ラベル 汚職 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 汚職 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年6月1日木曜日

報道自由ランキング低下の原因となったフィンランド国営放送編集局長辞任



このブログでも、そして楽しいYouTubeアニメシリーズ『スゴいねスオミたん!』でも取り上げてきたSipilägate(シピラゲート)の一端を担い、世界報道自由ランキングでフィンランドの順位を落とすきっかけともなったフィンランド国営放送YLEの編集局長Atte JääskeläinenがYLEを辞めることになりました。

ジャーナリズムの道徳監視組織JSN(Julkisen sanan neuvosto)は、フィンランド語時事問題部門の編集局長JääskeläinenとYLEのやり方が間違っていると今年3月に批判。それを受けてYLE自らこれを調査し、その結果、Jääskeläinenをトップに持つ行政かのようなリーダーシップが良くないと内部で判断しました。

5月28日付のHelsingin Sanomat朝刊に掲載されたインタビューにて、JSNにもYLEの調査でもあなたが間違っているとされているが、なぜ認めないのか訊かれ「組織としてのYLEとその方針は彼らが決めるわけでなく、YLEはJSNに入りたいから入っているわけで、JSNがYLEの方針を決めつけようとするならYLE自ら組織を作ることになるかも。」などと答えました。同日彼はこんなツイートをしています。





やあ。今朝のHelsingin Sanomatの記事ですが、そういう意味の暗示ではなかった。YLEはもちろんJSNを出ようとしているわけではない。




私が言ったことでただYLEのジャーナリズムの方針を決める力はYLEにあるべきということを強調したかっただけです。


IltasanomatもYLEもこのツイートを記事に引用。Iltasanomatは「これはただの皮肉だった」との本人からのコメントも掲載しています。Jääskeläinenはこれらの記事をリツイートした後にこんなツイートをしています。




正直に言います。私は真剣な話題の中で熟考せず発言をしてしまった。それは間違いでした。私はJSNの立場を崩そうとしているわけではない。私は強いJSNが欲しい。


そして翌日29日、YLEからJääskeläinen辞任のお知らせが発表された。

今回のJääskeläinenの辞任に関しては、YLE理事会がJääskeläinenと相談しての決定であり、別に辞任しろとかそういう話があったわけではないとも話しています。辞任に関してのJääskeläinenからのメッセージには

「私のYLEの中の立場より、社会の中のYLEの立場の方が大切だから辞任します。」

などと書いてあるんですが…みんなそう思ってたから最初から辞めろって言ってたんだよ…



image by me

[via Twitter,YLE]

(abcxyz)

2017年4月27日木曜日

世界報道自由ランキング2017、5年連続1位のフィンランドは3位転落。首相の「シピラゲート」事件が影響。日本は変わらず72位



なんだかもうブログタイトルを「フィンランド・ネガティブ情報ブログ」とかにしたほうがいいってくらいにポジティブなネタを書いていませんが、今回もまたネガティブな話題です。

世界報道自由ランキングでこれまでこれまで5年連続1位の座に居座っていたフィンランドですが、今年は3位に落ちました。

Reporters Without BordersによるThe World Press Freedom Index(世界報道自由ランキング)、フィンランドに替わって1位の座を得たのはノルウェー、2位はスウェーデンとなりました。日本の順位も近年、福島原発や特定秘密保護法、安倍政権のせいで下がっていましたが、今年は昨年と同じで72位でした。

フィンランドがトップの座を明け渡したのは当然ながら当ブログでも取り上げたり(風刺アニメ作ったりしているフィンランドの首相Juha SipiläによるSipilä-gate(シピラゲート)のせいです。これで国際的なランキングで正式にフィンランドの順位を下げる事となりました。今後フィンランドの報道の自由がどうなるかも心配なところです。


[via Reporters Without Borders]

(abcxyz)

2017年4月21日金曜日

フィンランドを勝手に紹介するアニメーション『スゴいねスオミたん!』第二話のご紹介と解説

相変わらず「フィンたん」らしさも無ければ、フィンランドの紹介にすらなっていない、内容の薄いフィンたんのアニメーション第2話が公開されましたね!フィンランド大使館のウェブサイトではフィンたんを演じる声優達のインタビューも掲載されていますが、結局声優たちも特にこの仕事からフィンランドについて詳しく知ることができたことがないのが彼らのコメントからもわかります。




そんなわけでフィンランドを紹介する楽しいアニメーション、「スオミたん」待望の第二話を作りました!フィンたんのアニメなんかよりずっとフィンランドのことがよく分かるしフィンランド語も出てきます!





前回のキャラクターと今回のキャラクターは違う政治家を風刺したキャラクターではありますが、同じ「スオミたん」としているのは、政治家それぞれがスオミ=フィンランドを代表しているからです。

今回の動画のスオミたんは、公共の道路を民営化しようとしている交通通信省(liikenne- ja viestintäministeriö)の大臣Anne Berner。動画ではAnne Bernerを念頭に置きながらも、国の機関を次々と民営化していく現政府を揶揄しています。

Bernerは出生地はフィンランドながらもスイス人の家庭に生まれた彼女はヘルシンキでドイツ学校に通い、フィンランドで政治の道に入るまではフィンランド国籍も取得していませんでした。政治家としてのBernerは、一期だけ政治家をしたら止める事を公言(Nordic Labour Journal)しており、政治のための政治をする政治家ではなく、ビジネスパーソンとしての自らのキャリアのために政治家をしていることは明白です。

「フィンランドを自分のために利用…じゃなかった、自分をフィンランドのために役立てたいと…」の件は、「20年後どのような大臣として歴史に残りたいか?」という質問に対して「jotka hyödyntävät Suomea laajasti」、「フィンランドを利用する解決(をした大臣)」とのBernerの発言(via HS.fi)から。本当は「jotka hyödyttävät Suomea laajasti」、「フィンランドのためになる解決(をした大臣として歴史に残りたい)」と言いたかったのでしょうが…。家族内ではドイツ語で会話するBernerですが、フィンランド語も完璧に話す彼女がわざと「hyödyttävät」を「hyödyntävät」と言ったのでは(本音が出たのでは)との嫌味な見方もされています。

また国営の空港運営会社Finaviaでの巨額の損失を出した投資に関する調査をBernerが中止させたことで、この投資に関わっているのではないかとの憶測もあります。

日本でも時折見かけるフィンランドのインテリアブランドVallila Interiorは1935年より彼女の家族が経営している会社でもあります。


(abcxyz)

2017年3月3日金曜日

フィンランド国営放送YLEに中立的報道の危機。政府がYLEの方針を決めるよう法律を変える提案。

フィンランド国会のワークグループが、国営放送YLEの方針を国が決めることができるように法律を変えようと動いています。

国会のワークグループ(政府のみならず全ての党のメンバーから成る)が、YLEに関する法律を変更し、国会がもっとYLEの方針にかかわるべきだとする提案を出しました。

この提案では、YLEの方針を政治家からなる委員会が決定するべしというもの。この委員会のメンバーとなる議員は国会の投票により決まります。それプラスYLEのスタッフ2名が委員会に参加できるという提案ですが、YLEスタッフは会議に意見を述べる権利はあるものの、投票権はありません。

今後この提案は国会で議論される事となります。とは言っても現政権は多数の憲法に則っていない提案をこれまでに行っており、憲法の専門家から「それは違憲である」と指摘され、「じゃあナシに…」と国会議員たちの時間を無駄にして結局何もならないような提案も多数しています。今後この提案がどうなるかも不明です。

しかしアイデアを出したワークグループは、この提案を元に法律を「早く変えるべき」だとしており、人々はYLEの中立性が無くなるのではないかと心配しています。YLEの中立性といっても、YLEの口を黙らせたSipilä首相のSipilä-gate事件の後ではそもそも存在したのかどうかも怪しいところです。

Sipilä-gateのようなことがもう起こらないようにするためにこのような提案が出たとも見て取れますし、その真逆でもっと政府により国営メディアをコントロールするための提案とも見て取ることができます。

国営放送YLEの受信料は、YLEが現政権の好まない報道をしたとしても政府がその予算を変更できないよう、個人の支払う税金から一定の割合が設定(年間0.68%、高くても143ユーロ。0.68%が70ユーロ以下なら払わなくてもいい)されており、国営放送ながらも中立的な報道ができるようになっています。


[via MTV]

(abcxyz)

2016年12月2日金曜日

詐欺まがいのヘルシンキ・グッゲンハイム計画は否決。もう世界のどこにもグッゲンハイムは建ちません(最初からそうしろよ)。



こちらの画像はヘルシンキ議会での投票数日前から街中に出没したグッゲンハイムの看板。「なんと美しい。美術館でダメにするなんて」と、現在は駐車場となっている建設予定地を皮肉った広告です。バス停などに出ているこの広告、かなりお金がかかるのにここにこんな広告を出すとは、よっぽど利益が見込めると見ていたのでしょうか。これから投票するという時にこんな広告を出すとはヘルシンキ市民も「まさかここまでやるか…」と感じていたよう。

そんな中、昨晩11月30日夜、ヘルシンキ議会の会議で三度目のヘルシンキ・グッゲンハイム案に対する賛否投票が行われました。

結果は53対32票で否決。めでたく今回のグッゲンハイム案も没となりました。

しかしこの投票前に行われた討論のなかにも面白い意見があったので一部抜粋します。



・真のフィンランド人党の議員の一人、建設予定地の港を指し「港は港だ」

グッゲンハイムに反対、と同時に数年前から港(マーケット広場横)に建っているフィンエアーの観覧車「Finnair Sky Wheel」にも反対している。

・キリスト教民主党の議員一人「これは市民が必要としていないもの」

・左翼同盟Paavo Arhinmäki「人類は長年永久機関を作ろうとしてきたが、何度否決しても新たな案と共に戻ってくるこれはそれかもしれない」

・グッゲンハイム建設賛成派の国民連合党Lasse Männistö「こういう討論の仕方は嫌だ」(そういう議論じゃないだろ…)、すでに提出されている案に賛成か反対かを決める場なのに「こう変更すれば賛成してはいいのでは」と改案を出そうとする

それじゃあ今からやる投票の意味が無いだろこれ、なにを言っているんだ…途中で勝手にグッゲンハイムが承認しない形に計画を変更してこの案を押し通すというのも変なので、もしかしたらグッゲンハイム側からMännistöが何らかの特別な話を持ちかけられているのかも?

・フィンランド社会民主党Pentti Arajärvi(前大統領タルヤ・ハロネンのご主人)勝手にいきなりこの場で物事を変えようとするMännistöに対し「行政のやり方に違反している」

・国民連合党Terhi Koulumies「我々の党のWille Rydman*と同じく反対」

(*ちなみにRydmanは人種差別主義者的発言で知られる)

・フィンランド中央党Laaninen Timo「そもそも賛成してたのにLasseが今言ったことでわからなくなった」

そもそも賛成派だった人だが、賛成派のMännistöの先の発言で心変わりか。

・緑の党議員の一人「最悪の最悪の最悪の場合*、何が起こるというのでしょうか?」「最初の年は数万人、次の年は1万人しか来なくても、私たちには素敵な建築が残る」

*この部分だけ英語で「Worst worst worst case scenario」
とても熱意のこもった演説。じゃあグッゲンハイムにお金出さずに素敵な建築立てればいいんじゃ…

・左翼同盟Vuorjoki Anna「中身を決める財団委員会はヘルシンキ市から一人の代表、グッゲンハイムからは3人の代表、自分の市の美術館に影響できなくなる。市民をもっと参加させるという方針の真逆だ」

・社会民主党Anttila Maija「ヘルシンキにひとつ国際的な美術館があってもいいと思う」

・社会民主党Sevander Tomi「グッゲンハイムは美術館建設費を払うお金があると言っているが、実際には資本がなく、多くの会社や財団から借金を建てることになっている」

・左翼同盟Vuorjoki Anna(唯一成功しているグッゲンハイム)である「ビルバオのものでさえ現地アーティストにほぼ利益がなかった。ようやく近年になって現地アーティストの作品を買いだした」

・共産党Hakanen Yrjö数々の閉鎖や計画失敗しているグッゲンハイムの例を挙げるも「もし自分で支払うならヘルシンキ市が安く敷地提供する、というならいい」

・真のフィンランド人党Hyttinen Nuutti「海外に行ったら現地料理を食べるか、それともマクドナルドに行くか。フィンランドに海外から来たら現地の美術館に行きたいか、アメリカのフランチャイズ美術館に行きたいか、考えてください。」



そしてこちらが誰がどちらに投じたのかを示す画像です。




image by © Helsingin kaupunki

「JAA」が建設賛成派、「EI」が反対派議員です。ご覧の通り、賛成派の多くは(KOK)国民連合党と(VIHR)緑の同盟の議員となっています(各政党の日本語/フィンランド語表記はこちらで)。多くの反対派議員は、そもそもグッゲンハイムが詳細を明らかにしないままに計画を進めていたことに疑問を呈していました。



Helsingin Sanomatによれば、グッゲンハイム財団のRichard Armstrongはヘルシンキ・グッゲンハイム案が否決されたことに関連してこんなコメントをしています。

反アメリカ的、反帝国主義なレトリックがあったとは存じています。私は反ユダヤ主義についてはほとんど無かったと聞いています。

まるでもっと反ユダヤ主義的なコメントがあってほしかったかのようにも聞こえます。グッゲンハイム建設反対に関しての論点は主に資金、海外のフランチャイズであること、そして現地のアーティストへの影響であり、「ユダヤ人」の「ユ」の字も出てきていません。少なくとも昨日のヘルシンキ議会討論を三分の一見ていた間にはそのような発言は一切出てきていませんし、フィンランドでそのような発言を聞くこともありません。

これはまるで「人種差別カード」*をちらつかせているかのよう。フィンランドは継続戦争当時、ロシア軍から国土を守るためにドイツ軍から武器を供給され、そのかわりにドイツ軍がラップランドまで戦いに来ていました。もしかしたらこれをして「フィンランド―ナチス・ドイツ=反ユダヤ主義」の構図を作ろうとしているのでしょうか。
*(実際の人種差別に対してかどうかは関係なく、「それ、人種差別だ」として自らを人種差別の被害者として相手を人種差別主義者だと非難し、事を自分に有利に動かするために使う切り札)

Richard Armstrongはこれまでにもインタビューの途中で「気に入らない」と部屋を出ようとし(て秘書に連れ戻され)たりと、その奇行でも知られる人物。

なお、Paavo Arhinmäkiの予想が外れて残念ではありますが、Armstrongによれば、もうヘルシンキにグッゲンハイムを建てる計画は出さないほか、もうほかの国にもグッゲンハイム美術館を建てる計画も無いようです。

新しい美術館がどんどん建っていますし、それらから要請があれば作品や展示を貸し出します。例として、中国には新たに大きな美術館地区ができますが、我々は美術館を建てるのではなく、その地域の活動者と協力します。今では多くのフィンランドの美術館と素晴らしい関係を築けていますから、より将来の協力関係もやりやすいでしょう。

などと話しています(多分来年完成予定のアブダビ・グッゲンハイムは除いての話でしょうが)。だったらそもそも適当に他国の血税で採算の取れない美術館建を建てさせるんじゃなくて最初からそうしろよ…とはいえ、この発言を鵜呑みにしているひとは少ないようで、グッゲンハイムはこれからも他国に美術館を建てようとするのではないかとの意見も聞こえます。

ヘルシンキのアーティストからは、「数年前からアート関連の補助金が少なくなっており、これまで出ていた補助金も出なくなった」という声や「文化振興したいならグッゲンハイムに回す額をヘルシンキのアートに回せばいいのに」という声もきかれていました。これまでグッゲンハイム賛成派だった議員は今後どういう政策方針で行くのかも見ものです。


top image by myself

[via Helsinki Kanava]

(abcxyz)



2016年12月1日木曜日

連載・さらば報道の自由度 国営メディアの口を黙らせた?スキャンダルまみれの首相

フィンランド最大の鉱害問題となっているTalvivaara鉱山(実際には山ではなく、露天掘り)。フィンランド最大のニッケル鉱山なのですが、2012年にその採掘に用いた有毒な水を溜めていたプールからニッケル、ウラニウムなど毒性の金属が含まれた水が川に流れてしまいます。2013年にもまた毒水が漏れ出たりして、結果として川のみでなく、地下水にまで浸透。非常に莫大な影響を環境に与えました。

これはTalvivaaran Kaivososakeyhtiöという会社の持っていた鉱山であったのですが、フィンランドはこの問題に対処するため国として資金を投じます。被害の規模は違いますが、日本で例えるならば、福島の原発の後始末に国がお金を出しているのと同じ形です。しかし結局Talvivaaran Kaivososakeyhtiö社は2014年に倒産。

2015年には国営企業TerrafameがTalvivaara社から鉱山を買い取り、採掘を続行。その後この鉱山は何度も野党から「閉鎖しろ」との声が上がりますが、潰れたTalvivaaran Kaivososakeyhtiöを
Suomen Keskusta / フィンランド中央党(独裁国家に武器輸出をし始めた党)の党首で(税金逃れをしている)総理大臣のJuha Sipiläは、鉱山から採掘できる鉱物の価格が国際的に上がっているなどとし、環境問題を直し、これからも採掘を続けようと国から巨額の出資を行います。



しかし、先週金曜YLEの報道がことを大きくします。Sipiläは鉱山まで行き、視察、社長らと面会。何か怪しいと勘ぐったメディアが調べ始めたのか、間もなく、営業している鉱山がSipiläの親戚、子供や叔父、従兄弟などが持つ会社Katera Steelから50万ユーロ(約6050万円)もの大きな契約を結んでいたことが明るみに出ました。

この契約は、 Sipilä政府がTerrafameを支援するために追加で1億ユーロ(約121億円)を投じた直後に結ばれたもので、もちろんSipiläもその決定に関わっています。

そもそも、何らかの決断を行う時に、決断が自分に利害関係のある会社などに関係したものであれば、自らが怪しまれないためにも(何もうらましいことがなくとも)決定権限を辞退するなりそれを証明する書類を出したりするべきです。

Sipiläは当然ながらなぜそうしなかったかと追求されており、国会の委員会もこれから調査に乗り出します。

しかしこれをYLEが報道した後、Sipiläはこれを自分への攻撃へと感じたようで、YLEの記者に午後11時以降20通もメールを送りつけています。その最後のものには「私のYLEに対する尊敬は現在ゼロです。もちろんあなたの私に対する尊敬も同じでしょう。これで対等ですね。」などと記されていました。

そして日曜。YLEの編集長が、すでにこの件に関する編集待ちの記事が存在したにもかかわらず、この件に関する報道はもうしないと決断。有名な政治トークショーA Studioでもこの件のためにSipiläも呼ばれていて、出演するはずだったにも関わらず、それもなしになってしまいます。

しかしSuomen Kuvalehti紙がこれを追求。月曜日の朝刊でYLEの記者たちからの匿名の情報提供を受けた記事を公開。YLEの記者は「多数のメールが総理からきたから中止になったんだと思う」(上記したメールが20通送られた件やその内容もこの時点で判明)。

次の日、YLE編集長は「国営メディアの役割は平等にバランス良く、重要性を考えて出すべき、重要性の割に生地を出しすぎていた。あまり攻めればYLEひとりでスキャンダルを作り上げていることになる」などと声明を発表。



この件に関する記事本数を減らすのと、この件を全く報じなくするのとでは全然違う話です。国営放送は、自国の政府や政治家をも批判できる独立性こそが重要です。そうでなければ某国のように政府の都合のいい話ばかり報道する国営放送になってしまいます。

Sipiläは後に記者会見で「YLEに対する信頼はまあ、OK」と発言しています。

フィンランドは世界の報道自由度ランキングでもトップであることでも有名、汚職度が世界的に低いことでも知られていますが、「Hyvä veli」文化のあるフィンランドで実際にこれを信じている人はどれだけいるのか怪しいもの

知り合いのフィンランド人は「昔から汚職だらけだということは知ってた」と言う人や「汚職にも色々な種類があるが、汚職がない国というのは言い過ぎ」と言う声も。なおこの問題はイギリス国営放送BBCも取り上げています


[via YLE, Wikipedia - Talvivaara Mining Company]

(abcxyz)

2016年11月26日土曜日

「グッゲンハイムなんてクソ食らえ!」アメリカの胡散臭い系列美術館はヘルシンキに建つか?(ラップ動画付き)



「オレ、超有名なんだ。キミが建築費を出してくれたらいい美術館を建ててあげよう。あ、でも維持費も君が払ってね。オレ、有名だからきっと人がたくさん来てお金を落としてくれるよ。あ、もちろんキミにはライセンス料を払ってもらうよ。(ま、美術館が失敗しても借金を背負うのはオレじゃなくてオマエだけどな!)ハハハ!」

そんなあくどい詐欺にしか思えないのが世界に名高い美術館チェーン、グッゲンハイムです。もちろんフィンランドの首都ヘルシンキ市にもその魔の手は伸びています。



グッゲンハイム・ヘルシンキ計画、その1

まずは2011年にソロモン・R・グッゲンハイム財団がヘルシンキに作る計画を提出するも、(まだ正気だった/ロビイストによる影響を受けていなかった)ヘルシンキ市議会の投票により2012年に計画は却下されます。

バカげたことにこの美術館は、建設費用である1億30から1億40万ユーロ(156~168億円)を、ヘルシンキ市とフィンランドの国の予算負担で建てさせようというアイデアでした。

し・か・も、美術館の維持には年間1440万ユーロかかるにも関わらず、年間入館料見積もりは450万ユーロ(入場者53万人の見積もり)。そしてこの年間維持費のうち6.8mはフィンランド側に負担を求めるというものでした。なお、年間維持費用の面ではヘルシンキ市立美術館(Helsinki Art Museum、Tennispalatsiにあります。今は草間彌生の展示をやってます)は年間430万ユーロしかかかっていません。

更に、グッゲンハイムはライセンス料として年間2340万ユーロを取るというんだから、でかく出たものです。

これはヘルシンキ市議会代表の15人による投票が高いコストを理由に8対7で否決。



グッゲンハイム・ヘルシンキ計画、その2

今度は2013年にグッゲンハイム側が2番めの案として、「モダン&現代アートのフォームというコンテキストでの北欧とインターナショナルな建築とデザイン」に焦点を当てたものとする、ライセンス料は個人出資者たちが払う、入場者見積もりは55万人に増加、などとした案を提出。

今度はヘルシンキ市議会の代表がこれを通し、建築予定地を確保。

ご存じの方もおられるかもしれませんが、美術館の建築に関しては国際コンペが開かれ、フランス-日本の建築事務所Moreau Kusunoki Architectesによる案が通りました。この建築コスト見積もりは1億3000万ユーロでした。

なお、フィンランド美術博物館に関する法律があり、美術館には国から毎年予算を出さないといけません。

それに関して、Perussuomalaiset / 真のフィンランド人党の党首であり外務大臣のTimo Soiniが「Guggenheimiin ei tule valtion rahaa」、「グッゲンハイムには(国から)お金は出ません」と発言。これをラップ化した動画も作られちゃっていますのでまずはどうぞ(笑)。





結局はこの2番めの案は、国としてはグッゲンハイムへのお金は出さないということになりボツになります。でももしグッゲンハイムが作られるのであれば、それには美術館支援金は出すということになったようです。2016年に10月には、Suomen Keskusta / フィンランド中央党(独裁国家に武器輸出をし始めた党)の党首で(税金逃れをしている)総理大臣のJuha Sipiläが「国はこれに参加しません」と宣言(つまり、やりたいならヘルシンキ市がやれよ、ということ)しています。



グッゲンハイム・ヘルシンキ計画、その3

そして2016年11月、諦めきれないグッゲンハイム財団の3番目の計画。建設費用1億3000ユーロに対し、ヘルシンキ市は8000万ユーロを出す、グッゲンハイムは1500万ユーロを出すという、算数ができれば誰でも「あれれ?数あってないんじゃない?」という自体に。今回は維持費1160万ユーロに対して入館料が1120万ユーロと都合のいい数字になっています。入場者数見積もりは55万人のままですが、入場券を13ユーロから15ユーロに上げたのです。ヘルシンキ近代美術館Kiasmaの入場料は12ユーロ。しかし15ユーロというのは流石に物価の高いフィンランドでも高すぎますし、芸術好きのフィンランド人に言わせても「高すぎる」とのこと。それでいて入場者見積もりは据え置きなんて、適当すぎないでしょうか。

維持費と入館料も数字がマイナスになっていますが、先の美術館博物館に関する補助金をグッゲンハイムにも適応しないといけないのであれば、国が130万ユーロ出さないと行けません。マイナスになるのも、この国からの美術館用補助金が出ることを計算した上です。

そして先のティモ・ソイニの発言に対してはKokoomus/国民連合党の文化大臣Sanni Grahn-Laasonen文部大臣(教育を「節約」しながら「フィンランドは教育に投資します」と宣言するトンデモない人物)が11月に「ティモ・ソイニと
Pers党がそれを決めるわけではありません、文化大臣が決定する事項です。」と反論しており、これもまたラップ化されています。





さて、そんな3番目の案に関してですが、ヘルシンキ議会の代表15人による8対7で賛成となりました。これは今度11月30日にヘルシンキ市の議員全員である85人による全員での選挙で賛成多数を通れば認可されます。

しかし市民からの反対意見が多いので、今までグッゲンハイム賛成派だった政治家たちも来年行われる自治体選挙(フィンランド全国の自治体で行われる市議会議員を選ぶ選挙)で落ちることが怖くて今ではグッゲンハイム計画反対に回るのではと見られています。



みんなバカげてると思ってる


調査によれば、ヘルシンキ市民の75%、ヴァンター市民の82%はグッゲンハイムの計画に反対しています。また、フィンランドのアーティストたちからは、地元のアーティストには目が向かず、海外のアーティストの作品ばかりが展示されるのではないか。フィンランドのアートの世界はグッゲンハイムから得るものはあるのか?という疑問も出ています。

フィンランドの風刺サイトKasper Diemでは「アメリカのコーヒーチェーン、スターバックスは新たに財団を設立。スターバックスのあるヘルシンキ市からライセンス料として年間1.3mを要求。ハードロックカフェ、バーガーキング、サブウェイも同じことを検討中」という冗談を載せています。




TTKK at English Wikipedia

こちらはTTKKによる写真。Hakaniemiにあるグラフィティで、英語で(意訳すれば)「グッゲンハイムなんてクソ食らえ、私たちには壁がある」と書かれたもの。

私のフィンランドのアーティストの知り合いも「世界中で失敗しているアメリカのチェーン店美術館はヘルシンキに必要ではない」、「文化はグッゲンハイムのように外から買うものではなく、人とのふれあいで生まれるもの」などとしています。



そもそも成功していないグッゲンハイム

唯一その成功が知られているグッゲンハイムはスペインのビルバオにあります。ビルバオは元々経済的に貧しく、誰も知らないところでした。そこでは少なくともグッゲンハイムのおかげで名が知れて人も来て有名になり(地元のアーティストからは反対されているようですが)Win-Winな関係が気づけたのかも、しれません…

でもヘルシンキへの観光客数は増加しているので、「観光名所」として血税を多く費やす必要のあるグッゲンハイムをわざわざ作る意味は無いでしょう。でもグッゲンハイムの最初の案や甘すぎる支出と入場料の計算からも分かる通り、そもそもグッゲンハイムは持続性を考えていないのでしょう。

第一、世界中のグッゲンハイム美術館の中には閉鎖していないものの方が少ないんです。今も建っているのは3つ。対してラスベガス(アメリカ)、ニューヨーク(には2つあったが一つ閉鎖アメリカ)、グアダラハラ(メキシコ)、ベルリン(ドイツ)にあったものはすべて閉鎖されていますし、ヴィリニュス(リトアニア)では汚職スキャンダルで中止になっており、リトアニアで失敗後にヘルシンキが狙われているわけです。来年はグッゲンハイムがアブダビ(アラブ首長国連邦)にできるようで、現在建造中。でもアブダビでも100人以上のアーティストがオープニングをボイコットしています。

良く言っても血税を使いすぎて後に負の遺産としての箱物だけが残るお祭り騒ぎのアートイベント。成功すらしていない詐欺まがいのWin-Lose(グッゲンハイムは損をしないが美術館を招く都市/国は損をする)計画でよくまあここまでたくさんの都市に立てては潰してきたなぁと思いますね。



Top image by Ari Wiseman

image by TTKK at English Wikipedia

Referrence: HS, Wikipedia, Wikipedia, Wikipedia, Kasper Diem, YouTube, YouTube

(abcxyz)

2016年6月9日木曜日

汚職が低いはずのフィンランドのトンデモ文部大臣。教育節約のGrahn-Laasonenが委員会を通さず運動施設に巨額出資

Sanni Grahn-Laasonen文部大臣(Kokoomus/国民連合党)は、大学からお金を節約させたことで悪名高い人物です。

そんな節約政治で有名なGrahn-Laasonenが、なんとスポーツ委員会を通すこともなく誰にも相談せずにTampereのスポーツホールを立てるお金として1800万ユーロの国の予算を使う決断を下しました。特別大臣権限(特別な理由があれば大臣が勝手にできる)だという理由ですが、実際に特別な理由は見当たらない…。

国のスポーツ委員会(スポーツ施設と支援の必要を判断する専門家を有する委員会)はTampereの施設は400万ユーロ程度の支援があれば作れるという判断を下していました。一方Tampereの市議会議員はTampereの負担を決め、政府からの支援がなくても(400万ユーロなしでも)建てれると決定していました。そんな中での1800万ユーロの出資。

なんでもGrahn-Laasonenが大臣になれたのは友達であるKokoomus党首で財務大臣のAlexander Stubb(「Hyvä veli」)のおかげ。一方でKokoomusの先輩たちは「こんなバカな人を大臣にすべきでなかった」とGrahn-Laasonenを抜擢したStubbを嫌っているよう。それもあってKokoomusの党首選挙ではStubbが落ちそう、でもStubbが落とされたら後ろ盾を失ったGrahn-Laasonenも大臣から落ちるかも…。そんなStubbの支援者はTampereのKokoomusにたくさんいるらしく、なのでTampereにお金を出したらStubbが選ばれてGrahn-Laasonenの首もつながるかも?という見方をフィンランドの夕刊紙Iltalehtiが報じています。

1500万を超えるスポーツ施設への出資は欧州委員会からの許可が必要。なので今年末には欧州委員会でこの出資が審議されるということ。ただ、今年末というのは党首選挙の後。なので「Tampereにはお金をだそうとした」という印象を植え付け選挙では成功しながらも、実際には欧州委員会により出資は止めさせられることを狙っているのではという憶測も。

[via Iltalehti]

(abcxyz)

2016年5月31日火曜日

そのとき歴史が動いた:フィンランド、ソ連、ケッコネン。いちばん有名な「Hyvä veli」話

いちばん有名な「Hyvä veli」の例はソ連時代60年代の話。当時のフィンランドの大統領Urho Kekkonenは、大統領選が近づき再当選したかったものの、Kekkonenの相手の方が勝機がありそうな状況でした。

フィンランドはロシアとYYA契約(ソ連とフィンランドの間の安全保障条約みたいなもので「友情、協力、相互援助」の合意)を結んでおり、ソ連の敵国を手伝ってはいけないという状況でした。当時の西ドイツはソ連の敵であり、その当時バルト海で西ドイツの軍隊活動が急に活発化していました。

Kekkonenがハワイに行っていたときに、ソ連から急にモスクワのフィンランド大使にフィンランドに向けたメッセージが届きます。その内容は、「西ドイツの軍隊活動についてフィンランドの軍隊と話がしたい」というもの。フィンランドとしては中立の立場をとりたいために軍隊をこのことに巻き込みたくなく、Kekkonenは軍隊と相談せずにどうにかできないかとソ連に尋ねます。それに対してソ連は「フィンランドの今の外務政治家たち(大統領であるKekkonenと、Kekkonen側であった外務大臣)を信頼している」などというやり取りがあったそう。

結局皆がソ連を恐れ、Kekkonenの相手の大統領候補が途中で大統領戦を降りたためにKekkonenが当選。

その後、Kekkonenはソ連の人に会った時に「メッセージは私のためになりました」、「計画はうまくいっていました」などとあいまいなことを言っていたそう。

Kekkonenは、ビールや家具の絵柄にもなったりと、ある意味現代ではキャラクター化されてもいますが、結局Kekkonenは32年間も大統領でおり、今でもフィンランドでは「彼のせいでソ連とうまくいった」という声も、「彼は最悪の独裁政治家」という声も聴かれます。ちなみにこれを受けて今のフィンランドでは12年(2回選出)より長い間大統領の座に居座ることができなくなっています。

Kekkonenはソ連のトップの人たちと仲が良く、一緒にサウナに行ったりスキーに行ったりしていた=Hyvä veliだったため、説としては「Kekkonenがソ連にメッセージを送るよう頼んだ」という説が今でも一番信じられています。


(abcxyz)

2016年5月12日木曜日

連載・さらば福祉国家 「Hyvä veli」ようこそ汚職国家フィンランドへ

Transparency.orgの発表する世界汚職度指数では、2015年には168か国中2番目に汚職度の低い「キレイな」国とされているフィンランドですが、クリーンなイメージは上っ面だけかもしれません。

前回の政府の途中から福祉健康担当大臣であり、今日までヘルシンキ市の福祉健康担当副市長Laura Ra:ty(Kansallinen kokoomus / 国民連合党)だった人が急に辞職。そして複数の私立病院チェーンを所有する巨大企業Terveystaloの代表取締役に就任することを今日発表しました。Terveystaloはフィンランドのたくさんの会社と労働者への健康サービスの提供契約を結んでいる民間企業。

今のフィンランドの医療システムはよくない、というのはどの政党も合意しているところで、前々回の政府の時からこれを変えようという動きが続いていました。現在のSipilä政権は医療も民間化しようとしています。こうすることで競争が生まれて医療サービスの質が高まるのではないか、ということです。

しかし、だからこそ民間化にかかわる政治家が医療企業に急に転職するのは異常なのです。つまり、政府の中で福祉健康を担当して、後で自分がつく役職を自分に都合いい状況に変えていから転職したというわけ。まだ公になっていない情報も持っていることでしょう。これが汚職でないとすれば一体なんだというのでしょうか?

しかもKokoomusはなんと去年も似たようなことがありました。ヘルシンキ市のKokoomus委員会の委員長であったLasse Männistöが途中で自ら辞職、Mehiläinen(これもやっぱりTerveystaloのように巨大で似たような医療系の民間企業です。税金回避の疑いも取り上げられている)に就職したのです。



フィンランドには「Hyvä veli」(良い兄弟)という言葉があります。これはいわゆる「コネ」であり、学歴や経験が重視される、と言われるフィンランドでも、実は一番就職その他、またクビにならないためにも重要な要素がこれです。大学で知り合った友達や後輩をどこかに紹介して雇ってもらうようなものもこれに含まれるのですが、会社の中で仕事の後に飲みに行ったりサウナに行ったりして仲のよくなった人たちの間で、実績などを見ることなしに仲のいい人を昇格させたり、小さな自治体で、友達が持っている経済的に損失を出している工場を自治体が買い取ったり、なども「Hyvä veli」の例として挙げられます。ただし、昔はあったようではありますが、今の時代は大学にHyvä veliで裏口入学をするなどはできないようです。



企業間でのこういった転職では、辞職後に同じ業界の他の企業に入る場合には何か月か時間を空けてからでないと入れないという仕組みがありますが、今回の件を受けてこの仕組みが今回のようなケースにも当てはめられるべきだという声も上がっています。


[via Helsingin Sanomat]

(abcxyz)