2019年4月8日月曜日
フィンランド統計局、移民が国外で受けた教育のデータを集める
数日前、フィンランド統計局Tilastokeskusから封筒が届きました。開けてみると統計局は現在、フィンランドに外国から移り住んできた人たちが、フィンランド国外で受けた教育に関する情報を集めているとのこと。
統計局によれば、どれだけどのような種類の教育を国外で受けた人がフィンランドに住んでいるのかはこれまでデータが無いとのことで、その調査のためにこれを送ったとのこと。
このお知らせは封筒に入ってきたものの、実際には封筒内の紙に記されたユーザーネームとパスワードを使用して統計局のウェブサイトから回答するようになっています。
(abcxyz)
2016年3月13日日曜日
連載・さらば福祉国家 首都大規模デモ:与党党首らに「私たちは絶対屈しない!」
昨日、政府の「節約政治」に反対するデモが行われたと書きましたが、デモ参加者によれば、その時のシュプレヒコールはこちらでした。
「Soini、Stubb、Sipilä、私たちは絶対に屈しない!」この3つの名前はフィンランドの与党三党の党首たちの名前、(Timo) Soini, (Alexander) Stubb, (Juha) Sipiläのことです。
「Perussuomalaiset / 真のフィンランド人党」党首 Timo Soini 外務大臣
「Kansallinen kokoomus / 国民連合党」党首 Alexander Stubb 財務大臣
「Suomen Keskusta / フィンランド中央党」党首 Juha Sipilä 総理大臣
このデモには1万人が集まったそう(と伝え聞くものの、一応Yleは「警察の見積もりでは8000人程度」としています。ただ、警察の見積もりはフィンランドではどのデモに対しても少なく見積もる傾向があるそう)。フィンランドの人口は約550万人なので、これは非常に大きなデモです。例えば昨年のTTIP反対デモは1000人集まっています(AFP曰く。Yleの報道では800人)。
フィンランド人ですら今の政府には希望が持てない今、果たして次期全国選挙の2019年までに国はいい方向に変わっていけるでしょうか?
政府としては、現在悪い立場にいる人たちがお互いに怒りの矛先を向けあうようになればいいとみているのでしょう。これのいい例は何かというと、世界の多くの国で状況が悪くなると政治が右翼的になる傾向がみられることです。本当の問題点を覆い隠し、例えば国内にいる移民や帰化した人、外国に憎しみを注ぐような党(例えば真のフィンランド人党とか)に人気が出るのです。
または、例えば高齢者と学生が互いに、「高齢者は年金もらいすぎだ!」、「若者は学生支援金もらいすぎだ!」などといがみ合う状況になれば、立場の悪い低所得者の負担が高くなっているにもかかわらず、高所得者の負担は低くとどまっている状況が隠されるというわけです。日本でも、中国や韓国など近隣諸国に国民の視点を向けさせようとする日本の現政府や、それに加えて国民にとっては直接関係のない芸能問題などを政治よりも大きく取り上げるメディアなども同じ事でしょう。
今回のデモでは、そんな状況にある学生、若者、失業者、高齢者、障がい者、皆が一丸となって政府に立ち上がったデモということで、私の周りではこのデモを高く評価する声が聞かれます。
なお、今回聞かれたシュプレヒコールは実は昨年にも叫ばれていたものです。昨年11月、すでに大学から節約することが決まっていた状態で、ヘルシンキ大学が式典のスピーチに財務大臣であるStubbを招待しました。教育から節約するという公約違反に、大学教授も含め1000人以上首になるかもしれない、そんな中でこの「節約」に責任のある財務大臣Stubbがヘルシンキ大学にスピーチのために招待されることが、大学の学生と職員たちの怒りを買いました。学生たちは大聖堂側のロビーでデモをしており、その時に使われたシュプレヒコールもこれと同じ「Stubb, Soini, Sipilä, emme alistu ikinä!」でした。
(abcxyz)
「Soini, Stubb, Sipilä, emme alistu ikinä!」
「Soini、Stubb、Sipilä、私たちは絶対に屈しない!」この3つの名前はフィンランドの与党三党の党首たちの名前、(Timo) Soini, (Alexander) Stubb, (Juha) Sipiläのことです。
「Perussuomalaiset / 真のフィンランド人党」党首 Timo Soini 外務大臣
「Kansallinen kokoomus / 国民連合党」党首 Alexander Stubb 財務大臣
「Suomen Keskusta / フィンランド中央党」党首 Juha Sipilä 総理大臣
このデモには1万人が集まったそう(と伝え聞くものの、一応Yleは「警察の見積もりでは8000人程度」としています。ただ、警察の見積もりはフィンランドではどのデモに対しても少なく見積もる傾向があるそう)。フィンランドの人口は約550万人なので、これは非常に大きなデモです。例えば昨年のTTIP反対デモは1000人集まっています(AFP曰く。Yleの報道では800人)。
フィンランド人ですら今の政府には希望が持てない今、果たして次期全国選挙の2019年までに国はいい方向に変わっていけるでしょうか?
政府としては、現在悪い立場にいる人たちがお互いに怒りの矛先を向けあうようになればいいとみているのでしょう。これのいい例は何かというと、世界の多くの国で状況が悪くなると政治が右翼的になる傾向がみられることです。本当の問題点を覆い隠し、例えば国内にいる移民や帰化した人、外国に憎しみを注ぐような党(例えば真のフィンランド人党とか)に人気が出るのです。
または、例えば高齢者と学生が互いに、「高齢者は年金もらいすぎだ!」、「若者は学生支援金もらいすぎだ!」などといがみ合う状況になれば、立場の悪い低所得者の負担が高くなっているにもかかわらず、高所得者の負担は低くとどまっている状況が隠されるというわけです。日本でも、中国や韓国など近隣諸国に国民の視点を向けさせようとする日本の現政府や、それに加えて国民にとっては直接関係のない芸能問題などを政治よりも大きく取り上げるメディアなども同じ事でしょう。
今回のデモでは、そんな状況にある学生、若者、失業者、高齢者、障がい者、皆が一丸となって政府に立ち上がったデモということで、私の周りではこのデモを高く評価する声が聞かれます。
なお、今回聞かれたシュプレヒコールは実は昨年にも叫ばれていたものです。昨年11月、すでに大学から節約することが決まっていた状態で、ヘルシンキ大学が式典のスピーチに財務大臣であるStubbを招待しました。教育から節約するという公約違反に、大学教授も含め1000人以上首になるかもしれない、そんな中でこの「節約」に責任のある財務大臣Stubbがヘルシンキ大学にスピーチのために招待されることが、大学の学生と職員たちの怒りを買いました。学生たちは大聖堂側のロビーでデモをしており、その時に使われたシュプレヒコールもこれと同じ「Stubb, Soini, Sipilä, emme alistu ikinä!」でした。
(abcxyz)
2015年12月6日日曜日
ネウボラはフィンランドの「出生率を伸ばし」たか?日本の出生率を改善するのに何が必要かフィンランド人に聞いてみた。

ハフィントンポスト日本版の記事で「フィンランドで出生率を伸ばし、児童虐待死を激減させた「ネウボラ」 つながる育児支援に日本も注目」なんていう記事がありましたが、実際のところどうなのでしょうか?また、日本が出生率を改善するのには何が必要なのでしょうか?
ハフィントンポストの記事には
一方、フィンランドの出生率は、1.71と日本の1.42に比べて高い水準(2014年)にあり、子どもの虐待死件数も減少。その背景にあるのが、「ネウボラ」であると吉備国際大学保健医療福祉学部の高橋睦子教授は指摘している。
なんて書いてありますが、実際に統計を見てみると、まずネウボラが出生率を延ばしているようには見えません。
まずはフィンランド統計局Tilastokeskusのページを見てみましょう。それによると、1969年は2.1だった出産率は、2010年は1.87、2013年は1.75、2014年の1.71と年を追うごとに出生率が下がっていっています。まずネウボラが存在している状況でも出生率が下がっている事実があるわけです。
もちろん今の出生率よりも低い数字になっていないのは(まあ来年はまた下がるのでしょうが)、ネウボラがあるおかげもあるかもしれませんが、それ以外にも要因があります。その一つは、日本と違いEU加盟国であるフィンランドは、移民・難民の受け入れを行っているということ。
Tilastokeskusの2012年の発表では「外国語を母語とする人がいなければフィンランドの15歳以下の人の数は120年ぶりに最も低い状態」であるとされており、この20年間で、外国語を母語とする母親が子供を生んでいなければ、子供の数は現状よりも5万人少ないことになるとのことです。
Helsingin Uutisetによればフィンランドで2007年から2011年の間のフィンランド人の女性の出生率は1.84、外国人系の人は2.09。この4年間フィンランドで生まれたすべての子供のうちの7.1%は外国系の人が生んだとのことです。
もちろん、移民の数が全人口の5%といわれる(以前行ったプレゼンでTilastokeskusから引用した数字だけど出典ページ失念)なかで、移民系の出生率が2を超えていたところでそれが出生率全体に与える影響は微々たるものでしょうが、小数点以下が大きな違いを生む出生率に与える影響は無視できないものです。
そもそも国にとっての出生率の重要性は、その国の人口(ひいては納税者、労働者)に直接関わるものであるからでしょう。では人口の面でフィンランドを見てみるとどうでしょうか?
年々出生率が下がっていく中で、wikipediaによればフィンランドの人口そのものは毎年増加しています(ただし、増加率は年々下がっている)。
2014年では、フィンランドの人口増加の76%は移民によるものだということです*。2013年にはこの人口増加の90%が外国語を母語とする人によるものだとの統計もあります。
つまり、人口こそ移民のおかげで維持できているものの、移民が居てもフィンランドの出生率が減っているわけです。
生活や情勢が不安定な時には出生率が高く、生活も社会も安定した状態では出生率が低くなるとよく言われます。事実、統計局によれば人口の増加は第2次世界大戦後がピークで、一番多かったのは1945年9月、この月だけで1万2000人の子供が生まれたとのことです。ハフィントンポストの記事によればネウボラが法制化されたのは1944年ですが、日本を含む多くの国々で戦後ベビーブームが起きたことを考えると、これまたハフィントンポストのいうところのネウボラが「出生率を伸ばした」根拠にはなりません。同様に、現在生活や政治が安定している先進国はどこも出生率が低くなっています。
そう考えると日本もフィンランドも出生率が下がり、少子化になるのは当然なことではあります。
そんななかで人口を維持するために日本ができることは何でしょうか?
それは出産をしやすく、子育てをしやすい環境の整備でしょう。そのためにはフィンランドのネウボラを参考にするのも重要でしょう。しかしフィンランドの例が示すようにそれは出産率による人口減少(出生率が2以下)の歯止めにはなっていません。これまで出産/子育て環境の整備をおざなりにしていた日本が今の人口を維持したいのであれば移民の受け入れも積極的に考えるべきでしょう。(もう一つの考えとしては、わざと生活や情勢を不安定にすることでしょうか。たとえば戦争とかね!)
フィンランド人のペトラさんに尋ねてみたところ、日本で出生率を上げるために日本は:
仕事を出産にやさしい環境にしなければいけない。男女ともに産休が取りやすい環境が必要だし、産休に対する態度が変わらないといけない。会社にとって産休は高くつくから、そこには国の支援もないといけない。父親も同じく産休や育休を取るようになれば、会社にとって男性を雇うのも女性を雇うのも差がなくなるから、就職での男女差別も少なくなる。また、日本は教育の値段が高く、子供が欲しくてもお金がたくさんかかるのも問題だ。
と指摘。ネウボラに関してはそもそも出生率を伸ばすためのものではなく
階級社会の差をなくし、女性の就職する機会、家族の中の幸せ、平等な社会を維持するためのものだと思うし、そもそものポイントは、子供の死亡率を下げるためにできたもの。
だとも語られていました。ネウボラは出産~学校に上がるまでは子育てに対する手厚いサービスを提供してくれていますが、子供がある程度の年齢になればそれ以降は同様の存在がないために、学校の問題は学校で、医療問題は病院で、といった具合に、ある意味では日本と同じような環境になるとの話も。
つまり日本では様々なメディアを通じて「フィンランドのネウボラ」がまるで救世主であるかのように語られていますが、本当に必要なのは制度の導入以前に人々の出産と育児に対する考え方と態度の変化だということです。
*フィンランドの人口は2014年末で547万4289人であり、同年増加した人口は2万3020人だという統計がpdfで出ています。2014年にフィンランドに移住した人は3万1950人であり、フィンランドから他国へ移住した人は1万4410人、この1万7540人の入移民超過数(国へと移住してきた人の数から、他国へと移住した人の数を引いたもの)がこの年の人口増加の76%を占めているそう。
蛇足になりますが、Lestadiolaisuusというルーテル教の一派(避妊をしない、お酒も飲まない、テレビを見ない、などの特徴がある)の多いポフヤンマー県(Pohjanmaa)地域に限るとその出生率は2.32、ヘルシンキに限れば日本の出生率より低い1.34です。
また、最近出産された友達によると、(少なくともヘルシンキの)ネウボラでは、出産後に1度、家までネウボラおばさんが来てくれるサービスも始まったそう。実際のところどうかはわかりませんが、もしかしたらネウボラ側が子供の生活環境を確認する意味合いもあるのではと推測されていました。
(abcxyz)
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