation (IFF), was held in Helsinki.

Participants from Japan had to pay 30,000 JPY (approx. 225 EUR) per person for participation fee, plus the cost of visiting and staying Helsinki from Japan had to be paid by themselves. The 30.000 participation fee includes, rents for exhibitions, shipping fees for equipment, "expenses for staff from Japan" and "expenses for interpreters and staff".

But Japan Week was trying to find interpreters and staff in Finland who can work for them as "volunteer". Volunteer interpreters / staffs were offered 7 EUR per hour payment. Which is very low hourly wage in Finnish standard.

I have visited one of their events in Annantalo. Although many Finnish visitors to this event seemed very happy, I couldn't fully enjoy it. Here are reasons and findings from the event:

1. Big company exhibiting, but only "volunteer" interpreters

There was at least one company exhibiting their products. Which is weird especially while those participants from Japan are paying their fees and airfares and end up getting underpaid interpreters, possibly this company is paying for their participation. (Especially one was a "popular" publishing company POPLAR Publishing Co.. Why didn't they exhibit in Kirjamessut anyway?)

2. They also exhibit Japanese culture of disrespecting interpreters and translators

There were several well-skilled interpreters who can interpret between Finnish and Japanese, but others were "volunteer" staff who somewhat speak English or just participants speaking English. Where were promised interpreters? Oh, and some Finnish written posters that supposed to tell people about cultural stuff didn't make sense. Possibly because of underpaid translator/interpreters?

3. "Volunteer" interpreters is necessary to Japan Week, but only the organizers get paid

I have asked a Japan Week staff, who seemed to be involved to the event more than "volunteers" about the issue I mentioned on [2.], and he told me that the participation fee goes for those things I have mentioned on the second English written paragraph. I asked if he also works for this event for 7 EUR per hour, and he said something like

(We) have to prepare a whole year for the events, so (we) get more (money)


And yes, some people involving in Japan Week do get salary and employee benefit, according to their income and expenditure budget infomation.

Some of the "Objectives of Japan Week" mentioned on IFF's website are following:

1. Promotion of mutual understanding and friendship with host countries
2. Promotion of Japanese art and culture, also the introduction of a broad range of subjects relating to Japanese art and culture
3. Development of an international awareness and understanding among the Japanese people

I don't think interpreters, who are the keys to mutual understanding of people and cultures should be treated like this. Especially while some get real payment for what their work, and especially because participants were taught that they are paying for interpreters, not "volunteers", and most of all it was the organizers side who is wanting to have interpreters.




10月21日から26日まで、ヘルシンキで公益財団法人国際親善協会(IFF)による第40回ジャパンウィークというイベントがヘルシンキで開催されました。

先月「通訳の仕事なめすぎ…ヘルシンキ市で開催予定のジャパンウィークが低賃金の謝礼でボラバイト募集中」という記事を書いているので既にご存知の方もおられるかもしれません。

そのイベントの一部ではありますが、実際にAnnantaloで行われたイベントを見に行き、スタッフの方にも少し話をしてきましたのでそれについて書かせていただきます。が、長いのでまずは要約版を。

「フィンランド側の来場者はおおむね満足しているものの、一番の問題は運営側は給料をもらいながらもイベントの実現のために欠かせないはずの通訳をボラバイトで済ましていることにあります。」

この問題を以下の三点を通じてみていきましょう:

1.ボラバイトがいるイベントなのに企業からの出展がある

2.通訳/翻訳業の軽視が世界に広まる日本の文化か

3.必要不可欠な存在はボラバイトでもジャパンウィークのスタッフには給料が出る



まずそれらを詳しく説明する前に、前述の「通訳の仕事なめすぎ…~」の記事ではヘルシンキ大学のアジア研究コースの学生たちに送られてきた通訳スタッフボランティア募集メールを紹介していましたが、それに続報があります。アジア研究コースの学生たちはこのメールに対して「ジャパンウィークは参加者から通訳料を含む料金を預かるのに、フィンランドの清掃員の時給よりも低い謝礼が払われるボランティアで通訳を済まそうとしているが、そのお金は一体何に使われているのかという疑問が生まれざるを得ない」などとメールを送っています。これに対し公益財団法人国際親善協会の事業部のほうからも返事が返ってきており、このようなことが述べられていたそうです。

そこには一人あたり3万円の参加登録料は「ジャパンウィークの運営費用」に充てられており、会場に関わる費用や日本からのコンテナの輸送費、「日本からのスタッフ費用」などに充てられており*、毎年「何とかやりくりして」いる(メールではこの部分にわざわざ下線が引いてあったよう)と述べられています。
なお日本からジャパンウィークに出展/出演する参加者は3万円の参加料を払ったうえで旅行代は自腹です。

また、このようにも記してあります:

限られた予算内でこの「手作り」のジャパンウィーク運営にて、私共は日本文化を通じて国際交流を図ろうとしている

それを踏まえたうえで、実際のジャパンウィークの様子を見ていきましょう。







私が行ってきたのは、Annantaloという文化施設で行われたジャパンウィークのイベント。この日は日曜日だったこともあり多くの方が足を運んでいました。そこでは、折り紙、書道、着付け、生花、祭りや伝統玩具、伝統工芸や手芸などなど、様々な日本文化が展示されていました。でも私はこれを純粋に楽しめませんでした。その理由は以下のとおり。



1.ボラバイトがいるイベントなのに企業からの出展がある





企業からの出展(例えば出版社であるポプラ社)があったのは意外でした。なぜって、通訳がボラバイトスタッフで賄われている「手作り」のイベントですから、企業がまるで自社の宣伝でもしているかのような展示を行っているのは予想外でした。企業を背負って「手作り」イベントに出展するということは、ジャパンウィークの後援でもしているのでしょうか。それとも企業が広報予算から捻出したお金を使って出展しているのでしょうか。ただ明記しておきたいのは、私が訪れた時点では企業出展ブースにはパッと見では通訳ボラバイトはいないようで、来場者とはブースの係りの人が英語で話をしたということ。

しかしながらもう一つ記さないといけないのは、子供向けの絵本の朗読も別室で行われており、そこには能力のある通訳者(在フィンランド日本大使館も関わっていたMalmitaloでの日本イベントでも働いていた方)が通訳として参加していたということです。これがそもそも(展示内容が絵本であった)ポプラ社による朗読のイベントかはわかりませんし、この通訳者の方がジャパンウィークのボラバイト通訳として働いていたのか、それとも企業側から正当な対価を支払われていたのかどうかは不明です。同時にこの週末には「Kirjamessut」と呼ばれる本の見本市がヘルシンキで行われていますが、ポプラ社はそちらには出展していないよう、どうせなら本の見本市で日本をアピールすればいいのに。変な話です。

なお、物品の販売は禁止されているようですので直接の販売はありませんが、試食が可能なブースなどはありました。中にはNPOや手芸のグループなどで純粋に展示を行っている(つまり展示がどれだけ素晴らしくとも金銭が直接的に絡んでこなさそうな)ようなところもありましたが、その一方で一部には商機をつかむために参加をしているように見えるものもありました。

一部の企業の宣伝的なブースの存在と、「ボランティア」として扱われている手伝いや通訳を任されるスタッフの存在との間にはちぐはぐな違和感が感じられます。



2.通訳/翻訳業の軽視が世界に広まる日本の文化か

まず記しておかないといけないのは、この日は日曜日だったということ。そして、ジャパンウィークでは平日にも通訳ボラバイトを募集していましたが、この依頼が届いた私の身近な人たちは「賃金が低い上に平日にボラバイトは仕事/勉強があって無理」と断っていたことです。つまりこの日に私が確認することのできた通訳者たちは日曜日だったから参加している可能性があるということ。

そして通訳のボラバイトは、ジャパンウィーク開催の前の週でもまだ「たくさん探している」状態だったようで、私にも声がかかっています。一部ジャパンウィークの日程と被って日本の高校から800人のフィンランド視察もあったとのことで、そちらでも通訳が募集されていたため(そしてこちらではちゃんと通訳に賃金が出ていたそう)、特にこの時期に低賃金で働くボラバイト通訳者を見つけるのは難しかったと考えられます。

Annantalo内では2つの階にわたって展示やワークショップが行われていましたが、日本語とフィンランド語のできる通訳者がいたのは一部のブースのみでした。日フィン通訳ボラバイトをされている方の一部は、前述したMalmitaloでの日本イベントで働いていた方(でも前述の人とは違う)や、他の日本語-フィンランド語のしっかりした通訳能力のある方もおられました。ボラバイト通訳を断った知り合いの中には、「所属している団体を通して参加要請があったから義務感があったが仕事があることにして断った」という人もいたので、もしかしたらその義務感から渋々参加している人がいる可能性も否定出来ないでしょうし、もしそうならばそれは「ボランティア精神」には反する参加といえるでしょう。

日フィン通訳が居ない場所では、各展示ブースの日本から来た参加者や、フィンランドで学んでいる学生さんなど(こちらはボラバイトスタッフとのことでした)が、英語で来場者とコミュニケーションをとっていました。





また、各ブースの壁やテーブルにはフィンランド語で説明があったのですが、そのほとんどが意味は通じるものの(フィンランド人いわく)「フィンランド語を学んだ日本人もしくは、まったく翻訳という概念を理解できないフィンランド人によってなされた質の悪い翻訳」とのこと。






「質の悪い翻訳」と評価されたものの、その一方で来日経験のあるフィンランド人は、この会場で見た翻訳は「日本の観光地や美術館の英語での説明よりもまし」とも語っていました。つまりこれは日本では一般的に翻訳や通訳が軽視されており、他国でもその質の低さは知られているということです。

翻訳や通訳を自ら行う身としては、「通訳/翻訳を軽視してお金をケチるから質の悪い翻訳になるんだ、ざまあみろ」と言いたくもありますが、母国日本の文化を紹介するためのイベントがこの有様なのはただ悲しいのが正直なところ



3.必要不可欠な存在はボラバイトでもジャパンウィークのスタッフには給料が出る

ジャパンウィークの(正規の?)スタッフとして参加しておられる方に、「参加者は通訳人件費を含む用途に使用されるとのことで3万円の参加費を払っているようだが、通訳は7ユーロのボランティアだ。あなたも時給7ユーロで働いているのか」などと尋ねたところ、

参加費用は輸送費や会場使用料、人件費に充てられている。(賃金は)毎年開催するイベントを企画しなければいけないのでもっと貰っている

といったようなことを話されておられました。(ジャパンウィークの会計詳細については職員給与や福利厚生、交通費も記された収支予算書をウェブサイトから見ることができます。)

国を跨いだ大きな規模のイベントの企画なんて誰もができることではありませんから、正当な(かどうかは不明ながらボラバイトスタッフ以上の)対価をもらって当たり前でしょう。でもそれは通訳の仕事だって同じこと。きっと運送会社や会場だって時給7ユーロではなく正当な対価を払ってもらっているはずでしょう。(会場に関してはヘルシンキ市などが手助けをしている可能性はありますが)

ジャパンウィークのボラバイト通訳が関わるイベントの中では、学校訪問もあったようです。いくら学業が世界トップレベルのフィンランドとはいえ、小学校低学年では母語のフィンランド語やスウェーデン語ではなく、英語でコミュニケーションをとることは難しいです。ましてや一部日本からの参加者の話していた片言の英語では「日本文化を通じて国際交流」を図るなんて絵に描いた餅でしょう。ちゃんとした通訳を雇わない限りは。

それに日本からの参加者は日本の文化を伝えるボランティアとして自腹を切ってフィンランドまで渡航しているわけです。それに加えて「ボランティア通訳」ではなく「通訳やスタッフの経費」も含まれている参加費を払っているつもりで。そこにボラバイトで雇われている通訳者が居て成り立っている。そんな中でもっと仕事をしているからと言って給料や福利厚生(羨ましい)を貰っている人がいるわけです。

本来ならば利害を超えて関わることのできるものこそが「ボランティア」であるはず。ボランティア精神で成り立っている建前のこのイベントで、主催側だけ福利厚生や交通費までちゃんと給料をもらっているのであれば、これを「手作り」のイベントだなんて自称するのがおこがましく感じられないでしょうか







ただ、私は批判だけするつもりはありません。このイベントはこの納得出来ない現状でも文化交流としては意味をなしていないことはありませんし、来場者はもちろんのこと、少なくとも一部のボラバイトは「かなり疲れてはいるが楽しんでいる」と述べていました。





私の友達の間からも、Kamppiショッピングモールで行われたオープニングイベント、Savoy-teatteri(サヴォイ劇場)で行われた琴や舞書、Wanha Satamaで行われていたアート展、などなど、大いにジャパンウィークを楽しんだと感想を教えてくれる声も聞かれます。(もちろんそこには言語を必要としない文化交流の展示や演目も存在しているということは頭においていただきたいですが)

また、フィンランド側でこのイベントに関わっている方は

フィンランドの国の大きさを考えると、これほどの規模の日本文化を紹介するイベントを自国で行うのは難しく、こういうイベントを開催してくれるのはありがたい。

と語っておられました。イベントの趣旨としては悪いとは思いませんし、うまくいっていないことはないのです。でも「失敗してないからいい」とは思いません、特に日本の文化を伝えるという大看板を自ら背負うというイベントなんですから。だからこそきちんとしてもらいたい



ジャパンウィークは同サイトによれば以下の5つを目標としているようです。

1.開催国との相互理解・友好親善の促進
2.日本の芸術・文化の振興と幅広い紹介
3.国民の国際感覚・国際認識の醸成
4.地域の活性化・国際化の促進
5.郷土芸能等の文化遺産の保存・継承に貢献
6.姉妹・友好都市交流の推進

そんな目標を掲げる中で、よその国へとお邪魔して日本の文化を伝えようというときに、そもそもその国の言語を話せる通訳者の必要性を認識しながらも、イベント主催側と同等の立場にないボラバイト扱いで「相互理解・友好親善」なんて促進できるでしょうか?

また、「芸術・文化の振興と幅広い紹介」ともありますが、今回のイベントで見られたようにその国の言語できちんと紹介できていない場合、もしくは相手が理解するとも限らない英語を用いて、本当に芸術や文化が紹介できるでしょうか?通訳/翻訳というのはただ単純に言葉を額面通りに受け取って対応する言葉を吐き出す仕事ではありません。両方の文化と言語を知ってこそ可能なことであり、その点ではたとえ両国の参加者が日常会話レベルの共通語(例:英語)を持っていたとしても、能力のある通訳を通して会話をするのとは、相互理解、文化交流のレベルが違うのです。

そして何よりも日本の文化を伝えたいと日本からやってきたジャパンウィーク側が、イベントの実現のために欠かせないはずの通訳をボラバイトで済まそうとしたということは失礼にもほどがあります。しかも通訳ボラバイトを日本で探してくるのならまだ面子も保てるかもしれませんが、そうではなく開催国で搔き集めようとしているのです。しかも、日本からの参加者は「通訳費用」を払っているはずなのに。

3番目の目標にある「国民の国際感覚・国際認識」はジャパンウィークをもうすでに40回も様々な国で行っているはずの主催側がまず「醸成」しないといけないでしょう。目標に対する計画、予算配分が甘すぎます。



また、最後になりますが、この投稿はただ自分の価値観に照らし合わして納得がいかないために、それを周知するため、疑問に思ってもらうため、深く考えてもらうために、自らの体験と認識の及ぶ範囲の事柄を記しているものです。

そして、私は一部ジャパンウィーク参加者に対して「手伝えることがあれば言ってほしい」と伝えていましたが、それはもちろん偽りではありません。私は現在ヘルシンキに滞在しており、日本語、英語の通訳経験もあり、フィンランド文化への知識がありフィンランド語も片言ならば話せます。そのうえで、自らの利害を超越して知り合いを手伝うことができれば、という意味で言った言葉です。

私自身もボランティア(今となっては偽善的な響きに聞こえますね)もとい、自主的自発的に利益を求めずに日本とフィンランドの文化交流的な展示を行ったことがあります。その時の参加者たちは皆各自仕事がある中で時間とお金を出し合って行いました。もちろん今回のような大きなイベントでは、このイベントのためだけに働く人も必要でしょう。参加者から参加費をとっていますし、日本政府のブースもありましたし、企業や、フィンランド側からも何らかの支援を受けているとも考えられます。そんな中で本当に目標に掲げるように「相互理解」、「日本の芸術・文化の紹介」が行いたいのであれば、もう一度ジャパンウィークの企画のしかた、お金の使い方、そしてその在り方そのものを根元から変えていくべきでしょう。



追記:ジャパンウィークのウェブサイトは前回の記事の執筆以降様、10月1日に変わりして近代的な形相に。それに伴いFAQページには言語に関する質問と回答がありました。そこでは「言葉(外国語)ができないのですが大丈夫ですか?」という質問に対しこんな答えが記されています。

言葉(外国語)ができなくても大丈夫です。

当財団でボランティア通訳を手配します。プロではありませんが、訪問交流や舞台公演、展示・実演にもスタンバイしています。ご安心ください。料金は参加登録料に含まれます。

これにより、これ以降ジャパンウィークに日本から参加される方には語弊が生じないかもしれません。それでも、ジャパンウィークの開催に不可欠な通訳を現地でろくに給料も払わずに調達していながら、主催側スタッフには給料が支払われているという運営姿勢が今後も変わらないのであれば、それはジャパンウィークが自ら掲げる目標には反していますし、世界に対する日本の印象を悪くすることでしょう。


批判があればコメント欄でどうぞ。


(abcxyz)

2015年9月28日月曜日

十二単に書道に折り紙!ヘルシンキの日本文化イベントレポート

去る9月26日、在フィンランド日本大使館とMalmitalo、Turku私立図書館によるイベント*「Japanilaista teetaidetta ja kimonoja」(日本語タイトルは「桜と平成の源氏物語絵巻展:書と茶」)を訪れてきました。





このイベントは、ヘルシンキ市のマルミ(Malmi)にある文化センター「Malmitalo」で行われただれでも自由に参加できる無料のイベント。このMalmitaloでは、今年に入ってから数回「Popcult Day」というポップカルチャーイベントが開かれたりもしており、当ブログでもご紹介したことがあります。このほかにもMalmitaloでは昨年、10代前半の若者を対象にした日本文化紹介コースも開かれており、日本関連のイベントとも無縁ではありません。





さて、せっかくなので着物を着てイベント会場についてみると…あれ、閑散としている?





そんなことはありませんでした。中の劇場では、日本伝統文化研究所の堀江恭子先生(紫の着物の方)による十二単のショーと、お茶体験が行われていて、来場者がみんなそちらに行っていたよう。劇場はほぼ満席でしたよ。







茶道のほうはちゃんと見なかったものの、フィンランド人ぽい着物を着た男性と、日本人のお茶の先生がお茶を点てていたよう。

(ちなみにスオメンリンナ島/Suomenlinnaには裏千家の茶室が建っています。フィンランドと裏千家の歴史はけっこう長いんだそうですよ。)





お茶体験には長蛇の列が。





来場者は老若男女幅広い層の人が来ており、中には猫耳に猫っぽい手足(?)、尻尾も付けた女の子、ゴスロリの服装の子、そして、本格的な着物を着たフィンランド人の姿も。私に話しかけてきた中年男性の方は「昔はシマノと、今では三菱と働いてる」なんていう方も。

劇場で十二単のショーが終わると、Malmitaloの通路部分では書道で好きな文字を書いてもらうことのできるコーナーや、つまみ細工の販売が始まりました。





書道では「愛」、「平和」などの文字のほか、「私をイメージして何か書いて」、とかいう要望があったりもしていましたが、柔軟に対応されていました。さすが。





Malmitaloの中には図書館もあり、図書館の内部では折り紙のワークショップが行われていました。参加者は小さな子供から高齢の方まで、日本人の図書館職員の方の指導のもと、折り紙本を読みながら様々な折り紙を作っていました。





図書館では日本関連の本の特集もなされていました。着物から食べ物、歴史まで、幅広いジャンルの本が並べられ、日本文化を紹介していました。





もちろん漫画も。なぜか団扇や皿も図書館内に展示されていました。





Malmitaloの廊下部分には外務省が出している日本紹介マガジン「にぽにか」が。「にぽにか」にはウェブ版もあります





2階部分は書や源氏物語の絵巻物が展示されていました。





在フィンランド日本大使ご夫妻も来場されていたこのイベント。来場者は、皆興味深そうにそれぞれの催しものを楽しんでいました。この次の日には同イベントはフィンランドの古都、Turkuで行われるそうです。

先日大いに批判したジャパンウィークとは違い、ここで通訳として活躍されていたヘルシンキ大学の日本語専攻の学生さんによればちゃんと正当な対価が支払われているとのこと。よかったよかった。

*なお、イベントのプロデュースは元シリア大使の国枝 昌樹さんが会長、今回来フィンされていた堀江恭子さんが副会長を務める「 The Executive Committee of Traditional Arts of Japan, Towards the 21st Century」(たぶん日本名は「日本の伝統芸術21世紀展実行委員会」もしくは「日本の伝統芸術21世紀展望展実行委員会」。いろいろな国で同様のイベントをやっていることくらいしかネットには載ってないけど)。


(abcxyz)

2015年9月27日日曜日

通訳の仕事なめすぎ…ヘルシンキ市で開催予定のジャパンウィークが低賃金の謝礼でボラバイト募集中

10月21日から26日の間、第40回ジャパンウィークというイベントがヘルシンキで開催されます。これは公益財団法人国際親善協会(IFF)によって開かれるもので、日本文化を世界に伝え、その土地と交流するというもの。日本からは今年7月までパフォーマンスや展示などの出演/出展者を募っていました。





出演・出展者募集の案内資料(pdf形式)によれば、日本から出演、出展しようとすると、渡航費は自分で払わないといけない上に、参加料金として一人当たり3万円が必要でした。その参加料金は会場施設や「通訳やスタッフの経費」、運送費などに使用されるとのこと。

「通訳やスタッフの経費」なんて書いてありますが、名門ヘルシンキ大学のアジア研究コースの学生たちに送られてきた通訳スタッフボランティア募集メールによれば、支払われるのは人件費としては少なすぎる金額でした。





ジャパンウィークが募集しているのは、通訳とアシスタントの「ボランティア」。1時間当たり7ユーロ(約950円)の謝礼が「このイベントをヘルシンキ市と共に企画している財団法人国際親善協会から支払われ」るとのこと。

でもそこには大きな問題があります:


本来ならば参加者が通訳経費を払っているはずなのに、主催者はひどく安い賃金でボラバイトを募集している。




この問題から、気になる点を3点挙げていきます。

ひとつ:・高い能力を必要とする割の合わない低賃金のボラバイト・

ふたつ:・実際にフィンランドと日本の文化の架け橋となるのは質の悪い通訳かも・

みっつ:・参加費で通訳スタッフの費用を捻出してるはずなのに・



・高い能力を必要とする割の合わない低賃金のボラバイト・

この通訳の募集は「通訳スタッフ」ではなく「ボランティア」扱い。フィンランドには最低賃金の制度はありませんが、知識や経験がなくてもすることの可能なスーパーのレジだと時給12ユーロ(約1600円)、掃除のバイトでも9ユーロ(約1200円)ほどです。

フィンランドでは通訳の金額は最低でも手取りで一時間40ユーロ(約5400円)からです。これは以前別ブログにで批判した、鳥取市のタダ働き「鳥取市国際観光民間サポーター」と同じく、通訳が必要とする技術や知識を軽視して、正当な対価を払おうとせずに利益だけ得ようと言う姿勢です。

なお、ジャパンウィークで募集されているこのボランティア/ボラバイトの内容はこのとおり:

日本からのJapan Weekに参加する団体をホテルまで迎えに行っていただき、学校訪問の際に、披露する文化交流プログラムの説明、また、ワークショップの際の通訳とアシスタントをしていただけるボランティア

日本人には「日本語は難しい言語だ」と考える変な傾向があるようで、日本語をちょっとでも話すことのできる「外国人」には「日本語難しいのに喋れて凄いね」なんてよく言うにも関わらず、翻訳や通訳の能力は過小評価しています。世界の人口が70億人と言われる中で、日本語話者数は世界で1億人程度存在しますが、フィンランド語の話者は世界にわずか600万人程度しかおらず、その600万人のうちに日本語の通訳が可能な人がいる割合はかなり少ないはずです。一方、例えば英語話者は世界で7億人程度いるとされているので、英語~日本語通訳者なら安くても仕事を受ける人がいるかもしれませんが、フィンランド語と日本語の通訳という稀な技能を時間、労力、お金を費やして習得した人を、割にあわない金額で働かせようというのはもってのほか。フィンランドの通訳者は(英語はこの限りではありませんが)ほとんどが大学院卒だということも加えておきましょう。

また、安い金額で仕事を引き受けることは同業者の給料を下げることにもつながります。フィンランドでは字幕業界が低賃金化による翻訳の質の低下を招いているという問題もあります。

「それでも一時間に7ユーロの謝礼があるからいいじゃん」、「通訳できるならただでやってあげてもいいじゃん、減るもんじゃないし」と思う方もおられるかもしれませんが、これを読んでいる皆さんの仕事やバイト、専門知識を活用して普段ならお金をもらうはずのことを考えてみてください。誰かを「助ける」ためならまだしも、自分たちの事業のためにタダで働かせるなんて都合よすぎます。

しかも、みんながみんな完全なボランティアならまだしも、ちゃんと資料には「通訳やスタッフの経費」がジャパンウィークの参加費から取られていると書いてあるんです。だったらちゃんとお金を払ってあげるべきです。




・実際にフィンランドと日本の文化の架け橋となるのは質の悪い通訳かも・

もちろん、きちんとお金を払ったからといって、確認するすべがない限りは通訳がきちんと行われているのかはわかりません。でも、そもそも正当な対価を払っていないとなるとなおさら怪しいものです。映画『ロスト・イン・トランスレーション』で描かれているこのシーンは、能力のない通訳と、その能力を確認するすべのない雇い側とが揃えばどうなるのかを描いた恐ろしい情景です。この光景もきっとその元となる日本でひどい通訳の経験があって描かれるに至ったことでしょう。





ヘルシンキ大学の日本語コースはその厳しさと質の高さでも知られています。今回のボラバイト要請メールを受け取った同コースの学生らは「私達をバカにしているのか」と捉えており、参加する気はないようです。もちろん彼らだって、例えば「戦争により日本から難民が来た」などといった状況ならばボランティアで働いてくれるでしょう。しかしそれとこれとは状況が全く違うことは明白です。

レベルの高いヘルシンキ大学の学生たちが全員このボラバイトを断ったとすれば、もしかしたら映画『ロスト・イン・トランスレーション』に出てきたような質の低い通訳しか集まらない可能性があります。「でも流石に通訳がろくにできない人は雇わないだろう」とお考えかもしれませんが、ボラバイト募集メールは「フィンランド語~日本語」の通訳を募集していながらも、英語と日本語で書かれています。これはつまり募集している側にはフィンランド語と日本語の通訳能力を判断する能力がないことを示しています。

もしこれが英語と日本語の通訳ならば、義務教育で多少なりとも学んだ言語知識を使って単語程度は聞き取れるでしょう。でも「モイ!」と「キートス!」、「ムーミン」に「マリメッコ」くらいしか日本では知られていないフィンランド語。雇う側には知識が無くて通訳の質を確認できないにも関わらず、お金もろくに払わないつもりで果たしてまともな通訳者が見つかるでしょうか?



・参加費で通訳スタッフの費用を捻出してるはずなのに・

そもそも渡航費のほかにも参加者が払わないといけないジャパンウィークの参加費は、通訳やスタッフの経費にも充てられるはずじゃなかったんでしょうか?もしかしたら今回募集がかけられている翻訳ボラバイトとは別に正規の(=労働に見合った賃金を払われた)「通訳スタッフ」が存在するのかもしれません。でも参加者をホテルまで迎えに行ったりまでするボラバイト内容からも、このボラバイトのことを「通訳スタッフ」と考えても差し支えないはず。

これまでのジャパンウィーク参加者は、前述のPDFの以前の参加者と下の画像のヘルシンキでのジャパンウィーク参加者見込みによれば1000人前後。一人頭3万円なので、3000万円は会場経費、通訳やスタッフの人件費、貨物輸送費用に充てられるわけです。しかも、下画像の通りジャパンウィークはいろいろな団体が後援、助成、協賛する(予定)にもなっていますから、このプロジェクト全体ではもっと大きなお金が出ているはずです。





…それでも通訳ボラバイトは1時間につき7ユーロの謝礼しか出ないのです。現地通訳ボラバイトによって手伝ってもらうことになるのは実際に参加費を払っているジャパンウィークの参加者たちでしょう。そしてその「通訳やスタッフの経費」も自分で払っているつもりの参加者たちが、通訳の質により一番影響を受ける/被害を被るのです。そうなれば、サービスを受けるためにお金を払っているはずの参加者側も能力を過小評価されてボラバイトをする側も共に損をすることでしょう。

もし国際親善協会だけが特をしているとすれば大問題ですし、通訳やスタッフを正規の金額で雇うお金が無いなら計画が甘すぎます。



まとめ

・参加者は公益財団法人国際親善協会に「通訳やスタッフの経費」を含む参加費を払っている。

・公益財団法人国際親善協会は低賃金のボラバイトを雇おうとしている。

・通訳者としての資質と意識のある人たちはこのボラバイトをしようとしていない。

・そうなるとたぶん質の低い通訳しか集まらないが、主催者側には確認するすべがない。


つまり

・国際親善協会の通訳に対する姿勢・計画は甘すぎる




・提案・

そもそもちゃんとした通訳スタッフをちゃんとした金額で雇えないのであれば、参加費用を上げるとか、ちゃんと助成金を取ってくるなどすべき。それができないのであれば、日本から可哀想な通訳ボラバイトに旅費くらい出してやって連れて来てやるべき。



今回はまだ開催まで日にちがあるので、どうにかお金を支払うことも不可能ではないでしょう。だが、公益財団法人国際親善協会がもし、言語による意思の疎通を含めた国際親善を行いたいのであれば、通訳くらいは正当な対価を払って雇うべきであり、そうする意向がないのであれば、『ロスト・イン・トランスレーション』状態になっても仕方がありません。そしてそうなってもまだ国際親善を図ろうとするのであれば、日本の文化その他が間違って伝わってもしょうがないでしょうね。


批判があればコメント欄でどうぞ。


*実際に参加しての感想はこちらの投稿に記しています*

(画像は出演・出展者募集の案内資料(pdf形式)とJapan Week Helsinki 2015からのEメールからの引用)

(abcxyz)