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2018年5月9日水曜日

ヘルシンキを舞台にした台詞のない世紀末コミック『D'Moleyk – The Mole Age』レビュー+作者Miha Rinne氏からの日本の読者へのメッセージ


以前ご紹介したフィンランドのコミックアーティストMiha Rinne(ミハ・リンネ)さんのヘルシンキを舞台にした最新コミック『D'Moleyk – The Mole Age』、覚えておられますでしょうか?今回コミックをレビュー用に提供頂いたのでご紹介させて頂きます。

ただし、肝心の内容に関してはネタバレを避けるため多くは語らずにおきましょう。とは言え、何も語らないわけにはレビューにも紹介にもなりません。なるべくこれからコミックを読もうという方の体験を損なわないように解説したいと思います。

大判で120ページもあるこの作品(トップ写真では大きさ比較のためイッタラのAino Aaltoグラス22 clと2ユーロコインも並べています)、人類滅亡の危機に瀕した世界状態で若い女性と謎の生き物を追うというのが大まかな流れ。私は読んだ後に、一体これは何だったのか、作中で起きた出来事について考えを巡らし、もう一度最初から読み直し、作品の象徴性について考えたりして楽しめました。



(ヘルシンキ中央駅を背景にソコス、3人の鍛冶屋、そしてストックマン…この後主人公たちはストックマンの中に向かうのですがそこで待ち受けるのは…)

文字情報は非常に限定的で、ストーリーに関連して明確な言語を伴う部分は2カ所しかありませんでした。絵により物語を進ませ、言葉を超えた感情への訴えかけをする、そんな言語を欠いた作品ですが、日常を超越した謎の出来事に対して明確な回答は用意されておらず、描かれていない部分を読者が想像により補完する余裕が残されている作品とも言えるでしょう。ある意味人知を超えた現象に見舞われる主人公たちの起きていることを自分なりに理解するには数回読み直したり、他の人にも読んでもらってどういう読み取りをしたのか対話したりすると更に楽しめるはずです。

ただし注意として、血なまぐさい話の苦手な方にはおすすめはしがたいです。逆に人類滅亡系やSFが好きな方にはおすすめしたい作品です。

コミックとしては、現実の場所が舞台になっているのも見所の一つ。ストーリー前半はエスポーのKera(ケラ)という地域がモデルになっているほか、ヘルシンキ中央駅やストックマン周辺、内部、そして知る人ぞ知るヘルシンキ地下のメンテナンス空間(有事にはフィンランド国防軍の移動に用いられる)、S-marketの倉庫やHaartman病院などの実在の場所も実際の場所取材して写真を元に描かれているのです。


(なおこのページに出てくる腕時計はRinneさんが1987年に購入した日本のリコーのクオーツ時計がモデルになっているとのこと!この車両や軍隊の未来的なヘルメットも実際にフィンランド国防軍が現在採用しているもの。)


Rinneさんが20年の年月を費やして完成させた大作。何を読者に伝えたいのか、何故この作品を作らないといけないのか、と言う疑問は長年考えていたそう。その答えは、読者に感情を届けたいというもの。その感情とは、恐怖、不安、悲しみ、絶望、など…しかしそれを強く読者に感じさせることにより、その先に存在するのがカタルシスであるようにしたかった、とRinneさんは教えてくれました。すなわち、ギリシャ悲劇のように、悲劇を通じて観客の心が浄化され、ポジティブな感情が沸き起こる作品にしたかったのです。また、それぞれのページには色がついており、それが観客に与える感情を深める要素として使われています。

Rinneさんから日本の読者へのメッセージも頂いていますのでご紹介します。

I am aware that japan has massive comic book industry on their own, so while I really would like to gain lots of japanese readers, I am also a realist, thus I have very little hope of reaching the attention of any japanese reader. For anyone over there who might be interested enough to order my book, I am deeply grateful! Thank you so much! I hope the book has enough layers and details to keep readers interested, and I hope the reverse reading direction is not a big issue.

意訳:日本には独自の巨大なコミック業界があることを知っているので、日本にも多くの読者を得たいと思うと同時に、現実主義者な私からすれば、日本の読者から注目を浴びる事に関しては望みが薄いとも思っています。はるばる日本から私のコミックを注文してくれるほど興味を持ってくださる方がおられたら深く感謝しています!どうもありがとうございます!このコミックに読者の興味を放さないだけの十分な深みとディテールがあればと思います、また、(日本のコミックとは)逆方向に読み進めることも問題ではないことを願っています。

購入はフィンランド最大のコミックストア、Turun Sarjakuva Kauppaから可能。日本へも発送してくれます。


Image courtesy of Miha Rinne

(abcxyz)

2018年2月28日水曜日

北欧コミックが好きな人に朗報、ヘルシンキを舞台にした世紀末コミック『D'Moleyk – The Mole Age』が予約受付中(セリフがないからフィン語わからなくても楽しめる!)

今回は、フィンランドのコミックアーティストMiha Rinne(ミハ・リンネ)さんのヘルシンキを舞台にした最新コミック『D'Moleyk – The Mole Age』をご紹介します。




(ヘルシンキ中央駅を背景にソコス、3人の鍛冶屋、そしてストックマン…一体この地に何が起こったのか…)

まだKotaku Japanというウェブメディアが存在した2013年、ヘルシンキのコミックフェスティバル「Helsingin Sarjakuvafestivaalit」で取材したコミックアーティストのMiha Rinneさんから、最近になり連絡がありました。その当時からインタビューで話にでていたコミックが完成ついに完成!それが『D'Moleyk – The Mole Age』です。

実はこのコミック、作られだしたのはもっと昔で、完成まで20年を費やしたという大作です。実はRinneさんはフルタイムでゲーム会社に勤めており、毎週日曜日に8時間かけて1ページこのコミックを描き進めていた時期があったのです。




(実はヘルシンキの地下には広大な地下空間がある、というのはあまり知られないホントの話。有事には軍隊がここを使うんだそうです。)

ストーリーとしては、フィンランドの首都ヘルシンキを舞台としたもので、謎の生物が襲来し人々が死んだ中、少女と犬のような生き物の冒険を描きます。




Screenshot taken from Turun Sarjakuva Kauppa

ヘルシンキを訪れたことのある方なら、表紙に映るヘルシンキ中央駅(Citycenter/Makkaratalo側から見た景色)も懐かしいはず。この街を舞台にどんな冒険が繰り広げられるのでしょうか?




販売は3月21日から、予約購入はフィンランド最大のコミックストア、Turun Sarjakuvakauppaから。もちろん日本へも発送してくれます。なお同ストアでは今月初め『D’Moleyk – The Mole Age』がベストセラー1位に輝いています。




なおKotaku Japan向けに執筆したインタビューはもう読むことができませんが、Rinneさんが執筆した別のコミック「Bitwisards - nuoret gurut kyberavaruudesta」(仮訳:「ビットウィザーズ - サイバースペースの若きカリスマたち」こちらもTrun Sarjakuvakauppaから購入可能)がフィンランドの国営放送YLEでテレビシリーズになった際にはFUZE.djでRinneさんとテレビシリーズの監督Jarno Elonenさんのインタビュー記事「90年代の郷愁に満ちたゲーム業界を描くフィンランド人クリエイターたちが語る、時代の再発見と楽しみ方」を執筆していますので興味のある方はぜひご一読を。


Image courtesy of Miha Rinne

(abcxyz)